黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

軍艦島:防空壕トンネル2

2017-09-15 03:28:13 | 軍艦島(端島)
昨年発売した『誰も見たことのない世界遺産「軍艦島」DVD BOOK』の内容紹介。

これまでたくさんの軍艦島関連の書籍を出してきましたが、
この書籍では、それまで発表してこなかったテーマを数多く盛り込んでいます。
軍艦島の防空壕トンネルの全貌もその一つ。

軍艦島の中央に聳える元々の岩礁の中を、
ほぼ縦断するように造られたトンネルで、
一直線のトンネルを中心に、
左右に様々なトンネルが造られています。
前回からの続きです。

軍艦島:防空壕トンネル
軍艦島:防空壕トンネル

防空壕トンネルの簡略図を参考に、
以下をご覧下さい。





軍艦島:防空壕トンネル
軍艦島:防空壕トンネル

上図Fの位置。
前回アップしたボタ棄てトンネルから、
一直線に北東へ向って(図では右方向)伸びるのが、
防空壕トンネルのメイン坑道です。
前回アップした複雑な迷路状の場所(A地点付近)より、
多少スペースは広いものの、
荒削りな素堀の状態は同様です。





軍艦島:防空壕トンネル
軍艦島:防空壕トンネル

上図Gの位置。
一直線の防空壕跡を暫く進むと、
様々な什器の墓場へ到着。
トランスを初めとした大量の機器は何れも錆び付き、
放置された年月を物語ります。

なお、防空壕としての役割を終えた後も埋められることなく、
閉山まで殆どの部分を残していたのには理由がありました。
トンネル内にいくつかの基準点があり、
それを基に、島の沈下具合を定期的に調査していたようです。

そして、この付近でトンネルが十字路になっているので、
まずは北西(図では上)のトンネルからみてみましょう。





軍艦島:防空壕トンネル
軍艦島:防空壕トンネル

上図Hの位置。
十字路から北西へ進むトンネルへ入ると、
A地点付近のトンネルと同じ位の狭さになります。
左手に何らかの大きな機器を設置したと思われる跡があり、
ほどなく右へ曲がります。





軍艦島:防空壕トンネル
軍艦島:防空壕トンネル

上図iの位置。
右に曲がるとすぐに、ぞんざいな造りの扉を設置した跡があり、
その奥は再び左へと迂回します。
このクランクは、おそらく爆風回避の措置ではないでしょうか。





軍艦島:防空壕トンネル
軍艦島:防空壕トンネル

上図Jの位置
再び左へクランクしたトンネルを進むと、
少し下り坂になって、やがてコンクリートの閉塞点へ辿り着きますが、
この閉塞点の先が20号棟と21号棟の間の岩礁の麓にあたります。





軍艦島:防空壕トンネル
軍艦島:防空壕トンネル

上図Kの位置
これが20号棟と21号棟の間の岩礁下部に残る、
防空壕の出入口を外から見た様子。
操業時は木製の扉が設置されていて、
入ろうと思えば誰でも入れる状態だったと聞きます。

かくれんぼとかで、トンネルに隠れた子供も、
きっといたのではないでしょうか。

シリーズ:あまり知られていない軍艦島 INDEX

誰も見たことのない世界遺産「軍艦島」DVD BOOK

◆誰も見たことのない世界遺産「軍艦島」DVD BOOK◆

価格:3,700円(税抜)
DVD収録時間: 65分
書籍:B5版/96ページ/オールカラー
発売元: 宝島社
発売日: 2016/01/12
ISBN-10: 4800250013
ISBN-13: 978-4800250018

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