心理学の本(仮題)

【職場に】心理学書編集研究会(略称:心編研)による臨床心理学・精神医学関連書籍のブックレヴュー【内緒♪】

人は暮らせるように,鳥は鳴けるように革命ウテナ

2006-11-16 13:45:33 | 精神医学・精神病理学
なんか週の前半で,全テンションを使い切った感アリアリのpsy-pubなんですが,ペース配分って大事ですね……。今日はかなり無理繰り感丸出しだけど,ま,そこんとこは,ご寛恕トーイA(もう何のことやら)ってことで,ま,よろしくチューニング。

さてさて,いきなりですが,「臺」と書いて「……ツボ?」と読んじゃうあなたは,「台」と書いて「……ダイ?」と読んでしまうかもしれませんが,NON-NON-NON,いけません。そうですこれは「ダイ」と読んでもいいですが,「ウテナ」と読みもするわけなんですな。「……ウテナ?」と言ったって,

少女革命ウテナ L’Apocalypse:1少女革命ウテナ L’Apocalypse:1
ビーパパス 幾原邦彦 川上とも子

キングレコード 1999-01-01
売り上げランキング : 18991

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

別にこれの話をしたいわけじゃなくてね。ま,ほんと,見たことないしね,面白いって話は聞くんだけどね,見たことないから,今以上これ以上語れないわけでしてね。


ほんで,まあ,われわれの分野で,ウテナといえば,精神科医の「臺 弘(うてな・ひろし)」先生がいらっしゃいます(こんな流れで誠に申し訳ありません)。


精神医学の思想―医療の方法を求めて精神医学の思想―医療の方法を求めて
台 弘

新樹会創造出版 2006-11
売り上げランキング : 87665

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

ネット上だと,「臺」は常用外漢字なので「台 弘」となっていたりもしますが,じゃあ「芥川龍之介」だって「芥川竜之介」になるわけで,ま,ナンセンス極まりないですし,失礼極まりない。人名に使われる漢字くらい,常用外でも登録しておいてほしいす。

というのはさておいて,

この名著,初版は1973年ですか,その第3版が出ました。本の中に「人は暮らせるように、鳥は鳴けるように」とあるわけです。このエントリのタイトルはそこから拝借した次第なんですけどね。「生活臨床」を提唱する臺先生らしい美しい警句であります。

それでね,この本ね,中身をゴチャゴチャ紹介したりね,実用性がどうだとか,歴史がどうだとかね,そういうことを言うのもやぶさかでないんですけど,なんていうか,一言でこの本の特質を表わすとすれば「本らしい本」というのを言いたくなるんですよね。

「本らしい本」とは何か? と言われたら,「私が本らしい本だなあと思う本」なんて,トートロジーにしかならないのですが,なんていうか,ね,こういう本,作りたいなあって思います。まだ有効で,「役立つ本」でもあると思うんですけどね,なんかそういうことでは片付けたくないんです。かといって「読んでほしい本」というと押し付けがましいというか,なんか別に形而上的にすましたらもったいないというか。

「理論なき実践は盲目であり,実践なき理論は空虚である」なんて言うけどね,これを一人の人間の中で実現するのは不可能に近いと,現実的には思うんだけど,そこで天才が登場するのかな,とも思うわけでして。ただその理論と実践のプロセスを,現実として,自分自身が辿ってこそ,なんだろうなあなんて思ったりして。



誰が風を見たか―ある精神科医の生涯誰が風を見たか―ある精神科医の生涯
台 弘

星和書店 1994-04
売り上げランキング : 447933

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

自伝,です。自らの人生と,その人生をかけた臨床とを,自らの筆でつづるわけですけど……。なんていうかな,名言っていうのは,往々にして,多かれ少なかれ,ハッタリというか,傾きというか,衒いというかね,ある種そういうものが名言を名言たらしめている大きなファクターだと思うのですが,臺先生の場合はそういうのがないんですよね。

これはどの先生が仰ってたか忘れましたけど,精神科医は臨床において常に自分の人生と向き合わざるをえないといったりしますが,それはナルシシズムにとっては,打撃だろうななんて,己にひきつけて思っちゃいますけど,なんていうか人間誰しも年を重ねれば,針小棒大,瑣末主義,でナルシスティックに彩られた自分語りを程度の差こそあれしたくなるものだと思うし,別にそれを否定するつもりはないですけどね,

ただこの『誰が風を見たか―ある精神科医の生涯』はね,そういう意味では「別格」かな。自伝としてね,すなわち読み物としても読めるけど,専門書としても読めるという,限りなく専門書に近い(文体とか形式の話ではなく)読み物として,稀有な存在感がある本だと思います。こういう本,作りたいなあ,と心底,思う。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿