Kakuma News Reflector 日本語版

カクマ難民キャンプの難民によるフリープレス
翻訳:難民自立支援ネットワークREN
著作権:REN(無断引用転載禁)

2009年3-4月号 都市部の難民という現実

2009年08月16日 | オピニオン
【漫画】「どっちの刑務所に行きたいんだ?……カクマかダダーブか?」 
     難民:「嫌です……ケニアよりはグアンタナモにいるほうがましです……」

この意見記事は、無許可で都市部に住む難民の苦悩を浮き彫りにすると共に、ケニア政府や国際難民高等弁務官事務所(UNHCR)がなぜこうした現実に即した方針をとらないのかを問うものだ。

私は、最近行われた人口調査で都市部出身の多くの難民がカクマ難民キャンプにやってきて、キャンプの人口が突然増加したのに気づいた。このことからも、カクマ・キャンプの「住人」として数えられている何千人もの難民が、実際には許可なしに都市部に住んでいることは明らかだ。こうした状況のなか、都市部の難民を都市部の「違法な」居住区に押し込めることが果たしてフェアなことかどうかを問いたい。UNHCRやケニア政府はなぜ現実に即した方針をとろうとしないのだろうか。

ケニアでは、難民の居住区は大きく分けて2つに分類できる。都市部とキャンプだ。ケニアの方針では、難民は指定された難民キャンプに滞在するものと考えられている。これがいわゆる「キャンプ難民」だ。

もうひとつは都市部の難民で、これは4つのグループに分類できる。第1のグループは、UNHCRが十分な場所を提供し、支援を行っている難民で、都市部(主にナイロビ)に住む特別の許可を得ている。しかし、UNHCRがこうしたケースを認めることは稀だ。第2のグループは、都市部に住むための許可証を持っているが、UNHCRの支援は受けていない難民。許可証の期限が切れるとUNHCRが更新してくれる。第3のグループは、UNHCRからもケニア政府からも認められていない違法難民だ。不法滞在移民として違法にナイロビに住み、働いている。

そして私が注目している第4のグループが、難民として認められてはいるが許可証なしに都市部に住んでいる難民だ。UNHCRに認められてはいるが、ケニアの方針で難民キャンプに滞在することを義務づけられている。こうした難民は、自分の都合で都市部に滞在し、UNHCRの支援を受けずにあらゆる費用を自分で負担する道を選んでいる。キャンプを訪れるのは、特に人口調査など、UNHCRから召集を受けたときのみで、その後また都市部の居住区に戻っていく。

無許可の都市部の難民は、家族が支えているか、何らかのかたちで職についている。こうした経済交流が都市経済の発展に大きな影響を与えていることを見逃してはならない。難民の自立だけだはなく、難民の抱える懸念についても考慮することが重要だ。難民キャンプで不安を感じている難民もいるし、キャンプでのサービスも極めて限られている。就業の機会をものにするためには、キャンプの外でよりよい教育や通信手段を求めなければならない。

しかし、無許可の都市部の難民として生きていくことには大きな危険がつきまとう。2006年ケニア難民法は、指定されたキャンプ外で許可なしに生活することは違法だとしている。このため、難民はフォーマルセクターでの就職や公認事業の経営のための許可証を得ることができない。これが警察による嫌がらせを引き起こすこともあり、高額の罰金を科されたり刑務所に入れられたりする法的な危険も伴う。こうした難民は法的保護を受けられないまま、いつまでも不安定な状況を抱えながら生きることになる。

大多数の難民が何年もキャンプに滞在するというのは事実だ。しかし難民も、人生を新しく変える必要がある。UNHCRの支援なしにキャンプに長期滞在していると、自信を失うことになる。難民は自立するために、民間部門で働いたり、自立のために小規模の事業を始めたりして、生活していく自信をつけるべきだと思う。

当局は難民の関心事を尊重し、都市部に違法滞在する危険から難民を保護すべきだ。都市部とキャンプを何度も行き来することで発生する予期せぬ出費など難民の金銭的負担を減らすことも必要だ。

この現状を受け、次のように提案したい――UNHCRやケニア政府はこうした人々のことを考え、都市部に住むことを法的に認める許可証を発行し、同時に持続性のある解決法に向けた難民のニーズを尊重し続けるべきだ。

大部分の都市部の難民が住むナイロビは、カクマ難民キャンプから1000キロも離れていることを考慮しなければならない。私の提案は、都市部の経済発展にプラスの影響をもたらし、頻繁な行き来にかかる時間や金銭的負担を減らし、キャンプと居住区の間を何往復もする間に発生する交通事故の削減にもつながることだろう。


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