富士重工業製 スバル360
空冷2サイクル 356cc 16ps/4500rpm
最高時速 85km/h 4人乗り
物心付いたとき、この「すばる」がすでに我が家の一員だった。
しかも、昔のアルバムや数少ない8ミリフィルムを見るに、殆ど物のない家だったにもかかわらず、中古にしても「自動車」があったと言うことは、そうとうこれにつぎ込んでいたのだと思う。
実際、何かというと、ドライブをしていたものだ。
まだ、コンビニなんて無い頃だから、おふくろがおむすびを握って、やれ英彦山だ、やれ志賀島だと、福岡県内のミニ観光を繰り返していた。
うちの近所では、まだ車を持つ家は少ない方だったので、何をする出なく単純にドライブしていても、なんとなく優越感もあって楽しかった記憶がある。
いや、あの頃は、「移動する」というだけで、楽しめたのだ。
バスにしても、電車にしても、純粋に外の景色が流れていくだけで、楽しかった。
それに、結構、病弱だった私は、何かと車で送ってもらう機会も多かった。
学校から、友人に手を振って「自分の車で帰る」というのは、それもまた、ちょっと優越感を擽られる出来事だった。
一番好きだったのは、夜、降り出した雪の中をドライブすることだった。
ライトに照らされた雪が、放射状に広がっていく。
その流れる白いスジは、無数の流星を彷彿とさせるのだった。
後年、「STAR WARS」で、ミレニアム・ファルコンがハイパードライブを駆動した際に、星がさーっと流れるシーンを見て、私はその雪の夜を思い出した物である。
ところがある日、近場の修験道で有名な山に出かけて、さあ帰ろうと言うときになって、みんなが乗り込むと「バキッ」と鈍い音がしたのである。
エンジンはかかるのだが、アクセルを踏んでも動く気配がない。
オヤジが車の下をのぞき込んで、「あっ!」と、声を上げる。
なんと、リアシャフトが折れていたのだ。
それで、もろもろ修理の手配をするオヤジを残して、母親と帰路についたのだが、オヤジを残して帰るのに加えて、物心付いて以来、何かと接していた車が、動かなくなり、あまつさえ放置して帰るのだと思うと、久しぶりのバス、電車を乗り継いで帰ったにもかかわらず、私は沈んだままであった。
多分、その時と同じ気持ちをつぎに味わったのは、怪我でオヤジが数日入院した時の事である。
そう、もう、肉親のように感じていたのだ。
それから、数ヶ月の間、我が家には車のない時期があったのだが、よほどつまらなかったのだろう。
私の記憶は、つぎの車の納車の時期に飛んでいる。
それから、我が家には数台の自動車がやってきた。
それぞれに良い車で思い入れもあるのだけれど、どうしても「思い出」という意味では、この「てんとうむし」の右に出る物はない。
だから・・・釣られているなぁ、と思いつつ。
だから・・・それにしても、高いよなぁととぼやきつつ。
結局、これを買っちゃったのである。
「国産名車コレクション」 ノレブ社製ミニカー好き
んでまぁ、今宵はちょいと、この「てんとうむし」に乗って、懐かしい夢でも見てこようかなぁ?と思いつつ、そっと枕元においたりしている。
みなさんに、思い出のくるまってありますか?!
スバル360、このくるんとした形がすごく素敵です。
子供の頃ずっと一緒にいた車って、
本当に家族のような存在なのだろうなと思いました。
あと、雪の中のドライブの快感、すごくわかります。
私にもすごく大事にしていた車があります。
年3万㎞くらい走っていた頃があって、
その車とはいつも一緒だったイメージです。
たまに街で同じ車を見かけると、
どんな人が運転しているのか
気になって仕方ありません(笑)
>たまに街で同じ車を見かけると、
>どんな人が運転しているのか
>気になって仕方ありません(笑)
あっ、その感覚、解ります。
私なんて、同じ車種がぞんざいに扱われていると、怒りすら覚えましたから^^
蒼葉月さんのお気に入りの車の話も、機会が有ればおしえてくださいね。