どんまい

いろいろあるけれど、それでいい。

レボリューションNo.0

2011年03月08日 | book
レヴォリューションNo.0
クリエーター情報なし
角川書店(角川グループパブリッシング)



最近、読んでいた『錨を上げよ:百田尚樹』の下巻を買いにTSUTAYAに行った。
そこで目にした『レボリューションNo.0』。
金城一紀の最新刊。
待ちに待った最新刊。
ゾンビーズの続編にして完結編。

やっぱ今回で最後なんだなあと手にとった。
出るぞ、出るぞとは訊いていたけれど、
数年が経ち、たんなる噂話だったんだと思っていた。


ゾンビーズ結成前の話。
最後の終わり方が好きだった。
ただ、やっぱ、最後ってのはもったいないなあ。



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河童のかわぐちくん(6)

2011年03月07日 | rakuunanzyuku
河童はおそる、おそる俺の前に立った。
俺よりも身長が低かった。

「昨日は、溺れているところを助けてくれてありがとう」
用意していた言葉を言った。

河童はよくわからないというふうに首をかしげた。
河童は人間じゃないから、
言葉が通じないんだということがわかり、
身振り、手振りで、お礼を伝え、
ビニール袋に入っていたきゅうりを差し出した。

河童はキュウリに手を伸ばし匂いを嗅いだ。
食べ物だということがわかったのか、
口にきゅうりを運んだ。

一口食べて、すごい喜んでいるのが俺にもわかった。
河童は、俺に握手を求めてきた。
おまえは、良い奴だと言わんばかりだった。
やっぱり河童はキュウリが好きだったんだ。

キュウリを食べ終えた河童は、
俺の手をとり、
川に連れて行こうとした。

「いや、いや、俺、あきらめたんだ。泳ぐの」と慌てながら、身振りを交えて話した。

河童は、これを使えば大丈夫だと、
背中にしょっていた亀の甲羅のようなものを俺に渡した。
見た目ほど亀の甲羅は重くなかった。
片手でも余裕で持つことができた。
ただ渡されたはいいけれど、
何に使うものなのかはわからなかった。

河童は、こう使うんだと、
先に川に入り、亀の甲羅を使いながら泳いだ。

亀の甲羅をビーチ板のように使い、
時には救命胴衣みたいに使った。

これなら俺でも使えるなと思ったのと、
川で転んで、全身、べちょ、べちょだったから、
もう、服を着たまま川にはいっちゃえという開放感で、
亀の甲羅を借りて、川に入った。

俺のとなりに泳いできた河童は、
こう泳ぐんだと教えるように、
平泳ぎをした。
俺もそれを真似た。

そうやって、しばらく泳いだ後、
河童と二人で川から出た。
ちょっと疲れたから、
草むらで横になった。
河童も俺の横に来て、
寝そべった。

空を見た。
青空には入道雲。
夏真っ盛りって感じで、
時折、心地良い風が吹いた。

河童が、そうだと上体を起こし立ち上がった。
俺に手招きをし、
両手を地面についた。

相撲?

どうも、河童は、俺と相撲をとりたいようだった。
何かよくわからないけれど、
俺も両手を地面についた。

河童が俺につっこんでくる。
やっぱり相撲だ。

河童の体はぬるぬるした。
俺は大外刈りで、河童に勝った。
思いのほか、河童は弱かった。

すぐ、もう一回と言わんばかりに、
両手を地面についた。
そして、あっけなく、俺は、また勝った。

もう一回。
また、俺の勝ち。

河童は、もう一回、もう一回と、
何度も相撲をとりたがった。
相撲を取る度に俺が勝った。
河童は、思いのほか、弱かった。


日が沈みかけてきた頃、
夕飯までに家に帰らないとかあちゃんに怒られるだろうなと頭を過ぎり、
河童にまた明日くるから、
明日、またやろうと伝え、
やっと相撲が終わった。


河童にお礼を言えてすっきりしたのと、
河童と遊ぶことができたことが嬉しくて、
何度も、何度も、その一日を振り返って、
自転車をこぎながら家路についた。



※この物語はフィクションです。




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河童のかわぐちくん(5)

2011年03月03日 | rakuunanzyuku
次の日の朝、
河童はきゅうりが好きなんだっけと思い出して、
かあちゃんに「冷蔵庫のキュウリ、1本もらうね」と告げ、
ビニール袋にキュウリを入れて、
靴は川に忘れてきたから、
家にあった大きめのサンダルで、
これまた自転車も川に忘れてきたから、
徒歩で川に向かった。
徒歩で向かう川は意外に遠かった。

家族には、河童に会ったことを言わなかった。
誰かに話したい衝動にかられたが、
誰かに話すと、河童に会えないような気がしたから、
話をするのはやめることにした。

川には、昨日のままの自転車と靴とTシャツがあった。
昨日と違ったのは、見渡しても河童がいないことだった。
お礼を言おうと思ったのに河童はいない。
会いたいと思った時にいないと余計、会いたくなる。


「かっぱああああ」でかい声で叫んだ。


が、風景は何も変わらない。
蝉の鳴き声だけが聞こえた。

昨日、川で溺れたこともあり、
今日は海パンをはかずに来た。
夏休みあけに泳げるようになりたいという気持ちもどこかに行った。
まさしく三日坊主とはこのことだった。

せっかく来たのだから、
もう少し河童を待つことにした。

暇だから、川に転がっている無数の石の一つを掴み、
アンダースローで川に向かって投げた。
石はてん、てん、てんと三回、川を走り、沈んだ。
何度か、同じことを繰り返しているうちに飽きた。
まわりを見ても、河童はやっぱりいなかった。

次にやったのが、石から石へと渡って歩くっていう遊び。
バランスを取りながら、グラグラ不安定な石の上を歩いた。
その一つの石が、妙に滑って、バランスを崩して、俺は、すっころんだ。
ズボンはべちょべちょ。

その時、
「キャッ、キャッ、キャ」って笑い声がしたんだ。


声をする林の方に目をやったら河童。
河童を見て、慌てふためいて、また、すっころんだ。
Tシャツもべちょべちょになった。

川に倒れたまま、再び、河童を見た。


昨日は、動揺していたから、ちゃんと見てなかったけれど、
その河童は、俺よりも背が低かった。
今日は、全然、恐怖を感じなかった。


「おーい」
俺は、大きく手をふって、こっちに来てと、手を振った。
河童は、おそる、おそる、こっちに歩いてきた。



※この物語はフィクションです。




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ばあちゃん温泉旅行作戦

2011年03月02日 | little story
先月、妹から『忙しくなければ来月、温泉どう?』とメールが入った。

内心、早くねえ?と思った。
去年の9月、親父祭で家族と温泉に行ったばかりなのに。
とは思ってはみたものの、妹の心意気を大事にしたい。
『ああ、良いよ』と返信した。

数日後、ばあちゃんも連れて行くと言うので、
それは、良い考えだ。良い考えじゃないかと妹を称賛した。

昨年の暮れ、じいちゃんが亡くなった。
ばあちゃんは、口には出さないが、寂しい日々を送っているだろう。

そういえば俺が財布を落とした時、
ばあちゃんは1万円を貸してくれた。
その1万円を返すと言ってもいっこうに受け取らない。
ここは温泉代を出すことにより、俺も恩を返さなければならない。
そう思った。
が、しかし、ばあちゃんは、そう簡単について来ない。

案の定、妹は、ばあちゃんを誘うことに失敗した。
『寒いから行かないって』とメールが返ってきた。
そのメールを見て、『寒いから温泉に行こうと押せ!』とメールを返した。
屁理屈はおてのもんだ。

数時間後、『やっぱり行かないって』と返事が返ってきた。
こうなったら、まさしく作戦失敗。


ばあちゃんを、その気にさせるには、作戦が必要だ。




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コンビニ店員列伝

2011年03月01日 | little story
今日、行ったコンビニの店員が、
妙に、せわしなく、レジで動いていた。
俺の後ろには誰もいないのに。

何をそんなに急いでいるのだろうか。
帰るまでにやらなきゃならない仕事があるのだろうか。
これが朝だと「急いでくれて、ありがとう」と声の一つもかけたくなるが、
のんびりしている夜だと、こっちまでお金を出すのを急がなきゃならないという気持ちにさせられる。

コンビニを出る時、
今まで出会ってきた一風変わったコンビニの店員を思い出したので、
今日は、その話を書こうかな。


一人目。
「へい、らっしゃい」と「いらっしゃいませ」を寿司屋風に言うコンビニの店員。

そのコンビニは、あと数日で閉店する感じだったんだけど、やけになっていたんだね。たぶん。



二人目。
あまりにも丁寧すぎて、逆に、イラっとさせるコンビニの店員。

「ストローが手にささる可能性があるのでお気をつけ下さい」と言われた時は、
割り箸の爪楊枝はささったことあるけれど、
ストローはささったことねぇよと、
心の中で突っ込みを入れた。
丁寧なのに、イラっとくるのは初めてだった。





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