「脳男」から一転、人間くささが妙に心に残る素敵な作品です。
正義感たっぷりで、直情型の交通課巡査・生稲昇太22歳。
彼は、自分の顔がゴツイことを知っていて、愛宕署のマドンナ・
大西碧とはつり合わないという自覚はある。でも、淡い
恋心を抱きながら、事故処理のプロを目指すけれども、
なかなかうまくいかないことばかりで…。
簡単に言ってしまうと、“交通係の日常”といった感じ
でしょうか。でも、そんなに簡単なモノではなく、
大きな事件が起きるわけではないけれども、昇太が扱う
交通事故というものにはいろいろあって、人身、物損、
ひき逃げ、死亡事故…と事故の数だけその背景にある
当事者たちの事情も違うわけで。それを、不器用だけれど
心は熱い昇太の目を通して語られると、ぐっと心に
迫ってくるものがあるのです。
正義感から、不当な者を罰しようとする昇太の前に立ち
はだかるのは、トリックとかアリバイとかではなく、
“警察”という組織だったりします。尊敬する先輩に対して
不満を抱いたり、自分の居場所を見失ったりと、昇太は
“多感”なだけに、さまざまな壁にぶち当たります。
しかも、それをまた不器用に乗り越えていくから、
母性本能をくすぐられるのです(笑)。
連作短編というカタチで、昇太の多感っぷりが披露されている
ように見えて、実はハードボイルドな“刑事モノ”なんですよね。
刑事じゃなくって、事故係なんだけど。そういう意味でも、
今後、昇太がどういう風に成長していくか、見守りたいのです。
「事故係生稲昇太の多感」首藤瓜於(講談社文庫)
正義感たっぷりで、直情型の交通課巡査・生稲昇太22歳。
彼は、自分の顔がゴツイことを知っていて、愛宕署のマドンナ・
大西碧とはつり合わないという自覚はある。でも、淡い
恋心を抱きながら、事故処理のプロを目指すけれども、
なかなかうまくいかないことばかりで…。
簡単に言ってしまうと、“交通係の日常”といった感じ
でしょうか。でも、そんなに簡単なモノではなく、
大きな事件が起きるわけではないけれども、昇太が扱う
交通事故というものにはいろいろあって、人身、物損、
ひき逃げ、死亡事故…と事故の数だけその背景にある
当事者たちの事情も違うわけで。それを、不器用だけれど
心は熱い昇太の目を通して語られると、ぐっと心に
迫ってくるものがあるのです。
正義感から、不当な者を罰しようとする昇太の前に立ち
はだかるのは、トリックとかアリバイとかではなく、
“警察”という組織だったりします。尊敬する先輩に対して
不満を抱いたり、自分の居場所を見失ったりと、昇太は
“多感”なだけに、さまざまな壁にぶち当たります。
しかも、それをまた不器用に乗り越えていくから、
母性本能をくすぐられるのです(笑)。
連作短編というカタチで、昇太の多感っぷりが披露されている
ように見えて、実はハードボイルドな“刑事モノ”なんですよね。
刑事じゃなくって、事故係なんだけど。そういう意味でも、
今後、昇太がどういう風に成長していくか、見守りたいのです。
「事故係生稲昇太の多感」首藤瓜於(講談社文庫)