マリンピア日本海の次に
新潟市會津八一記念館へ行った。徒歩約10分。
さて、會津八一。どこかで聞いた名前だなぁ、と思っていたら、大学の大先輩じゃございませぬか。あまりにも先輩過ぎて、私の生まれた時には既に鬼籍に入っているくらいだけれど。大体、坪内逍遙や小泉八雲に直接教わってるんだから、どれだけ大先輩か分かろうというもの。
それに、
早稲田大学會津八一記念博物館もあるから、学生時代から名前だけは何度も目にしていたのだろう。
展示されていたのは、主に書や歌なのだが、正直言ってサッパリ分からない。會津八一宛の書簡類も展示されていたのだが、何が書いてあるか分からない。正確には、昭和に入ってからのものはそれなりに分かるのだが、明治・大正期のものはミミズがのたくったようにしか見えない。
草書は高校の時に習ったのに、まぁ、全然読めないね。ああ、なるほど、こうやって文化は滅んでいくのだな、と思った。欧米人が筆記体をほとんど書けず、小汚いブロック体を臆面もなく書いているのを見て、何じゃそりゃ、と思っていたのだが、昔の日本人からすれば、現代の日本人も同じようなものなのだろう。
続いて、
新津記念館。昭和の石油王と呼ばれた新津恒吉が建てた迎賓館。ただし、新津恒吉は竣工の翌年(昭和14年)に亡くなってしまったそうだが。
海外の取引相手を招くために造られた迎賓館だそうで、イギリス、フランス、ドイツ、日本と様式別に部屋や調度整えられていて、非常に贅をこらした造りであることが分かる。できることなら、ソファに座って、ほけ~っと眺めていたいところだが、それはちょっと無理だね。ソファ自体が貴重なものであることもさりながら、見ているのは私1人だけなのに、職員は4人いて、受付、1階ロビー、2階、庭園にいるんだもの。
ここぞとばかりに色んなことを訊けば良さそうなものだが、何せ小心者で非裕福な家に生まれ育ったものでなかなかそういうことができない。皇族みたいに、訪問先のトップ直々に色々説明するのを聞くというのは、慣れない人間にとっては地獄だろうな、なんてことも思った。
そして、最後は白山公園へ行って、
人体の不思議展なんぞを見た。これは會津八一記念館にパンフレットが置いてあったので開催を知ったもので、元々は
敦井美術館へ行くつもりだった。まぁ、敦井美術館は次の機会だね。
さて、人体の不思議展。入場すると最初に、これらの人体標本は全て善意の献体によるものであることが書かれている。やはり、あれかね、プラスティネーションの創始者がロシアから盗難遺体を買っていたという疑惑に対応するためなのかね。
まぁ、そんなことはともかく。人体標本を見ていると、馬肉の燻製や映画『ロッキー』でシルベスター・スタローンが叩いていた牛肉のかたまりを思い出す。人間の肉であろうと、家畜の肉であろうと、肉であることに違いはないんだな、と妙に感心してしまう。念のために断っておくが、美味そうだとか、食べてみたいと思ったわけではなく、人間であろうと他の動物であろうと肉体を構成している筋肉は蛋白質から作られていて、両者の間にはそれほど大きな違いないということに感心したのだ。
そして、展示されている人体標本のほとんどが男なので、陰茎と睾丸
(※)がついている。同じ男として、妙にわびしさを感じてしまうのは私だけだろうか。女性の標本もいくつかあったので思わずまじまじと見てしまったのだが、女性の方はあまりわびしくなさそうだ。女性の意見も聞いてみたいところだ。
※陰嚢がなくて睾丸と精索がむき出しになっているのも、わびしさを助長してる気がする。
ところで、入口と出口近くで、記念のパンフレットや映像ソフトなどを売っていたのだが、DVDのサンプルとして繰り返し流れていたのが性器に関する部分で、膣、男性器、射精に関して医学的・解剖学的に説明する音声がしつこいくらい繰り返されていた。あれは、やはり、人間というのは仕様もないもので、そういった話が一番興味を引くからだろうなぁ。
ちなみに、脳の標本1つと全身の標本1体が触ることができたので、触ってみたのだが、プラスティック様の固い手触りで結構意外な感じがした。でも、よくよく考えてみれば水分を抜いた後にシリコーンやらプラスティックやらを流し込んで固めているのだから、当然そういった感触になるよね。