蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

宵の明星  (bon)

2023-06-15 | 日々雑感、散策、旅行

 今日は金星のお話にしました。

 このところ梅雨空が続いて、なかなかすっきりと晴れ間がありません。ベラ
ンダの植物たちへの水遣りが省略できて楽チンですが、やはりすっきりと晴れた
日が恋しいですね。
 そんなことで、夜空も雨模様が多いですが、今年、年明けから、日の入り後の
西の空で「宵の明星」として輝いてきた金星は、この6月4日には、見かけの位置
が太陽から最も離れた「東方最大離角」のところにあり、半月のような形で、
それより日を追ってだんだんと欠けて行きますが、地球に近づいてくるので、
7月7日に最大光度を迎えるとあります。最大光度の金星は、マイナス4.7等星
という明るさで輝くのですね。今日、6月15日は、その途上にあるというわけ
ですね。

       アフロディティ(ヴィーナス)
       (ネット画像より)

 手元にある会報の連載記事は、第3回目で『明星』(渡部潤一氏、国立天文台
上席教授)が取り上げられていたのに引きずられて、改めて金星に思いを寄せる
こととなりました。

 そういえば、今年2月(21日)の拙ブログに「すばる」を取上げた時、平安
時代の清少納言の枕草子 254段に『星はすばる。ひこぼし。ゆふづつ。よば
い星、すこしをかし。』を引用していましたが、この『ゆふづつ』というのが
金星のことなんですね。清少納言も3番目に金星を挙げていました。

 地球から見える天体の中で、太陽、月に続いて3番目に明るい天体なんですね。
上述しましたが、最大輝度の時マイナス4.7等星とあり、暗いところなら影が
出来るほど明るいのですね。なぜこれほど明るいのかといえば、①地球から近い、
②地球と同じくらい大きい、③金星を覆っている雲がピカピカで反射能(太陽の
光の反射度合)が0.76つまり太陽光を76%も反射している の3つの理由が挙げ
られていました。

 しかし、金星を厚く覆っている雲は、硫酸で出来ているのだそうで、その雲の
下は470℃もある灼熱地獄なのだそうです。なぜこんなに暑いかといえば、CO₂
の温室効果によるのだそうです。

 金星は美の女神『ヴィーナス』と呼ばれたり、清少納言も心を寄せていたり、
『宵の明星』『明けの明星』などと、引き込まれるその光輝きに魅了されますが、
実際は、硫酸の水滴で覆われた灼熱のとんでもない惑星だったのですね。

 金星の満ち欠けと見かけの大きさの変化 (国立天文台より)
 

手前の大きな黒いのが地球、上部の白く光っているのが太陽、中段が金星で左が東方最大離角です。

 拙ブログの「明けの明星」(2015.12.5)では、月と木星と金星が接近する
観測記事を取上げていて、更にそれ以前にも「金星のお渡り・・」(2012.6.6)
を記事アップしていまして、上図で、内合の時つまり地球から見て金星が太陽
との一直線の間に来た時(月でいうと日食の時)小さな金星は、ヨチヨチと太陽
の下あたりを渡ってゆくように見えるのです。 この時のブログアップの日が
丁度その日だったようですが、あいにく梅雨で観測できず、ネット画像で見ま
した。 次回、これが起こるのは、その時の記事で105年後とありましたから、
今から数えますと94年後に当たります。もう見ることは不可能ですね。

     金星のお渡り
      (国立天文台より)

 この「金星のお渡り」は、正しくは「日面経過」と呼ばれ、地球と太陽などの
距離(天文単位)を正確に求める観測を行う絶好の機会として、古くから世界
中で注目されていたそうです。

 会報記事から抜粋しますと、この「日面経過」を地球上の離れた2地点から
観測し、その視差から 地球上の距離は分かっていますから三角測量の原理から
太陽と地球の距離が求められるのです。これにより、天文単位の絶対値が求め
られるという重要な観測なんですね。
 1769年には、キャプテン・クックがタヒチ島に上陸して観測した金星岬が有名
であり、1874年には日本で観測できアメリカ、フランス、メキシコから観測隊が
来日して観測したことや、その折にメキシコのE博士が当時の横浜グランドホテ
ルで「この金星の食が万人を感激せしむるのはなぜか」の演題で講演したが、
その130年後の2004年に、日本で再び日面経過があり、この時、会報記事の筆者
である渡部氏が同じ演題で講演されたとあります。そして、再び2012.6.6にも
日面経過があったということなんです。「金星のお渡り」などと粋に感じている
場合ではなかったのですね。

 

 

 

メンデルスゾーン 無言歌集よりOp.38-1 〈宵の明星〉

 

 

 

 


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2 コメント

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Unknown (samgirly)
2023-06-15 10:31:31
硫酸の水滴で覆われた灼熱のとんでもない惑星…容赦ない実態が明かされてしまう現代ですね(笑)笑ってしまいました。
返信する
コメントありがとうございます。 (bon)
2023-06-15 12:14:12
samgirlyさん、
コメントありがとうございます。
そうですね。知らなかった方が良かったかもしれません。
返信する

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