4:質問とかなんとか
いつの間にかオサーンなので(泣),最近は年下の執筆者も多くなってきました。ま,ティーン小説ではないので,執筆者に年齢は関係ないですけどね。
年をくったためか,同じような質問を何度も聞くようになりました。そのうちでも,けっこうよく聞かれる質問をあげます。
Q 本1冊は何枚くらいですか?
A 単行本ですと,400字×400枚が適当です。(なぜか出版業界は,いまだに「原稿用紙換算」で計算することがならいになっています…)
もちろん,図版が入ったりすると変わりましょうが,「400」というのはだいたいの目標ラインです。これだと,本にすると,200頁をちょっと越え,手ごろな本となります。
もちろん,紙の厚さ,レイアウトもいろいろなので,原稿用紙300枚くらいでも何とかなりますが,ちょっと薄いかな…。
新書ですと,250枚くらいが適当なようです。
Q 企画書を送ったのに捨てられるってことはありませんか?
A 先にも書きましたが,あなたが専門家であるのなら,たぶんほとんどありません。
たとえば,わけのわからないところがわけのわからない企画書を書いてくることが時たまあります。「なぜウチに……?」というような。そういうものに関しては,無視してしまうこともありますが,基本的には,ちゃんと返事を書きます。時間は若干いただくかもしれませんが(爆。
というのも,やっぱり,企画者は,たいてい専門家であり,読者であり,お客様であります。それを無碍にはできない,というのがあります。
また,専門職の世界は狭いですからね。あんまりひどいことをすると,仕事が立ち行かなくなるんじゃないかという恐れもあったり…。
Q 原稿はできているべきか?
A 結論から言えば,それは,持ち込み者によります。もし,あなたがそこそこえらく,営業的にも問題がない背景があるならば,「企画書」のみで十分です。この「問題がない背景」とは,
①前の著作がよく売れた,
②業界ではそこそこ名が通っている,
③他社でも多く出版をしている,
④教科書採用など確実に売れる要素を持つ,
等です。
一方,そうじゃないのならば,企画書に「原稿がすでにできている」「ほとんど完成している」との旨をつけ,「いつでも読んでもらいたい」と付言しておいた方が得策です。
原稿を企画書とともに一緒に送るという手もあります。ただ,社内で行方不明になることもままあります。コピーをちゃんととっておきましょう。
原稿ができているメリットは,編集者にとって「わかる」というのの一言につきます。読んでしまえばすべてがわかります。当たり前ですが,原稿は企画書より雄弁です。原稿の前に貴賎の差はありません。T大教授だろうが,凸凹大万年講師だろうが,「よいもの」の勝ちです。
また,すでに出来ているというのは,書かない著者の尻叩きから解放されることを意味しており,それだけでもありがたいこととなります。会社によっては年に何冊以上の本を作るなどノルマを抱えていることもあるので,ノルマ不足気味の編集者にとってはラッキーってなもんです。
しかし,翻訳に関しては原稿をつくるのなんかは後回しにして,企画を先に出した方がよいでしょう。
というのも,先に翻訳権を持っていかれたら,訳出の苦労が水の泡ですもんね。
Q 原稿があるなら企画書を送る必要はないのでは?
A そういう考えはありますね。…ただ,原稿を隅々まで読むのって校正のときが初めてだったりするもんです…
ともあれ,企画書のない原稿など,それはダイヤモンドにメッセージカードを添えず,婦女子に送るようなもんです。無粋――じゃないな,不気味です。
Q 企画書はEメールで送ってよい?
A これはどうでしょう…基本的にはNoじゃないかな,と今のところ(2005年末現在)は思います。ただし,3年後は当たり前になっているかも。
郵送で送ったほうが無難じゃないかと,感じます。
Q 企画書は,手書きとパソコンで書くの,どっちがいいですか?
A パソコンの方がいいんじゃないでしょうか。
手書きの企画書は,あることにはありますが,ちょっと引くのは確かです。原稿も手書きか,なんて思うと,面倒だなと思ってしまいます。校正も大変ですしね。
つーか,イマドキ,手書きってありえないでしょう。
Q 企画書を送る場合,返送用の封筒はつけるべき?
A うーん,悩みます。私個人が企画書を送る場合に一緒に原稿を送るときでしたら,返信用封筒を入れると思います。ですが,どっちにせよ原稿が帰ってこない場合もあるはあるはず…。
今までかなり多くの企画書が送られてくるのを拝見しましたが,返信用封筒が入っていたのはほんの数コしかなかったですね。
ということは,入れなくてよいのかな,と思います。
Q 絶対通る企画ってありますか?
A ないです。
と無碍にいうのもなんですが……
通りにくい企画書はあります。
1)今までのその社の出版傾向とは明らかに違う本。
2)原稿の量の大きい本。
3)翻訳ででかい奴。
4)論文集のようなもの。
1)は当然です。理系の出版社に上野千鶴子先生と河合隼雄先生の対談集(怖 を出そうと言ってもやってくれないように,です。この出版社の文化問題については後日,述べましょう。
2)は,そうですね,端的に言うと原稿用紙700枚以上の本のは厳しいです。もちろん,これも著者の質,内容の質によりますので一概には言えませんけれども。
3)は,多くの会社でも同じ意見を聞きました。原書の3割~5割増しくらいになるんですね,翻訳書は。向こうの本で分厚いのを訳すと,さらに分厚くなってしまう,という罠。ページ数は基本的には価格に跳ね返ります。価格は本の売れ行きを左右する要素の一つですから,販売不振の可能性は高く,どうしても厚い翻訳書は避けられる傾向があるようです。
4)はあくまでも個人的な意見です。けっこう,論文が数点たまったのでまとめて本にしたいという企画はあるんですね。しかし,個人的には論文集は「初老期からの仕事」だと思っています。著書や業績に恵まれた人がまとめるものです。「途上のもの」は書き下ろすことがベストだと思います。今までの論文を編集し,串刺しにし,ギタギタにして,再構成する。自分を再び発見し,再確立する。こういう作業が必要のように思います。
なんて熱くなりましたが,「体,鍛えろ」みたいな話ですかね,結局。
何か質問あったら連絡ヨロ。
いつの間にかオサーンなので(泣),最近は年下の執筆者も多くなってきました。ま,ティーン小説ではないので,執筆者に年齢は関係ないですけどね。
年をくったためか,同じような質問を何度も聞くようになりました。そのうちでも,けっこうよく聞かれる質問をあげます。
Q 本1冊は何枚くらいですか?
A 単行本ですと,400字×400枚が適当です。(なぜか出版業界は,いまだに「原稿用紙換算」で計算することがならいになっています…)
もちろん,図版が入ったりすると変わりましょうが,「400」というのはだいたいの目標ラインです。これだと,本にすると,200頁をちょっと越え,手ごろな本となります。
もちろん,紙の厚さ,レイアウトもいろいろなので,原稿用紙300枚くらいでも何とかなりますが,ちょっと薄いかな…。
新書ですと,250枚くらいが適当なようです。
Q 企画書を送ったのに捨てられるってことはありませんか?
A 先にも書きましたが,あなたが専門家であるのなら,たぶんほとんどありません。
たとえば,わけのわからないところがわけのわからない企画書を書いてくることが時たまあります。「なぜウチに……?」というような。そういうものに関しては,無視してしまうこともありますが,基本的には,ちゃんと返事を書きます。時間は若干いただくかもしれませんが(爆。
というのも,やっぱり,企画者は,たいてい専門家であり,読者であり,お客様であります。それを無碍にはできない,というのがあります。
また,専門職の世界は狭いですからね。あんまりひどいことをすると,仕事が立ち行かなくなるんじゃないかという恐れもあったり…。
Q 原稿はできているべきか?
A 結論から言えば,それは,持ち込み者によります。もし,あなたがそこそこえらく,営業的にも問題がない背景があるならば,「企画書」のみで十分です。この「問題がない背景」とは,
①前の著作がよく売れた,
②業界ではそこそこ名が通っている,
③他社でも多く出版をしている,
④教科書採用など確実に売れる要素を持つ,
等です。
一方,そうじゃないのならば,企画書に「原稿がすでにできている」「ほとんど完成している」との旨をつけ,「いつでも読んでもらいたい」と付言しておいた方が得策です。
原稿を企画書とともに一緒に送るという手もあります。ただ,社内で行方不明になることもままあります。コピーをちゃんととっておきましょう。
原稿ができているメリットは,編集者にとって「わかる」というのの一言につきます。読んでしまえばすべてがわかります。当たり前ですが,原稿は企画書より雄弁です。原稿の前に貴賎の差はありません。T大教授だろうが,凸凹大万年講師だろうが,「よいもの」の勝ちです。
また,すでに出来ているというのは,書かない著者の尻叩きから解放されることを意味しており,それだけでもありがたいこととなります。会社によっては年に何冊以上の本を作るなどノルマを抱えていることもあるので,ノルマ不足気味の編集者にとってはラッキーってなもんです。
しかし,翻訳に関しては原稿をつくるのなんかは後回しにして,企画を先に出した方がよいでしょう。
というのも,先に翻訳権を持っていかれたら,訳出の苦労が水の泡ですもんね。
Q 原稿があるなら企画書を送る必要はないのでは?
A そういう考えはありますね。…ただ,原稿を隅々まで読むのって校正のときが初めてだったりするもんです…
ともあれ,企画書のない原稿など,それはダイヤモンドにメッセージカードを添えず,婦女子に送るようなもんです。無粋――じゃないな,不気味です。
Q 企画書はEメールで送ってよい?
A これはどうでしょう…基本的にはNoじゃないかな,と今のところ(2005年末現在)は思います。ただし,3年後は当たり前になっているかも。
郵送で送ったほうが無難じゃないかと,感じます。
Q 企画書は,手書きとパソコンで書くの,どっちがいいですか?
A パソコンの方がいいんじゃないでしょうか。
手書きの企画書は,あることにはありますが,ちょっと引くのは確かです。原稿も手書きか,なんて思うと,面倒だなと思ってしまいます。校正も大変ですしね。
つーか,イマドキ,手書きってありえないでしょう。
Q 企画書を送る場合,返送用の封筒はつけるべき?
A うーん,悩みます。私個人が企画書を送る場合に一緒に原稿を送るときでしたら,返信用封筒を入れると思います。ですが,どっちにせよ原稿が帰ってこない場合もあるはあるはず…。
今までかなり多くの企画書が送られてくるのを拝見しましたが,返信用封筒が入っていたのはほんの数コしかなかったですね。
ということは,入れなくてよいのかな,と思います。
Q 絶対通る企画ってありますか?
A ないです。
と無碍にいうのもなんですが……
通りにくい企画書はあります。
1)今までのその社の出版傾向とは明らかに違う本。
2)原稿の量の大きい本。
3)翻訳ででかい奴。
4)論文集のようなもの。
1)は当然です。理系の出版社に上野千鶴子先生と河合隼雄先生の対談集(怖 を出そうと言ってもやってくれないように,です。この出版社の文化問題については後日,述べましょう。
2)は,そうですね,端的に言うと原稿用紙700枚以上の本のは厳しいです。もちろん,これも著者の質,内容の質によりますので一概には言えませんけれども。
3)は,多くの会社でも同じ意見を聞きました。原書の3割~5割増しくらいになるんですね,翻訳書は。向こうの本で分厚いのを訳すと,さらに分厚くなってしまう,という罠。ページ数は基本的には価格に跳ね返ります。価格は本の売れ行きを左右する要素の一つですから,販売不振の可能性は高く,どうしても厚い翻訳書は避けられる傾向があるようです。
4)はあくまでも個人的な意見です。けっこう,論文が数点たまったのでまとめて本にしたいという企画はあるんですね。しかし,個人的には論文集は「初老期からの仕事」だと思っています。著書や業績に恵まれた人がまとめるものです。「途上のもの」は書き下ろすことがベストだと思います。今までの論文を編集し,串刺しにし,ギタギタにして,再構成する。自分を再び発見し,再確立する。こういう作業が必要のように思います。
なんて熱くなりましたが,「体,鍛えろ」みたいな話ですかね,結局。
何か質問あったら連絡ヨロ。
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