10月10日
紫紺野牡丹が一輪咲いた。
私は年賀状に駄句を添えて出している。
今年は
坂でとふ
しこんのぼたん
ひびかせる
湯河原。杉の宿まで
坂道を歩く。鮮やかな紫紺。
「何という花ですか?」
「紫紺野牡丹ですよ」
庭いじりの女性が答えた。
何とも不思議な響きである。
との文面だった。
すべての同僚に蛸八(末広がりの縁起物)の饅頭とともに
年賀状を手渡した。
同僚にとふ。
「この花の名前わかります?」
誰も答えること相成らず。
老齢化のせいか?
あるいは駄句のせいか?
おそらく、後者であろう。