いつも寝不足 (blog版)

動物園・水族館へ行った記録が中心(?)。
他の話題はいつも寝不足 (信州FM版)で。

人は家族に生まれるのではない ― 『幸せな食卓』

2006年02月03日 | マンガ・アニメ
遠藤淑子お得意の「奇妙な家族」(寄せ集め家族の方が正確か?)ものの最新刊。

幸せな食卓

白泉社

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掲題は言わずと知れたボーボワールの有名な言葉の出がらし。でも、遠藤淑子の諸作に通底するものを端的に表すとするならば、この手あかのつきまくった言葉以上のものをちょっと思いつかない、私は。掲題に続く言葉は、これまた言うまでもなく「家族になるのだ」。

今回は、売れない演歌歌手(元アイドル)の母親と、家事一切を取り仕切る長男(中二)、思いやりに溢れる聡明な長女(小三)、母親と家族に絶大な信頼を寄せる次男(5歳)の4人家族が主人公。

こういう設定で、尚かつ、遠藤淑子の作品となると繰り広げられる話のパターンはいつもの通り。また、家族と言っても、寄せ集めであることもいつもの通り。遠藤淑子のいつもの通りの作品だね。

と、ここまで書いて気がついた。遠藤淑子作品がワンパターンであるかような書きぶりだ。うむ、それは紛れもない事実だ。でも、それは全然マイナスポイントじゃなくて、それだからこそ、遠藤淑子の価値があるという点だ。たとえるなら、AC/DCやアイアン・メイデン(※)の曲がどれを聞いても、「何か聞いたことがあるような」というのと同じ。
※もちろん、モーターヘッドやZZ TOPでも一向に構わない。

分かる人にしか分からないようなたとえを出してしまったが、要は遠藤淑子は相変わらず素晴らしいということだ。なお、本筋とはほとんど関係ないが、舞台は懐かしの退引町のっぴきちょうだ。

「ドンシャリ」っていい音?

2006年02月03日 | 雑記
何気なく「ドンシャリ」を検索してみてビックリ。

「ドンシャリ、という言葉がありますよね。低音のドン、と高音のシャリ。これが両方しっかり出ているとメリハリがあっていい音だと言われている」(開発ストーリー |技術情報 |松下電器産業株式会社)なんて記述に出会ってクラクラしそう。

まぁ、言葉の意味とはその言葉の用法の全体だから、「ドンシャリ」が褒め言葉として伸していけば、私がクラクラした方がおかしいと言うことになる。しかし、一般的に言って「ドンシャリ」は褒め言葉じゃないよなぁ。

私の認識している限りで「ドンシャリ」とは低音と高音を不自然に強調してメリハリを持たせた音づくりをしたオーディオ機器に冠せられる不名誉な称号だと思っていたのだが。

こういった音づくりは安価な機器に多く見受けられるもので、「音の分離が鮮明」とか「クリアなサウンド」なんて称している安い製品は九分九厘ドンシャリ。もちろん、こういった音づくりに適した音楽(ロックやHR/HMが代表的)も存在するわけで、そういった音づくりが一概に悪いと言うわけではないが、近頃はそこそこ値の張る機器でもドンシャリな音づくりが多くて辟易していた。

なるほど、「ドンシャリ」を褒め言葉とする人たちが作っていれば、自然とドンシャリな製品ができあがるよな。それに、うちにあるTV(パナソニック製)は低音が不自然に強調されていて、「気持ち悪」と思っていたのだが、その理由も分かった。ベースだけが浮き上がってゴリゴリゴリゴリと弦が振るえる様子が分かる音づくりって、個人的には嫌だなぁ。

もっとも、ホームシアターと称されている製品は例外なくドンシャリなので、それが広く受け容れられるのならば、メーカとしてはそういう方向に行くしかないわなぁ。

¬喫煙1周年

2006年02月02日 | 健康
最後に煙草を吸ってから1年経過。世間的で言うところの「禁煙」1周年。

とは言え、「禁じている」わけでも「禁じられている」訳でもないので「禁煙」という表現は似つかわしくない。なので「¬喫煙」と称している。「¬」は否定記号で、要するに喫煙以外のものを選択していることを示している。まぁ、何と称しようと煙草を吸っていないという事実には変わりはないので、どうでもいいっちゃあ、どうでもいいのだが。

ところで、煙草に関して興味深い本を2冊挙げておく。

『禁煙セラピー』は、つい最近もAmazonで上位に来ていて、本当に息が長く売れ続けている。何が書かれているかというと、人はなぜ煙草を吸うのか、ということが1つ。煙草を吸うことがいかにみっともないことなのか、ということがもう1つ。これが延々と書かれていて、最後まで読むと自然と煙草がやめられるそうだ。読んでから、3-4ヶ月後に今の¬喫煙が始まったので、私も間接的にはお世話になったと言えよう。

禁煙セラピー―読むだけで絶対やめられる

ロングセラーズ

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もう1冊は『ニコチアナ』。著者のblogによると、おそろしいほど売れなかったらしいが、少なくとも、前半部は必読だと思う。紙巻き煙草が持つ近現代社会における文化的・社会的意味合いが非常に鮮やかに描かれている。煙草と一口に言っても、葉巻、パイプ、スニフ、チューイングと様々あるが、なぜ紙巻き煙草が煙草の王者になったのかという点が様々な登場人物を通して重層的に語られていくところは非常に読み応えがあった。

ニコチアナ

文藝春秋

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以下、閑話。

たばこを買って少子化対策に貢献しよう」に書いたことはそれほど的外れではないということを先月行ったたばこと塩の博物館で確認してきた。個人的に一番印象に残ったのが「国防費献納週間 / たばこ屋の利益から / 東京地方専売局後援」と書かれたポスター。やはり、国防と煙草は縁が深い。国防好きな産経新聞には是非ともアンチ嫌煙キャンペーンを張ってもらいたいものだ。

おぶせミュージアム・中島千波館へ行ってきた

2006年02月01日 | 外出
おぶせミュージアム・中島千波館へ行ってきた。

現在は、東京藝術大学大学院美術学部デザイン科描画・装飾研究室に在籍する・していた若手作家による「作家の卵展」をやっている。

やはり、若手の作品は面白いね。活きの良さが作品に表れているんだろうね。大家の作品は安定している分面白味に欠ける。常設展示されている中島千波の作品も新しい作品より若い頃の作品の方がずっと面白いし。

館内撮影禁止なので作品を具体的に示せないのが残念だが、上記リンク先で一部を見ることができる瀧下和之「桃太郎図ノ弐百弐・鬼ヶ島で×××(チョメチョメ)」なんかはキャッチーでありながらも、それだけに留まらないものを感じさせてなかなか。

他には入り口近くにある田中怜「触情しょくじょう」や、三枝淳「花鳥図―5」、唯一の造形作品だった林由未「ほころびの街」なんかが印象に残った。

さて、冒頭の写真。福原祭り屋台の天井彫刻。もしかしたら、ここも撮影禁止なのかもしれないが、禁止の表示もなかったし、フラッシュも焚かないで撮影しているので堪忍して、って感じ。

小布施の祭り屋台というと、葛飾北斎が天井画を描いている上町と東町の屋台(北斎館所蔵)が有名なんだけれども、おぶせミュージアムに置いてある屋台もなかなか。

福原の屋台は天井に彫刻が施してあって、何でも彫刻を毎年取り替えていたそうだ。残念ながら、それらの彫刻は現存していないが、往時の威勢を偲ばせる話だ。

他にも、横町、六川、伊勢町、中町の屋台が展示されていて、それぞれに趣向を凝らした造りになっていて、興味のある人にはなかなか面白いと思う。興味がなくても、一度は見ておいて損はないでしょう。
屋台