先ごろの新聞記事(読売新聞、8/14経済面)に、ホンダジェットが国内市場に参入
して2ヶ月で10機を超える受注があったと報じられていました。
少し前に、当ブログに記事アップしました「MRJ」(2016.12.13)は、リージョナル
ジェットで、ハブ空港とローカル空港を結ぶ中型のジェット機でしたが、ここでいうビジ
ネスジェットというのは、企業や個人が専用に利用するために保有するジェット機のこと
を言っています。
Hondajet
(ウイキペディアより)
私が現役の頃、オーストラリアから来ていたエンジニアと、車の話になった時、彼は
車の免許を持っていないといったことに驚いて、“車にのらないの?”と聞いたら、
“車じゃ時間がかかり過ぎ・・自分は飛行機を利用している。”・・こんな会話を覚え
ています。
日本では、新幹線でどこにでも行けるし、駅も中心部にあって出張などもあまり不自由
に感じないし、ちょっと遠くへは飛行機(定期便)で・・専用の飛行機なんて、政府専用
機とか新聞社の飛行機くらいに思っていて、そんなものは“雲の上の話し”と思っていま
した。
日本ビジネス航空協会は、我が国に於けるビジネス機の普及、啓蒙、発展に寄与する
ことを目的として、平成8年(1996年)5月14日に発足しました。 協会は、シンポジウム
などを開いて、その実情を訴え、導入のための活動を進めています。 協会の資料に
よれば、世界のビジネスジェットは、約2万機あるとし、主な国別の保有数を示して
います。
主な国別のビジネスジェット機保有数(2015.3末)
(日本ビジネス航空協会)
*保有数欄の( )内は、政府関係等の公用機数
表から経済大国である日本が、これほど遅れているのは、やはり、利便性がそれほど
認識されなかったこと、したがって専用飛行機に対する意識が希薄であったことに起因
して、協会の分析によれば・・、
<日本の現状>
・首都圏空港におけるビジネス航空用発着枠の大幅な欠如
・ビジネス機にとっては厳しすぎる航空規則(規則の未整備)
・地方空港を含めた、日本の空港におけるビジネス航空受け入れ支援体制、
施設の未整備
・ビジネス航空への理解不足
・地理的環境、他の交通機関の発達 など
つまり、日本の空港が定期便中心の運用となっていて、需要の多い羽田はビジネスジェ
ットの発着枠が少なく、また格納庫も不足しているからだという。米IT企業が主催する
国際会議が、羽田のビジネス機発着枠の不足との理由から開催地を東京から香港に変更し
た例もあったそうです。
国土交通省は、16年に、羽田の発着枠をこれまでの倍に増やしたり、羽田、成田、関西
空港にはビジネスジェット専用の搭乗口を整備したそうですが、需要に追い付けない状況
なんだそうです。
ビジネスジェットの普及には、空港の発着枠や格納庫の整備など利便性を高める必要が
あり、国交省は、需要動向を見て検討するとしているようです。
世界では、プライベートジェットは売れているそうです。 2017年にSankeiBizが報じ
たところでは、『リーマンショック前の年間1000機には及ばないものの、それでも700機
近くの新造機が販売されており、市場規模は機体だけで180億ドル、約2兆円にのぼるとの
ことだ。
プライベートによる経済効果は新造機だけではなく、リセール市場・機体整備・燃料
販売・駐機料収入にまで拡がる。』とあります。
複数オーナーが1機を共有する「フラクショナル・オーナーシップ」が現在、世界各国
で最も一般的なビジネスジェット機の所有方法となっていることが、増加の背景にある
ようです。
さらに、多くの運航会社ではエアタクシー事業も行っており、使用されていないビジ
ネスジェットを『乗り合いエアタクシー』として共用することで需要を平滑化している
とあり、もはやタクシーライクな感覚になっているのですね。
そんな時、8/27の読売新聞には、『空飛ぶタクシー』が次世代交通として、EUが
開発推進(ドローンタクシー)しているという記事があり、今年3月にジュネーヴのモー
ターショウに展示され話題を呼び、欧州技術革新パートナーシップ(EIP)では基幹
技術に位置付けられたとありました。
世界で、これまで普及しているビジネスジェット一覧が、協会の資料にありましたの
で、そのままコピペしました。
世界の主要ビジネスジェット機 (日本ビジネス航空協会より)
上表で、最大着陸重量とありますのは、もっぱら安全再度の目安を示す重量である
そうで、単位はlb(ポンド)です。
ちなみに、ホンダジェット機の18年度価格は、525万米ドル(約5億7800万円)です。
表には、もう少し大きいジェット機がたくさんありますが、例えば、機体価格が18億円
として、その他、機体維持管理費(パイロット、保険、格納庫等)約2億円/年、直接運行
費(燃料ほか)約30万円/時 かかるそうで、やはり、超富豪かオーナー実業家、有名ス
ポーツ選手などでないと不可能ですね。
冒頭の、ホンダジェットについて、ネット記事からいくつか引用しました。
ウイキペディアから、ホンダジェットは、
『 2015年(平成27年)12月に連邦航空局(FAA)から型式証明を取得した後、北アメリ
カ、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、東南アジア、中国およびインドに販売サービスネット
ワークを拡大。Eliteは2018年4月にFAA、5月に欧州航空安全機関(EASA)の型式証明を取
得している。2017年通年の出荷機数は43機であり同年の軽量小型ビジネスジェット機の
出荷量ではセスナの主力機サイテーションM2の39機を抜いて世界No.1を達成した。
2017年8月時点での受注数は100機超、月産4機の体制であり、2019年(平成31年)3月期
末までに月産7機程度にまで生産能力を拡大させ納期を短縮させる予定である。
2018年(平成30年)5月、国土交通省に型式証明の申請を行い、7月6日に日本での販売
を発表した。丸紅の子会社である丸紅エアロスペースを国内販売代理店とし、2019年前半
の納入開始を予定している。 日本国内ではビジネスジェットの市場は非常に小さく、
そのほとんどが公用機であるが、今後 HACI(ホンダ エアクラフト カンパニー)が市場
を作り拡大を目指すとしている。』
ホンダジェットは、乗員を含む最大7人乗りで、全長約13 m、幅約12 m、高さは
約4.5 mです。
最後に、ホンダジェットHPの記事から、
『 本田技研工業の航空機事業子会社 HACIは2018年6月6日、小型ビジネスジェット機
「HondaJet Elite」を日本市場で受注開始。同日に東京 青山の本田技研工業本社で記者
発表会を開催した。2018年度の価格は525万米ドル(約5億7800万円)。「ホンダは創業
以来、モビリティカンパニーとして、皆さまに自由な移動の喜びを提供することに取り
組んでまいりました。そうした中、空を自由に移動できるモビリティの実現は、ホンダ
にとって創業当初からの夢でした。この夢の実現を目指して、1986年に始めた航空機の
研究・開発は【HondaJet】という形で実を結びました。』