【Fuku】
連続で今週の一枚ですが、これも最近手に入れたもので、待望のCD化と紙ジャケット使用で復刻された、ファンにとってはまさに幻のアルバム。
このコーナーでも以前にも紹介した70年代の日本のフォークソングシーンの一種の象徴とも言われた関西フォークの伊達男こと、はたまた日本のランブリン・ジャック・エリオットとも言われた超ベテランでかつ今も現役で精力的に活動を続けている加川良氏と、日本のフォークの世界にスティールギターとバンジョーを本格的に取り入れるとともに、今に至るまで的確なテクニックと画期的な奏法で数々のレコーディングでその名手ぶりを示してきた村上律氏(元アーリィタイムズ・ストリングス・バンド,ラストショウ)。この2人だけによるアコースティック・スタジオ・ライブ・アルバムで、1983年にキングベルウッド・レーベルの最後を飾った幻の名盤、「ALIVE」を今回は持ってきました。
このアルバム、実は当時私は出たことすらも知らずに、リリースから1年ぐらい経ってからリリースされた事実を知って、慌てて探したけど全く見つからずに、数年後になんとか中古盤屋で結構高額で出ていたのを買い求めたのですが、盤質が悪くて結局は一回だけ聴いたキリでオクラ入りしてしまった曰くつきの名盤で、今回が待望の初CD化でようやくフツウの音質で聴くことができました。
取り上げている曲は、加川氏の中期の代表的ナンバー(「アウト・オブ・マインド」「駒沢あたりで」など)が中心で、特に目新しい曲はないのですが、加川氏の歌とギターにのる村上律氏の絶妙のラップスティール・ギターが絡んで、何とも言われぬ素晴らしい雰囲気を醸し出しています。
これはスタジオライブ的な息のあったふたりの掛け合いの一発同録の真剣勝負で、時にシニカルに時にまた直情的に、言葉を投げ捨てるかのような加川氏の歌声が、まさにいいライブハウスで対面で一発勝負で聴いているような感覚になってくるような、いたってシンプルだけど非常に生々しく、その空気感がまるごとパックされた臨場感溢れるアルバムです。
私が特に好きなのはオリジナルLPでは一度だけリリースされたものの、CD化はされていない名曲「コスモス」で、彼のライブではお馴染みのナンバーですが、こうして改めてCDで聴くと、この曲の深みと加川氏の甘い声がすっごく印象的に響いてきます。
最近はこういった昔出たけどすぐに歴史の彼方に埋もれてしまった名盤が、CDでしかも当時と同じ紙ジャケット仕様で復刻されることが多く、私のようなオジサンファンが懐かしさとともに買い求めるケースが多いそうですが、決して懐かしさだけでなく、今だからこそ聴いてみて初めてその良さが理解できるということも結構あります。便利な世の中になりましたね。
ALIVE 加川良 ウィズ 村上律 / (紙ジャケット復刻盤)
1. 北風によせて
2. 駒沢あたりで
3. コスモス
4. 偶成
5. 今晩はお月さん
(ここまでがオリジナル盤のside A)
6. オレンジ キャラバン
7. 祈り
8. ばびぶぶべべ
9. 女の証し
10. ゴスペル
(ここまでがオリジナル盤のside B)
SUPER FUJI DISCS / JPN / CD / FJSP-15 / IND1056 / 2007年07月28日 /
オリジナル・リリース
A LIVE 加川 良 with 村上 律 1983/1/21
Produced by 加川 良 with 村上 律
Original LP KING-BELLWOOD K28A-374