2009年3-4月号 少女を犯した男、再定住の権利を主張

15歳の少女を犯し妊娠させた22歳の男が、法律上、少女の家族と共に再定住する権利があると申し立てた。

2009年1月12日、15歳になるソマリアのベジュニコミュニティー出身の少女が、22歳の男に犯された。一か月後、妊娠していることが発覚した。

2009年2月、少女の家族はアメリカへの再定住手続きのため、JVA（Joint Voluntary Agency)との面談を予定していた。そこに、少女を襲った男が、法律上その家族と共に再定住する権利があると主張してきた。彼らの娘が自分の子供を妊娠しているからというのがその理由だ。

その主張を受けた少女の母親は「信じられません。どうしてそんな事が可能なのでしょう」と驚きの色を隠せなかった。

娘とその男の関係を知らなかったので、事前にUNHCRに伝えていなかったのが心配だと母親は言っている。（再定住ための面談と面談の間に、家族の人数が増えた場合、説明を求められたり、場合によっては再定住が認められないこともある。）

JVAの面談後、少女の家族は地元警備員と警察にこの犯行を報告した。警察はその男性を婦女暴行容疑で捕まえようとしたが、家には彼の叔父しかいなかった。

3月2日、容疑者の逃亡を助けたとして容疑者の叔父が逮捕された。警察の独房に入れられた叔父は、2日後に容疑者の居場所を知らせた。警察は直ちに容疑者を逮捕し、叔父は釈放された。

警察が供述書を取ろうとしたところ、男は「俺が逮捕されるのは構わない。でも、俺は自分の子供を助けなければならない。彼女の家族は再定住申し立てを通過させる為に、俺の子供を妊娠中絶しようとしている」と供述した。

少女は妊娠中絶を試みたが失敗してしまったというのが男の言い分だが、少女とその家族は、妊娠中絶など考えたことも試みたこともないと主張している。「イスラム社会では、中絶は罪深い行為として禁じられています」と少女は言っている。

男は少女と婚約していると主張。双方の家族が話し合いをして、この件を解決する事を望んでいる。噂によると、少女は男と婚約したが、少女の母親にそれを知らせると彼女に約束した男の友人達に騙されたのだという。（少女の父親は2004年1月、カクマキャンプで身元不明の男に射殺された）

男は警察に6日間拘束された後、釈放された。少女の母親の供述によると、両方のコミュニティーのリーダーの仲介で交渉が行われ、和解が成立した。しかし、合意の内容がどのようなものだったかは、明らかにされていない。

この件に関してコミュニティーの長老達が出した結論に同意したのかと聞かれた少女の母親は、「私が同意しようがしまいが、私は被害者です。卵が手から落ちたら、割れてしまう事に変わりはないのと同じです」と答えた。

母親は娘の将来を心配している。「娘はこの問題を自分自身で考えていくしかありません。他にこのような問題を抱えている少女はいないでしょうか」

少女の母親は、家族がアメリカへ再定住する機会を得たことについてこう語った。「これは、私が難民としてカクマキャンプにいた11年間ではじめての、素晴らしい奇跡です」