いつも寝不足 (blog版)

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『恐竜・怪鳥の伝説』

2006年02月16日 | 映画・ドラマ
仁義なき戦い』での狂犬っぷりが印象的な渡瀬恒彦。『仁義…』のちょっと後に、こんな作品にも出てたんだね。

恐竜・怪鳥の伝説

東映

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月々定額で借りられるから、1本いくらでは決して借りないような作品も借りてしまう。

話の内容は、当時流行っていた(らしい)動物パニックムービー(『ジョーズ』に代表される)を怪獣もの(正確には恐竜)で作ってみましたという感じ。

正直、見ていて辛かった。思わせぶりなだけで一向に盛り上がらないストーリーや、見る方を焦らせていると言うよりは、クオリティの低さが露呈することを恐れているとしか思えない恐竜の出現頻度の低さ(※)
※その割りにラスト近くでは泣きたくなるようなバトルシーンが出てくるが。

主人公 渡瀬恒彦とその恋人(沢野火子)の関係(ロマンス込み)もストーリー展開上、ほとんど役に立っていない。その恋人も才色兼備の素晴らしい女性という設定なんだろうけど「ひぎぃ゛や゛~゛」だとか「ぅ゛わ゛ぁ゛~゛」だとか叫ぶためだけにいるとしか思えない体たらく。

その叫び声も品がなくて、途中で殺される役ならピッタリだが、ヒロインとしての魅力を大きく減じている。何のために、ヒロインに叫ばせているのか意味不明。

ラストの、地割れに落ちそうになっている恋人を救うシーンも、ウェットスーツに身を包んだヒロインが両手両足を木に絡めてモンキーぶら下がりでぶら下がっている姿が笑いを誘うだけで、ちっとも見ている方に迫ってこない。

正直、良いところを見つけるのが難しいと言うよりは、ない。すっげー暇を持て余していて、尚かつ、その暇を何もしないで過ごしてしまうよりも詰まらない形で過ごしたい人にしか薦めない。

何でこんなダメな作品に仕上がっているのかというと、色んな要素を詰め込みすぎて、そのどれもが消化不良どころか全く消化されない形で放置されているからだろうな。

例えば、恐竜と怪鳥はどうやらゴジラばりに自然による人間へのしっぺ返しを体現しているらしいのだが、そのことも深く掘り下げられることなく、単に凶暴な恐竜と怪鳥で終わっている。おまけに両者の戦いも大地震+富士山の噴火で両者死亡であっけなく終わってしまう。

また、渡瀬恒彦が何回か口にする「自然は飛躍しない」も、一体どういう脈絡で言っているのか全く理解できない。どうも、この言葉をキーにして恐竜実在説を展開したいようなのだが、発想が飛躍していて全くついていけない。誰かが恐竜の実在に疑問符をつけると「自然は飛躍しない」と言うだけで、それがなぜ疑問に対する回答になるのか不明。

終盤の恐竜と怪鳥が戦うシーンやヒロイン救出シーンのバックで流れている歌も、妙に明るく軽い曲で場を全く盛り上げないどころか、画面で繰り広げられる戦いと合わせて聞いていると脳酸欠になりそうだ。

これだけ訳の分からない映画が7億円もの巨費(当時の日本映画基準)を投じられて作られたってのも凄いが、公開されちゃったってのがもっと凄い。誰か止めなかったのかよ。