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ラグランジュ・ポイント

日記帳です。トップページからは写真も見られます。全て私個人の見解で、所属団体の立場・戦略・意見ではありません。

Gunslinger Girl考

2017-03-19 11:24:26 | まんが・アニメ

こないだ読書会のときに、
本作は親子愛と男女の恋愛の2本が
主軸となった愛の物語だと言っている人がいた。
全く同感である。

その人は、前半パートと後半パートで、2つのドラマが展開されたという
主旨で話されていたと思うが、むしろ僕は、1本のドラマが変容していった
のではと考えている。

10年を超える長期連載であり、また著者の年齢を考えると、
当初は年の離れた男女の恋愛もの、または小児愛・妹愛のような
ところからスタートしたが、加齢にともなって、キャラクターを
娘のように捉えるようになったのではと思う。

トリエラとヒルシャーに焦点を当てると、序盤の方は、先生と生徒という
位置づけであったが、終盤では完全に父と娘の関係に変わっていた。

流行りという面から考えると、連載当初の2002年頃は、ちょうど妹萌え全盛期であり、
終了時(2012年)頃にはすっかり様変わりし、よつばとに代表されるような育児漫画が
盛んに発表されていた。オタクの高齢化と言われ始めたのも、その頃だったような。
すなわち、作者と読者それぞれが、1つのドラマを観るときの、視点が変化していった
という仮説。例えば、ジブリ映画は、数年おきに繰り返し放映されているが、
全く同じ作品であるのに、放映される都度印象が変わる。
これはまさに受け手側の変化。

『ヘンリエッタはジョゼの妹そのものだし、リコはジャンの仕事の道具、 
それじゃあ私には何を演じて欲しいのだろう』(トリエラ)

今このセリフを振り返ると、著者の自問自答のようにも、読者への問いかけだった
ようにも感じられる。


バーナード嬢曰く。(漫画)3巻

2017-03-12 02:36:00 | まんが・アニメ

バーナード嬢3巻読了。

僕の中では、志村貴子の「青い花」と並ぶ百合漫画の最高峰に
君臨する本作だが、回を追うごとにその度合いが増している。
町田さわ子と神林、行くところまで行きそう。
というか、作中ではっきりと描かれてないが、
行間でもうアレな関係になっているのではないか。

思春期特有の同性の友達との擬似恋愛みたいな
風に展開するのは悪くないが、しかし本作は、
あくまで読書漫画な訳で、ガチのレズビアンものに
なられても読者としては困ってしまう。

個人的には、プールサイドで足をバタつかせながら
2人で楽しく読書・・というシーンぐらいの空気感を
保っていて欲しい。

それにしても、施川ユウキは色んな引き出しを持っているな。
漫画家としては長らく日陰を歩んできた作者だが、
もしも最初から作家としてデビューしていたら
違った作風になったのだろうか、などと思う。
仮にそうだったら、サナギさんもテグーも読めなかった訳だから
まったく人生とは不思議なものだ。

あと、表紙裏のカバーで作者も言ってるけど、
町田さわ子、今や完全に一端の読書家やな。
読書という習慣を通じて一段と広い世界を得る
子供の成長物語として本作を捉えると、
とても温かい気持ちになれる。


東京旅行2

2017-03-04 14:29:26 | まんが・アニメ

静嘉堂文庫美術館
目当ての天目茶碗見られず。年中展示品を入れ替えており常設の
品物は無いらしい。そんなヘンテコな美術館聞いたことない。
展示スペースがどうしても足りないのであれば、うちの目玉収蔵品はこれ、
という宣伝の仕方をするのはおかしい。常識で考えて、その施設の目玉と
いえるものがまさか常設してないなどと一体誰が考えるのか。
企画展の刀は見応えあったけど、それとこれとは話が別であり、
正直時間と交通費を返してほしい。

inSPYre新宿
新宿にあるゲーム施設。
スパイになりきってミッションクリアを目指す。いわゆる脱出ゲーム
の一種。機械の故障により2種類プレイしたが、まあ概要くらいは
掴めた。つくづく、脱出ゲームは向いていない。そこそこ楽しめた。

羽田空港にて搭乗を待つ。ペットボトルの内容物を一瞬で検査できる
装置が置いてあった。東京ガスエンジニアリング製だそうだ。
高い分析技術力が要求されるはずだ。詳細が気になる。
羽田を飛び立って50分ほどで、兵庫県加古川市の上空に達した。
往きは夜行バスでたっぷり一晩かかったのに、こうもあっさり
帰ってこれると、狐につままれたような気分になる。


東京旅行1

2017-03-03 21:04:59 | まんが・アニメ

ふれあい下水道館
小平市の半分程度の地域をカバーする下水管を見学した。
臭いは思っていたほどではない。風呂の排水溝の臭い程度のものが
湿度100%で充満してるような感じ。量は少なく、管の底をチョロチョロ
流れる程度。何千軒もの家庭排水にしては呆気ない。
下水管に達するまでに潜水艦用の防水扉を2枚もくぐった。
地下5階までだいぶ深さがあるにも関わらず、地上のエントランスの扉に
臭いが漏れるから絶対に開放しておかないで、とか書かれてて、
周辺住民によほど煙たがられてるのかなと感じた。

赤坂迎賓館
下水施設からの落差が激しい。文句なく雄大で豪奢な造りであり、
堂々たる印象だが、やはり日本において本気で絢爛な西洋建築を
造ろうとすると、どうしても成金趣味的なイメージのものになりがち。
欧米における和風建築が、どこまでいっても違和感を拭いきれない
のと同じ。周囲に溶け込まず浮いてしまう。

東洋文庫ミュージアム
かつて国会図書館東洋文庫支部という別名を持っていたほど、素晴らしい
コレクション。展示されているスペースは博物館というには幾分小振りで
あるが、迫力は十分。紀元前の甲骨文字やら東方見聞録やら
ビゼーの風刺画やら。教科書に出てくる逸品の数々を生で拝めたので
興奮した。

米沢嘉博記念図書館
漫画の虫である個人の蔵書をもとにした施設という名目であるが、
1階の展示コーナーを見る限り、コレクションは漫画以外にもあり、
漫画を中心に古書全般を薄く広く手当たり次第に集めた人だと
いう印象を受けた。2階より上の図書館部分はは、漫画雑誌の
データベースといったところ。漫画ファン個人として訪れても、
パラパラ眺めて冷やかすだけになる。研究者向け。
しかしコミティアの過去回のカタログは興味深かった。
当時の世相、漫画業界の雰囲気が端々から感じられた。


ななかさんの印税生活入門

2017-02-26 21:32:54 | まんが・アニメ

kashmirの今までのどの作品よりも
マイルド。キャラデザも愛らしいし、
好感もてる。氏の暴走不思議な世界観も
損なわれておらず、たぶんこれは傑作。

しかし、120ページの本なのに、
WEBで無料で15ページ×7話も公開してしまって
大丈夫なのか。

ロリコンの気がある作家が、高齢化していったとき、
それが性愛の対象から、娘とか親戚の子供みたいな
ポジションにいつ変わるのか、どのように変容していくのか
興味がある。ななかさんを描く作者は、どんなポジションで
本作に向き合っているのか。


メランコリア

2017-02-15 20:43:50 | まんが・アニメ

道満晴明の新作。
オムニバス形式らしい。
道満氏は至る所で漫画を描いているので
ちょくちょく見かけはする。しかし、どれも
面白くなくはないが、うーんあと一歩という
印象だった。
そんな中で、本作は初めて手放しに良いと感じた。

最近よく思うのは、連載を経験するうちに洗練され、
ついには名作を生み出すような、遅咲きタイプの漫画家も
いるのだなという事。

作家とは感性・才能のみの世界だと今まで思っていたが、
どうやらそれだけでもないらしい。一つ、漫画の奥深さを知った。


変人偏屈列伝

2017-02-13 22:35:59 | まんが・アニメ

荒木飛呂彦とアシスタントによる
奇人を題材にした伝記作品。

荒木氏作画のパートでは、登場人物は全て
生身の人間であるはずなのに、なぜか完全にスタンド使い的
扱いで面白かった。同じような事をアシスタント氏がやっても
全く魅力は伝わってこず、やはり荒木氏は、あの特有の見せ方こそが
持ち味なんだと再確認した。

この人、短編こそが真骨頂という感じがするので、
いい加減ジョジョばかり描いてないで隔月で一本くらいで
良いので読みきり物をやってほしい。


ねほりんぱほりん

2017-02-09 22:42:20 | まんが・アニメ

NHKの業界ぶっちゃけトーク番組。
国会議員の政策秘書の話が面白かった。
脚色は往々にしてあるはずやけど、
激務の割に薄給なのは確からしい。

ブラック企業に勤める人についても同じかと
思うが、普通の人が音を上げてしまうほどの
継続した高ストレス環境を乗り切れてしまう人の
心身が、いったいどのようになっているのか興味ある。
そういった適性をもった人、ある種の天才と呼べるのでは。

「選挙は、公示前にほぼ実質的な勝敗が決まっている」
らしい。開票率0%で当確が出るゆえんである。

草の根の活動の積み重ねで当落が決まる。
人間(有権者)は感情の生き物という一面を深く思い知らされた。


ニュクスの角灯

2017-02-02 22:15:42 | まんが・アニメ

今回、本作を紙で購入してみて思ったことは、
高浜寛の絵の麗しさである。
プロの漫画家として特別画力が高いわけではないと
思うが、一コマ一コマ、人物の構図と作画に
魂がこめられている。漫画作品ではなく
画集のようだ。人物の立ち姿を縦にコマぶち抜きで
描くのはやや少女漫画風。迫力が出る。
それから、単行本のサイズがA5版なのも
特筆すべき点だ。本作の売りである
作者の筆遣いが大画面で眼前に迫ってくる。

大判としたことで、一冊1100円近くと
正直、通常漫画を売る値段ではなくなって
しまっているが、しかしそれだけの
金銭を払うに値する出来に仕上がっている。
本作、高価であるのは、紙だからこそという気がする。
電子版ではこれらの魅力は半減してしまう。

生き生きとした人間、とりわけ女性陣の
描写には目を見張るものがある。
明治初期の人々の着物の匂いまで
紙面を通じて伝わってくるかのようだ。

艶のあるヒロイン達のあふれ出る魅力、
人物の背後から滲み出る、それまでの人生。
それらが紙面に無言の説得力を持たせている。

良い買い物だった。


バーナード嬢曰く。(漫画)

2017-01-22 14:49:00 | まんが・アニメ

町田さわ子が可愛い。
図書室に勝手に集まってきた人が雑談するという体であるが、
事実上、さわ子の天真爛漫なキャラクターに引き寄せられた人々による
彼女を中心としたサークルの話である。高校の文化系クラブの、あの
独特のまったりした空気感を思い出した。

当初は、小説作品を面白おかしくイジる事に主眼が置かれていたが、
2巻になり話数を重ねるにつれて、段々とキャラクター間の心理的な
やりとりに重きが置かれるようになってきた。施川ユウキのエッセイ的な
作品から、バーナード嬢ら高校生達の物語に変容していったとも言える。

アニメ版は、ほぼ町田さわ子と神林のどつき漫才で、百合アニメという
雰囲気すら漂っているが、コミック版は遠藤君や長谷川さんのウエイトも
大きいし、サークルものという印象が強かった。

施川ユウキ作品を読むといつも思うのは、漫画においてより重要な要素とは
絵かストーリーのどちらであるかという事。作者はお世辞にも絵が上手いとは
言えず、おそらく商業漫画家の中ではダントツ最下位の画力だろう。
しかし、作品としての魅力はまったく褪せることはなく、むしろ絵の下手さは
施川漫画の味として受け入れられている節すらある。
ストーリーが下手な漫画は、僕が知る限り、大ヒットを飛ばした例はないと思うが
逆のケースは幾らでもある。

同人の世界では、神絵師という言葉が示すように、優れた同人誌とは絵が上手い
事だという風潮があって、僕が思う漫画についての認識とのギャップに驚かされる。
キャラクター・設定・会話・心理描写など、物語としての魅力なしに優れた漫画など
成立しない。むしろ、絵の方がストーリーの添え物という気さえする。背景が描かれ
ない漫画が別に酷評されない事からも、それは明らかである。もちろん絵が作品と
してのクオリティに寄与する度合いは無視できないし、上手いに越した事はないが。


空挺ドラゴンズ

2017-01-14 22:34:24 | まんが・アニメ

空挺ドラゴンズ

ドラゴンを狩りを生業とする飛行艇乗り達が、
世界中を飛び回る話。
ファンタジーだが、生活感があり、
竜を狩るという行為も、まるで捕鯨漁のように
リアリティを持って描かれている。
雰囲気は、幸村誠に近い。
居住性の高い飛行艇という舞台装置も
なかなか良い。ラピュタを少し彷彿とさせる。

佳作だと思う。


デスノート

2017-01-13 21:43:31 | まんが・アニメ

「いい子にしないと、デスノートに名前書くぞ!」と、教師が児童に言った件

刑事責任の有無を議論する流れ、結構好き。
脅迫罪が成立するか否か。

普通に考えると、デスノートで人が死ぬというのは明らかなフィクションなので
「被害者の身体に害を加える告知」には当たらないといえる。
しかしそれは一般人基準であり、今回は被害者が幼い児童であるため
「デスノートに書かれたら死んじゃうかもしれない」と恐怖を感じたならば
その点はクリアするかもしれない。
結論としては、告知の成立以前に、いくらデスノートを駆使したとしても、
加害者は被害者に危害を加える能力がない(不能犯)ため犯罪は成立しない
と解釈できるらしい。

こういった行為が「脅迫」という罪の構成要件を満たすのか、とか、非難されるべき
というボーダーラインは、一般的な大人が基準なのか、それとも事案特有の要素
(児童であること)を加味するのか、など、刑事法の学習者が好みそうな論点を
多数含んでいて、本件は良質の教室事案だと思う。

かつてゼミの先生が、新入生でいっぱいの母校の大教室で
こんな感じの事例を使って、刑事法的見解を熱弁していたのを
思い出す。ああでもない、こうでもないと机上の事件を肴にして
議論に花を咲かす、そういう行為自体に価値があったのだと
今になって思う。


森の戦士 ボノロン

2017-01-08 15:36:35 | まんが・アニメ

セブンイレブンに置いてるフリーペーパーの
漫画。

幼児向けの絵本だが、絵もストーリーもクオリティ高い。
フルカラーというのもポイント高い。
もう10年以上、隔月発行されているらしい。

絵本というのは、なまじ物語がシンプルな分、筆者の
人間や人生に対するポリシーが透けて見えやすい。

「村」に住んでいながら、貧しいにも関わらず、なぜその家だけ
「迷い犬が出没しないくらい周囲に人家がない林」の中に
位置しているのか、金の無心もできないくらい孤立した人間関係で
夫も無くどうやって息子一人養っているのか、考え出すとなかなかエグい。

絵本だから、都合の良いファンタジーなんだ、と割り切ることもできるが、
脚本サイドが、原哲夫とその編集者である事を考えると、おそらく
そう単純ではないはず。