数年前、AI(人工知能)と呼ばれる身近な機器に、お掃除ロボットやAIスピー
カーなどがあり、お試し好きの我が家にも入り込んでいますが、これらは、AIの
ほんの入り口で、それまでのこのような電子機器は、人が作ったプログラム通りに
動作していたのが、ほんのちょっと機械独自の「学習」によって、自発的に動作
する部分が付加されているのでしょう。
AIの技術開発進歩は、その充実度を高めるとともに適用範囲も、農業、漁業など
の1次産業からサービス業まで、そしてもちろん学術、医療分野にも広くその適用
領域が広がって長足の進歩を遂げ続けています。
タイトルは、医療分野におけるAI活用の例を取りあげました。
手元の会報別冊記事に、「医療分野におけるAI」の一例として、「AI診断装置」
に関する講演録が取り上げられていました。 講師は、森健策氏(名古屋大学大
学院情報学研究科教授)で、自ら開発されたAI診断装置のひとつAI内視鏡「エン
ドブレイン」を中心にお話されています。
(ネット画像より)
このようなAI診断装置は、主として画像診断が中心で、胸部X線像からcovid-19
(新型コロナ)を診断するAIや脳動脈を診断するAIもあるとあり、こうしたAI医療
機器を CAD(Computer Aided Diagnosis)と呼ぶとあります。 昔、CADといえば、
コンピュータを使ってデザインをする装置を言っていました。つまり、Computer
Assisted Design)だったと記憶しています。 CADeはComputer Aided Detection)
といい、画像から病変部位を自動検出するのだそうです。 時代変わっておなじ
CADでもその内容は違うのですね。
これらのAI診断装置による診断を参考にして、最終的な判断はもちろん医師が
行うのですが、見落としや漏れがなくなり、さらに基礎的な作業が軽減できるな
ど、その効果は大きいとあります。
エンドブレイン(オリンパス)
(ネット画像より)
AI内視鏡「エンドブレイン」は、2019年に開発された、大腸がんなどを早期発見
するAI内視鏡で、次のような診断支援をするそうです。①病変の探索では、襞の
裏側の微小ポリープも見逃さず、警告音と画面でその存在を知らせる。②病変の
腫瘍が、ポリープの表面を最大250倍に拡大した画像により、ポリープ表面模様か
ら非腫瘍か腺腫かを見分ける。 さらに、腺腫であれば良性か悪性かの判断、また、
外科的切除か内視鏡切除かの判断支援をするのです。
「エンドブレイン」の治験成績は、腫瘍と非腫瘍の識別で、正診率は96%で、
非専門医(正診率70%)より優秀で専門医に匹敵したとあります。
今後、さらに高精度AIの開発には、超高速演算が可能なスパコンが必要ですが、
検診を支援し、見逃し防止に力を発揮し、また、遠隔医療にも、家庭医や救急医
が撮影したX線画像を自動分析し、ネットワークにより専門医につなぐなど高度医
療の支援にも役立つと期待されています。さらに、現在のメディカルAIの単機能
から将来的には多機能、多角的な支援が可能となりより充実した医療への実現へ
とつながると期待されています。
(ネット画像より)
医療面におけるAIの活用分野は、画像診断が最も代表的で、上記の内視鏡画像
の他、MRI、CT、レントゲン、超音波、病理組織など各種の画像データから直接、
診断や治療に役立てるほか、自動診察(カルテ解析)により問診の効率化やレセ
プト業務処理などにも活用されているようです。
今後ますます、応用分野が広がることでしょう。
(Ghost) Riders In the Sky (American Outlaws: Live at Nassau Coliseum, 1990)
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