中間玲子のブログ

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自己呈示

2010-06-20 20:33:29 | 心理学こぼれ話
昨日、自己開示のことを書きましたが、
類似の概念として「自己呈示」というものがあります。

自己開示というと、内面を曝すということを書きましたが、
それは他者からは見えないため、それを偽る事は可能です。
たとえば、ちょっとイメージを作ろうとして、
開示する自己情報の内容を操作することも可能です。

このように、相手に特定の印象を与えようとして
自分の情報を操作して呈示することを「自己呈示」と言います。

Tedeschi & Norman(1985)は、自己呈示行動を
・戦術的であるか、戦略的であるか
・防衛的であるか、主張的であるか
の2つの次元から、整理しています。

・戦術的というのは、特定の対人場面において一時的に生じるもの

・戦略的というのは、多くの場面において戦術を組み合わせて
 長期にわたって特定の印象を他者に与えようとするもの

・防衛的というのは、相手が自分に否定的な印象を抱く可能性があるとき、
 それを少しでも肯定的なものにしよとする試み

・主張的というのは、他者の行動に対する反応ではなく、
 特定の印象を与えることを目的として積極的に行うもの

この組み合わせから、自己呈示行動を4つに分類しました。

1.戦術的・防衛的:
  弁解、正当化、セルフ・ハンディキャッピング、謝罪、社会志向的行動

2.戦術的・主張的:
  取り入り、威嚇、自己宣伝、示範、哀願、称賛付与、価値高揚

3.戦略的・防衛的:
  アルコール依存、薬物乱用、恐怖症、心気症、精神病、学習性無力感

4.戦略的・主張的:
  魅力、尊敬、威信、地位、信憑性、信頼性

うーん。
こう並べてみると、
それを意図的にやっていると言われるとつらい、と思うものも
含まれているし、
また、自己開示をしたつもりでも自己呈示って言われてしまいそう…、と
思うものも含まれています。

その辺り、どの観点から整理するかによって
かなり意見が分かれるところのようです。
どこからが自己開示でどこからが自己呈示なのか、
どこからが意識的でどこからが無意識的なのか、
その辺りで区別しようとしても、それはかなりの困難を伴います。

そこは掘り下げない方がよい問いだと思いますので、
今日はこの辺でお開きにさせていただきます。

*参考文献
 中村陽吉編『「自己過程」の社会心理学』東京大学出版会, 1990年

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