想い事 家族の記録

難病の父と生きる
鬱病
ふたり暮らし

いざ、さらば。

2011-07-17 20:13:23 | 日記
〔写真〕

我が家のノウゼンカズラ。



〔別れ〕

目の前を、救急車が通りすぎていった時、
それに、知り合いの人が乗っているなんて、誰が想像するだろう。

父の同級生で、いつも野菜を分けてくれた仲良しのおじさんが亡くなった。
自宅で怪我をして、出血多量だったらしい。
朝、我が家の前の国道を、救急車が走り去った。
訃報を聞いた時、私はまさに、そのおじさんがくれたきゅうりを手にしていた。

ずっと心臓の病と闘っていた人だ。
大きな手術も乗り越えたけど、最近また少し具合が悪いと言っていた。
それなのに、農作業など、休むことなく続けてきた人だ。

この人が亡くなるとしたら、きっと心臓のせいだろうな、
と、ぼんやり思っていた。
人は、思いがけない事で、命を落としてしまう。

チェーンソーで、足を切っただなんて。



父は相当のショックで、
足の力が入らない。

我が家は水を打ったかのように静まりかえった。

一人で泣きたかろう。
私は父をそっとしておいた。



〔昔話〕


昼すぎになって、父が「クーラー入れたからこっちで涼みな」と声をかけてくる。
クーラー入れるのは初めてだ。
自然の風に慣れてきた我が身に、人口の風は強く感じた。
何か話したい素振りの父に、二時間ばかり付き合った。

亡くなったおじさんの思い出話から、
昔飼っていた猫のことまで。
なんか語りつくしていた。

八王子で暮らしていた時代は辛かったけど、
今になっては、何故か懐かしい。
昨日までは辛かったのに、懐かしい。

うだるような暑さの中の、お祭り。
行ってみたいな。見てみたいな。かつて自分がいた場所。
そう思えるって事は、魂が成長したって事だよね。



〔別れの日〕



父と沢山話して、一緒にご飯食べて、震災のテレビ見て、シャワーを浴びる頃。
人は突然亡くなってしまうという現実に立ち戻り、

いつの日か、本人も知らないうちに、呼吸筋が弱ってきて、
私も気づかぬうちに、父の呼吸が浅くなり、
血中酸素不足で、糸が切れるように倒れてしまう父の図式を、
まざまざと脳裏に思い描いて戦慄した。

その日はきっと今日の訃報のように、
突然やってくるのかも知れない。

その時私は、何を想うんだろう‥。

少なくとも今は、出来るならミオが二十歳になるまでは頑張って欲しいと願う。
私が子育てを終えるまで、側にいて欲しいと願う。
でも、時は止まらない。
奇跡は起こらないものか。

どうしようもなく寂しい気持ちになって、
泣きながらシャワーを浴びる私は、
きっとまだ、親離れできない子供なのかも知れない。

声を出して泣いたら、
哀しみは水のように、どんどん重たくなってきた。
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1 コメント

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Unknown (mikke)
2011-07-18 10:41:03
悲しいお別れでさぞ悲しかったこととお察しします。
出会えて良かった、もっと一緒に居たかったと思ったら、その気持ちが故人に届きますように。
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