参:ラストシャウト
断末魔が、聞こえる。最後に叫んだ青年の声が。元々胸にないものを与えられ叫ぶ、青年の声が藍染には容易に想像出来た。頭の中で響くそれを聴きながら、襖を開け入って来る副官を迎え入れた。彼女は何ともなしに事務的な顔をしている。
「藍染隊長、十番隊から例の任務の詳細が届いております。」
「ああ、有難う雛森君。済まないね、僕が急に体調を崩したばかりに任せきりになってしまって。」
「いいえ!気にせずゆっくりお休みになって下さい。」
澄んだ高い声が頭に響く。先程響いていた高めの低音とはまた違う音だ。そのまま暫く藍染と雛森は任務について話し、そのまま藍染は違う話題へと持ち込んだ。
「そういえばこの間風呂場で偶然市丸と一緒になってね、彼の胸に珍しいものを見つけたんだよ。」
「え?何を、ですか。」
「うん。胸の、この辺りにね、控えめな椿が咲いていたんだ。」
「椿、ですか。」
「うん。あれは何ていったっけ。侘助…かな?」
藍染の言葉に、雛森は一瞬びくりと震えた。それは紛れもなく、友人の斬魂刀と全く同じ名を持つ花だったからだ。藍染は僅かにふっと笑い、すぐに表情を戻した。
「吉良君の胸にも、もしかして同じ花が?」
「いえ、牡丹が…彫ってあると、阿散井君が言っていたような気がします…。」
雛森は既にがくがくと揺れていた。藍染は柔和な表情を崩さず、そっと雛森の肩に触れる。雛森は狼狽しながらも身を少し委ねた。
「牡丹か…確かに市丸には映えるだろうな。」
「え…でも牡丹が彫ってあるのは吉良君の方で…。」
「いや、違うよ雛森君。多分彼らはお互いに似合う花を胸に挿しているんだ。」
「…そう、なんですか…。」
それはあたかも互いが互いのものであることを主張するように。しかし藍染の話によると、ギンはイヅルのことを別段気にかけているようなことを一切言っていないらしい。それはそれで当たり前のことかもしれない、と雛森は思う。第三者だからこそ見えることだが、元々ギンには本当に大事なものは隠す性質がある。しかしイヅルは馬鹿正直に愛されていないと思っているのだろうと思い、不憫に感じた。
「僕も、僕のものには印を付けておきたいな。」
藍染は言う。それならば、と雛森は思う。その相手が自分であればいいのに、と激しくそう思う。藍染はなかなか我侭を言わないように気をつけているらしいので、気を抜ける相手が自分であればいいとそう切実に願った。
「雛森君、君は、欲しいかな。吉良君みたいな、あんな印が。」
「いいえ、私ははっきりとした印よりも、貴方の中に居場所が欲しいです。」
揺らぐことのない居場所が欲しい。貴方が涙を流す場所に、広く席を陣取っておきたい。そしてなき濡れる貴方を抱くのは私だ。雛森は何度も、心の中で叫んだ。
今日中にUPする予定ではなかったのですが、時間の都合上急遽UPすることにしました。桃には桃なりの独占欲があったと思う。そうじゃなきゃ藍染隊長が死んだ時あんなことしないよね、とか思ってみてます。(勝手な解釈ね)何ていうか、イヅルは隊長を守りたくて、桃は隊長の支えになって連れ添いたくて、乱菊さんは隊長を自分のものにしたいと思っていてくれると嬉しい。(阿呆)というか乱菊さんは別に独占したいわけじゃなくて、支えたい守りたいという感情が一緒くたになっちゃってるから結果的に全部自分のものになったらいいのにと思わずにはいられないというか。十番隊自体共に背後を守りあうみたいな関係が理想なので、それが前面に出てしまっています。
断末魔が、聞こえる。最後に叫んだ青年の声が。元々胸にないものを与えられ叫ぶ、青年の声が藍染には容易に想像出来た。頭の中で響くそれを聴きながら、襖を開け入って来る副官を迎え入れた。彼女は何ともなしに事務的な顔をしている。
「藍染隊長、十番隊から例の任務の詳細が届いております。」
「ああ、有難う雛森君。済まないね、僕が急に体調を崩したばかりに任せきりになってしまって。」
「いいえ!気にせずゆっくりお休みになって下さい。」
澄んだ高い声が頭に響く。先程響いていた高めの低音とはまた違う音だ。そのまま暫く藍染と雛森は任務について話し、そのまま藍染は違う話題へと持ち込んだ。
「そういえばこの間風呂場で偶然市丸と一緒になってね、彼の胸に珍しいものを見つけたんだよ。」
「え?何を、ですか。」
「うん。胸の、この辺りにね、控えめな椿が咲いていたんだ。」
「椿、ですか。」
「うん。あれは何ていったっけ。侘助…かな?」
藍染の言葉に、雛森は一瞬びくりと震えた。それは紛れもなく、友人の斬魂刀と全く同じ名を持つ花だったからだ。藍染は僅かにふっと笑い、すぐに表情を戻した。
「吉良君の胸にも、もしかして同じ花が?」
「いえ、牡丹が…彫ってあると、阿散井君が言っていたような気がします…。」
雛森は既にがくがくと揺れていた。藍染は柔和な表情を崩さず、そっと雛森の肩に触れる。雛森は狼狽しながらも身を少し委ねた。
「牡丹か…確かに市丸には映えるだろうな。」
「え…でも牡丹が彫ってあるのは吉良君の方で…。」
「いや、違うよ雛森君。多分彼らはお互いに似合う花を胸に挿しているんだ。」
「…そう、なんですか…。」
それはあたかも互いが互いのものであることを主張するように。しかし藍染の話によると、ギンはイヅルのことを別段気にかけているようなことを一切言っていないらしい。それはそれで当たり前のことかもしれない、と雛森は思う。第三者だからこそ見えることだが、元々ギンには本当に大事なものは隠す性質がある。しかしイヅルは馬鹿正直に愛されていないと思っているのだろうと思い、不憫に感じた。
「僕も、僕のものには印を付けておきたいな。」
藍染は言う。それならば、と雛森は思う。その相手が自分であればいいのに、と激しくそう思う。藍染はなかなか我侭を言わないように気をつけているらしいので、気を抜ける相手が自分であればいいとそう切実に願った。
「雛森君、君は、欲しいかな。吉良君みたいな、あんな印が。」
「いいえ、私ははっきりとした印よりも、貴方の中に居場所が欲しいです。」
揺らぐことのない居場所が欲しい。貴方が涙を流す場所に、広く席を陣取っておきたい。そしてなき濡れる貴方を抱くのは私だ。雛森は何度も、心の中で叫んだ。
今日中にUPする予定ではなかったのですが、時間の都合上急遽UPすることにしました。桃には桃なりの独占欲があったと思う。そうじゃなきゃ藍染隊長が死んだ時あんなことしないよね、とか思ってみてます。(勝手な解釈ね)何ていうか、イヅルは隊長を守りたくて、桃は隊長の支えになって連れ添いたくて、乱菊さんは隊長を自分のものにしたいと思っていてくれると嬉しい。(阿呆)というか乱菊さんは別に独占したいわけじゃなくて、支えたい守りたいという感情が一緒くたになっちゃってるから結果的に全部自分のものになったらいいのにと思わずにはいられないというか。十番隊自体共に背後を守りあうみたいな関係が理想なので、それが前面に出てしまっています。