筋萎縮性側索硬化症 という難しい名前の難病です。
ご存知の方もおられると思いますが、運動神経(大脳からの運動命令を筋肉まで伝える神経)が
選択的に障害され、重篤な筋肉の委縮と筋力低下をきたす神経変性疾患で、総合的に運動ニューロン病と
いい、その代表的なのが 筋委縮性側索硬化症(ALS)という難病で、特定疾患に指定されています。
英語 amyotrophic lateral sclerosis から、ALSと呼ばれています。 極めて進行が速く、半数ほどが
発症後3年から5年で呼吸筋麻痺により死亡するという怖い病気です。
ALS患者の運動ニューロンと筋肉
(ネットHPより借用しました。)
先日、テレビで取り上げていました。30代あたりから、ALSの症状があらわれる場合もありますが、
50代から70代前半の年齢層に多いといわれており、中でも一番多いのは65~69歳であるそうです。
この傾向は欧米諸国でも変わらず、男性も女性もこの病気にかかりますが、男性は女性の1.5倍多く
発症するといわれています。 また、肉体を使う職業の人から、身体をあまり使わない職業の人や
主婦まで、生活環境とは無関係に同じように発生するのだそうです。 現在、日本では9000人に上ると
言われています。
しかし、原因はまだはっきりわかっていなく、治癒のための有効な治療法も現在確立されておらず、
対症療法で個々の症状に対して、緩和したり、支援機器などによっているのが現状のようです。
症状としては、いつとはなしに手足に力が入らなくなり、筋肉が痩せて徐々に全身に広がって
(比較的早く)来るといいます。 口やのどの筋肉が障害されると、喋れなくなり意思疎通が不自由に
なります。また、食事では、嚥下障害になったり、呼吸筋が障害されると呼吸がしにくくなります。
この疾患は、やがて全身の筋肉が動かなくなって寝たきりになり、最後は呼吸筋麻痺で死亡するという
難病なんですね。
テレビでも紹介されていましたが、手足の筋肉が全く動かなくなり、車いすに寝たきりで、
人工呼吸器を装着しているので声も出せない。 こんな状況を想像してみて、どうやって意思の疎通を
図るか・・考えてみて、恐ろしくなりました。 意志を伝える方法はまたくないのですね。
しかし、眼球だけは動かせているので、この眼球運動を介助者が読み取り 文字盤を利用するなどして
ようやくコミュニケーションが行えるのです。パソコンソフトなどを介して音声に変換して伝えることが
出来ます。 また、脳波などが検知できる場合は、重度障害者用意思伝達装置の使用が検討されている
ようです。 発話障害が進行する前に声を録り貯めておき、後々の音声コミュニケーションで生かす
取り組みがあるという。
iPS細胞の援用による治療の可能性が検討されているようです。京都大学iPS細胞研究所では、
ALS患者から採取した皮膚細胞からiPS細胞を作り運動神経の細胞に変化させる研究を通じて、将来的な
ALS治療の可能性に繋がるのではないかとみる明るいニュースもあります。 是非成功させたいものです。
結局、ALSは筋肉自身の病気ではないし、手足に行っている細かい神経の病気でもないのですね。
主に脊髄と脳の運動神経が変性し、脱落するために起こるもので、その結果として手が握れなくなる、
舌がしわしわになって呂律が回りにくい、飲み込みにくい、立ち上がりにくい、歩きにくいなどという
症状から始まり、徐々に手足が痩せていくことになってしまうのです。
この病気にかかっている人に、かの有名なブラックホールの特異点定理を発表した スティーヴン・
ホーキング博士(理論物理学者、73歳)や、恩田聖敬氏(Jリーグ FC岐阜社長37歳)など多くの人が
います。恩田氏は、先(6/14)の 対コンサドーレ札幌の試合に0-1で惜敗した時の映像が流れて
いました。
明日、6月21日は世界ALSデイとのことです。
ALSの新薬発見、治療法の確立、病気の理解につながるイベントが世界各地で行われるそうです。
1986年(昭和61年)に、日本ALS協会が発足しています。「ALSと共に闘い、歩む会」として、患者と家族を中心に、遺族・専門医・医療関係者や一般有志が集まり、ALS患者の療養生活の向上と治療法の確立を目的として設立されましたとありました。
アイスバケツチャレンジ
(ウイキペディアより)