【Fuku】
NYの音楽シーンの歴史の中では非常に重要だった60年代のフォーク・リヴァイバル・ムーヴメントが収まると、70年代に入るか入らないかという時期に今度はNYを拠点というかNYを中心とした東海岸でシンガー・ソングライターが大きなムーヴメントとして認知されるようになりました。
中でも70年代のNY的な雰囲気を一番持ったシンガー・ソングライターといえば、やはり元フィフス・アヴェニュー・バンドのピーター・ゴールウェイ(Peter Gallway)でしょう。以前にこのコーナーで紹介した"ブレッド&バター"のアルバムでも活躍したこの人(というかブレバタの古い友人)の実質的にはソロ第二弾となる72年発表の自分名義のアルバム「ピーター・ゴールウェイ」が最近、紙ジャケ仕様で久々に再発されました。
72年のオリジナルアルバム、そして実質的なソロ1stアルバムの「オハイオ・ノックス」、この後出た76年の「オン・ザ・バンドスタンド」は長く名盤としてその筋の方々にはもう黄門さまの印籠のごとくデタとこ買いアルバムのトップにいつも祭り上げられていたほどで、80年代には青山にあった伝説的レコ屋"パイドパイパー・ハウス"では引っ張りだこで売買されたという、モノ凄く日本では玄人ウケするシンガーソングライターとして有名な方です。
サウンドは一言でいえば、モダンなアコースティック・ミュージックなんですが、70年代後半から日本でも持てはやされた所謂"シティ・ミュージック"の本来の意味を教えてくれるような、洗練されたインテリジェンス感溢れる音楽性がそこかしこに見え隠れして、わが国でも、山下達郎氏や大貫妙子氏、そして細野晴臣氏など、ピーターの影響を受けて、そのテイストを自分の音楽に取り入れたミュージシャンが数多くいます。
ピーター自身は多感な少年期をNYのヴィレッジのど真ん中のブリーカー・ストリートで過ごし、N.Y.グリニッチ・ヴィレッジの60年代後半、この場所に吸い寄せられるように集ったさまざまなアーティスト(画家/ビートニク詩人/フォーク・シンガーなど)の研ぎ澄まされた感性に強く影響を受けて、彼は、高校時代の仲間と一緒に伝説的バンド"フィフス・アヴェニュー・バンド"を誕生させました。ルーツ・ロックをベースに、ジャズやボサノヴァを取り入れ洗練されたサウンドは、当時のNYの空気をそのままパックし、清清しい空気感と温もりあるナンバーの数々は、商業的には失敗に終わりましたが多くの人に愛されました。
その後ピーターをNYを後にはL.A.へ移り住み、ほぼワンマンバンドだった"オハイオ・ノックス"でアルバム(実質的1stソロ作とされている)を発表後、72年には自らの名を冠したこのアルバムをリリース。ケニー・アルトマン/ダニー・クーチ/ポール・ハリス/ジョン・サイターなど腕利きの旧友を迎え制作されたこの作品は、アットホームな雰囲気に包まれて、ピーターの渋みの効いた歌声、ナチュラルな響きをもたらすフォーキー・サウンド、そして爽やかさを全面的に押し出した清らかなコーラスなど、彼ならではの非常に個性的な味わいをもった音楽を届けてくれます。
ピーターの紡ぎ出す音は、シンプルな中にグルーヴ感を感じさせるもので、所謂バリバリのフォークシンガー系のシンガーソングライターとは一線を画した、モダンな雰囲気と非常に練りに練られたユニークな詩の世界はを表現したこのアルバムは、まさに東海岸のインテリジェンスが漂うシンガーソングライターものの大名盤といっていいでしょう。
私自身は、結局は後追いでピーターを知った世代なんですが、70年代の中盤、ワーナーパイオニアが仕掛けた「名盤復活シリーズ」というものがあり、そこでボビー・チャールズやジョン・サイモン、ジェシ・ウインチェスターなど所謂NY-ウッドストック系の未知の音楽を紹介してくれたのですが、その中で、決して派手さはないのだけれど、じわじわと胸に迫るものがあるピーターのこのアルバムは最大の収穫で、長年、78年発売のレコードを慈しむように、大切に聴いたものです。
ピーター自身は78年をはじめとして、何度か来日して、小さめのライブハウスでその洗練されたステージを魅せてくれましたが、やはり、才能的にも一番輝きを見せていた70年代初頭のこの歌声が一番彼らしいと思います。
風が清清しい初夏に一番似合うNYの音と空気。まさにそんな感じ。
ピーター・ゴールウェイ/ピーター・ゴールウェイ
1. ウォッチ・ユアセルフ
2. ディサイディドリー・ファン
3. トゥエルヴ・デイ・ラヴァー
4. マイ・スウィートハート・ワズ・マイ・フレンド
5. キッキング・ザ・ボール
6. グッド・レイディ・オブ・トロント
7. ムーンソング
8. カム・フォーエヴァー・ナウ、マイ・サン
9. カム・オン・イン
10. ハーモニー・グリッツ
11. ユー
12. ミスター・メルシボーンズ・ジョーンズ
マスクラット・レコード RATCD-4264 2007
オリジナル音源:ワーナーパイオニア WQCP-380 1972
NYの音楽シーンの歴史の中では非常に重要だった60年代のフォーク・リヴァイバル・ムーヴメントが収まると、70年代に入るか入らないかという時期に今度はNYを拠点というかNYを中心とした東海岸でシンガー・ソングライターが大きなムーヴメントとして認知されるようになりました。
中でも70年代のNY的な雰囲気を一番持ったシンガー・ソングライターといえば、やはり元フィフス・アヴェニュー・バンドのピーター・ゴールウェイ(Peter Gallway)でしょう。以前にこのコーナーで紹介した"ブレッド&バター"のアルバムでも活躍したこの人(というかブレバタの古い友人)の実質的にはソロ第二弾となる72年発表の自分名義のアルバム「ピーター・ゴールウェイ」が最近、紙ジャケ仕様で久々に再発されました。
72年のオリジナルアルバム、そして実質的なソロ1stアルバムの「オハイオ・ノックス」、この後出た76年の「オン・ザ・バンドスタンド」は長く名盤としてその筋の方々にはもう黄門さまの印籠のごとくデタとこ買いアルバムのトップにいつも祭り上げられていたほどで、80年代には青山にあった伝説的レコ屋"パイドパイパー・ハウス"では引っ張りだこで売買されたという、モノ凄く日本では玄人ウケするシンガーソングライターとして有名な方です。
サウンドは一言でいえば、モダンなアコースティック・ミュージックなんですが、70年代後半から日本でも持てはやされた所謂"シティ・ミュージック"の本来の意味を教えてくれるような、洗練されたインテリジェンス感溢れる音楽性がそこかしこに見え隠れして、わが国でも、山下達郎氏や大貫妙子氏、そして細野晴臣氏など、ピーターの影響を受けて、そのテイストを自分の音楽に取り入れたミュージシャンが数多くいます。
ピーター自身は多感な少年期をNYのヴィレッジのど真ん中のブリーカー・ストリートで過ごし、N.Y.グリニッチ・ヴィレッジの60年代後半、この場所に吸い寄せられるように集ったさまざまなアーティスト(画家/ビートニク詩人/フォーク・シンガーなど)の研ぎ澄まされた感性に強く影響を受けて、彼は、高校時代の仲間と一緒に伝説的バンド"フィフス・アヴェニュー・バンド"を誕生させました。ルーツ・ロックをベースに、ジャズやボサノヴァを取り入れ洗練されたサウンドは、当時のNYの空気をそのままパックし、清清しい空気感と温もりあるナンバーの数々は、商業的には失敗に終わりましたが多くの人に愛されました。
その後ピーターをNYを後にはL.A.へ移り住み、ほぼワンマンバンドだった"オハイオ・ノックス"でアルバム(実質的1stソロ作とされている)を発表後、72年には自らの名を冠したこのアルバムをリリース。ケニー・アルトマン/ダニー・クーチ/ポール・ハリス/ジョン・サイターなど腕利きの旧友を迎え制作されたこの作品は、アットホームな雰囲気に包まれて、ピーターの渋みの効いた歌声、ナチュラルな響きをもたらすフォーキー・サウンド、そして爽やかさを全面的に押し出した清らかなコーラスなど、彼ならではの非常に個性的な味わいをもった音楽を届けてくれます。
ピーターの紡ぎ出す音は、シンプルな中にグルーヴ感を感じさせるもので、所謂バリバリのフォークシンガー系のシンガーソングライターとは一線を画した、モダンな雰囲気と非常に練りに練られたユニークな詩の世界はを表現したこのアルバムは、まさに東海岸のインテリジェンスが漂うシンガーソングライターものの大名盤といっていいでしょう。
私自身は、結局は後追いでピーターを知った世代なんですが、70年代の中盤、ワーナーパイオニアが仕掛けた「名盤復活シリーズ」というものがあり、そこでボビー・チャールズやジョン・サイモン、ジェシ・ウインチェスターなど所謂NY-ウッドストック系の未知の音楽を紹介してくれたのですが、その中で、決して派手さはないのだけれど、じわじわと胸に迫るものがあるピーターのこのアルバムは最大の収穫で、長年、78年発売のレコードを慈しむように、大切に聴いたものです。
ピーター自身は78年をはじめとして、何度か来日して、小さめのライブハウスでその洗練されたステージを魅せてくれましたが、やはり、才能的にも一番輝きを見せていた70年代初頭のこの歌声が一番彼らしいと思います。
風が清清しい初夏に一番似合うNYの音と空気。まさにそんな感じ。
ピーター・ゴールウェイ/ピーター・ゴールウェイ
1. ウォッチ・ユアセルフ
2. ディサイディドリー・ファン
3. トゥエルヴ・デイ・ラヴァー
4. マイ・スウィートハート・ワズ・マイ・フレンド
5. キッキング・ザ・ボール
6. グッド・レイディ・オブ・トロント
7. ムーンソング
8. カム・フォーエヴァー・ナウ、マイ・サン
9. カム・オン・イン
10. ハーモニー・グリッツ
11. ユー
12. ミスター・メルシボーンズ・ジョーンズ
マスクラット・レコード RATCD-4264 2007
オリジナル音源:ワーナーパイオニア WQCP-380 1972