芥川賞受賞作、abさんご
史上最高齢75歳での受賞が話題になった黒田夏子さんの受賞作。
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黒田夏子 | |
文藝春秋 |
abさんごは横書き、ひらがな多用、固有名詞を使わない表現。
ゆっくりと読みたい作品。
受賞作以外の3編、そのうちの1つ「毬」は1963年に第63回読売短編小説賞を受賞。
3作品は縦書き。
なので3作品とabさんごの間に、
あとがきならぬ「なかがき」がある面白い構成なんです。
なかがきの左右は50年もの月日が流れているのです。
abさんごはゆっくり読んでいます。
今身の回りにあふれている文章とは一線を画しているので。
短編「毬」「タミエの花」「虹」は縦書きで読みやすかったのですぐ読めました。
タミエという少女が瑞々しく想像でき、
なんだかその性格や行動に胸が苦しくなりました。
50年も前に賞をとり、半世紀後にまた作品が脚光を浴びる。
人生の面白さも合わせて感じられる1冊です。