Doll of Deserting

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偽善との共鳴:四(ギンイヅ+三番隊第三席)

2005-06-30 18:54:34 | 偽善との共鳴(過去作品連載)
四:フラワーシナプス
 三番隊第三席には、今も夢に見る程に後悔していることがあった。彼は吉良イヅルに次ぐ実力者であり、市丸ギンに対して意見することが出来る数少ない隊員のうちの一人だと言われている。しかし彼には、誰にも言えない秘密があった。
 吉良イヅルが副隊長になったばかりのある時、ギンがイヅルを呼び出した。三席は何ともなしにその様子を眺めていたが、二人が奥の間に消えた後、すぐに悲鳴が上がった。そしてそれに気付いたのは彼だけだった。その部屋はもともと下級席官が入れるような部屋ではなかったし、周囲には誰もいなかった。
「ちょお、お前こっちきい。」
 ギンが三席を呼び出した。三席は息を呑んでその様を見つめる。そこには彼が敬愛する吉良イヅルが、しびれ薬を嗅がされて苦痛に顔を歪めていた
「暫く誰も来んようにしとけ。」
 ギンは尚も、言い放つ。命令されるのはいつものことだったが、今日は何か常軌を逸していた。三席はこの日のことを思うと、なぜここで断らなかったのだろうと思う。いっそここで副隊長を連れて逃げる度胸があればよかった。
 彼がこれから何をされるのか分かっていた。そして今日が最後ではないことも。きっとここでギンの行動を許してしまえば、この先も彼は吉良副隊長を慰みものにするに違いない。
「…はい。」
「三席っ…助け…。」
 苦しみながら言うイヅルを、三席は見ていられなかった。ただ目を背けてことが終わるのを待つしかなかった。
「…では、私はそこで待っております。」
 脳細胞が、狂う。にやりと笑ったギンの笑顔によって、全てが何の思考も持たない花か何かに変えられていくようだ。すみません。すみません。申し訳ありません。私は弱い人間です。あなたを攫っても行けないような臆病な男なのです。
 扉に背を向けて立つと、耳を塞いだ。何も聞こえないように。しかし三席の耳には、高すぎるイヅルの悲鳴がしっかりと届いた。その声が更に高まっていく。どうやら身体を傷付けられているようだ、とそのくらいしか理解出来なかった。
 行為は数時間も続いた。三席は悲鳴が止んだのを感じて耳から手を離す。あまりにも強く耳を塞ぎすぎて頭が痛い。
「ごくろうさん。」
 出てきたギンの目が開いているのを、三席は初めて見た。顔自体はとても美しいが、目の色が狂気に満ちている。イヅルのことは直視出来なかったが、何か胸に彫り物があるのは分かった。
 あの時のことを思い出すと背筋が凍る、と三席は思う。自分はイヅルが副隊長に就任した時、彼のためならば命もかけようと思った。それならあの時なぜ彼を救うことが出来なかったのか、未だに分からない。もしかしたら自然と、彼の目の色が恐怖だけに満ちているのではないと感じたからかもしれない。


 何だかんだ言いながらUPですよお嬢さん。(誰だよ)話的に流石にヤバイかなーと思ったのですが、こんなサイトでも一応閲覧者の方々がいて下さるようなので、あまりに連載を更新しないと申し訳ない気持ちになり…結局UP。大した小説ではありませんが、一度でも見て下さった皆さんありがとうございます。感謝の意で一杯です。
 というかこの彫り物をしたのはこの展開だとギンに…。(汗)いやきっとしれっと職人呼んだんですよきっとそうだ!!(どこにそんな奴が)


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