紫微の乱読部屋 at blog

活字中毒患者の乱読っぷりを披露。主にミステリーを中心に紹介します。

「御手洗潔の挨拶」島田荘司

2005年04月25日 | さ行の作家
元祖・破天荒な探偵(笑)の、やっぱり破天荒な
4つの物語が収録されています。御手洗の短編は初めてでした。

以前から「数字鍵」はいい、という話は聞いていたのですが、
とてもシリアスな御手洗が拝めます。これまで(とはいっても、
占星術殺人事件」と「斜め屋敷の犯罪」しか読んでないのですが)
とは違った一面、正義感に溢れていたり、とても優しかったり。
最初の方は、やっぱり榎木津を彷彿とさせるのですが
(どっちが先だか^^;)、ちゃんと“推理する”ってところが違う(笑)。
そしてですね、実はここに、御手洗がコーヒーを飲まない理由が書かれて
あるのです。くぅー。切ないねえ(>_<)。

そして何より、短編なのに、トリックが壮大なところが
嬉しいじゃないですか(^-^)。やっぱり御手洗モノは
素晴らしく面白いなあ、と実感したのでした。

あと、最後に「新・御手洗潔の志」という島田さんの文が
載ってまして、ここに、なぜ御手洗作品が映像化されないのか、
ということについて書かれてありました。ひと言で言ってしまえば、
島田さんと製作者側の“日本人観の違い”だそうです。
御手洗潔がああいう態度・行動を取るのは何故か。そこの部分を
きちんと理解した上で映像化してもらえないと、御手洗は、
ただの尊大な人になってしまう。それを避けるために、
きちんと理解してくれる製作者が出てこない限り、OKしない。
というようなことが書かれてありました。納得ですね。
そういうことを踏まえた上で御手洗作品を読んでいくと、
これまでとはまた違った感じ方ができるんじゃないかと思います。


御手洗潔の挨拶」島田荘司(講談社文庫)

2 コメント

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「SIVAD SELIM」 (常願寺川)
2005-04-25 18:38:47
こんにちは。

紫微さんは、御手洗作品は全部読了されたものと思っていたので少し意外でした。あれ?御手洗嫌いでしたっけ?



御手洗潔が少し気に入ってきたなら『御手洗潔のメロディ』がオススメです。この本の中に収録されている短編の一つに「SIVAD SELIM」という作品があるのですが、これはもう御手洗潔の性格を知る上でははずせない作品でしょう。

僕はこの作品でさらに御手洗潔が好きになってそのまま突っ走った訳です^^
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嫌いではないのです。 (紫微)
2005-04-26 10:39:27
コメント、ありがとうございます(^-^)。



いや、御手洗、嫌いじゃないですよ。ただ、島田荘司に出会うのが遅かっただけなのです。「占星術」を読んだのが、一昨年ですからね(^^;)。…それまでいかに、自分の読書が偏っていたか、ということですよねー。



「メロディ」早速、古書で探してみます(笑)。長編だって嫌いじゃないし、吉敷シリーズだって面白いと思います(いや、ホントだってば(笑))。
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