Doll of Deserting

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偽善との共鳴:七(ギンイヅ)

2005-08-01 13:28:57 | 偽善との共鳴(過去作品連載)
七:ラスティングメロディー
「好きです。」
 突然イヅルの口から出た言葉に、ボクは一度目を見開いた後、通常より更に細めた。何を言うとるんやろう。この子は。ボクからこの子に気休めの言葉を囁いたことは、幾度もあった。しかしこの子の口からこんな甘ったるい言葉が出たのは、初めてのことや。
「愛してます。聞き流して下さって構いません。ただこれだけは言っておきます。誰があなたを捨てたとしても、僕だけはあなたを捨てたりはしません。あなたが僕を捨てても、僕はあなたを捨てません。」
「えらい怖い言葉やなあ。そないにボクを殺したいん?」
 イヅルが言うてることは、そのまま束縛やと捕らえて良かった。ボクから捨てたってもええんやけど、駄目や。こんな従順な子ボクには他におらん。しかしボクの自由奪ういうことは、ボクを殺す、いうことや。そないなことはボクが一番よう知っとる。自由の中でしか自分が生きられんいうことは、ボクが一番よう知っとる。
「いいえ、殺したいわけではありません。ただ、あなたが僕を捨てるおつもりならば、今ここで、早々に殺して頂きたいのです。」
 イヅルが、胸に咲いた花を撫でる。そして続いて、ボクの胸の椿にも指を這わせた。あまりにも自分勝手な子や。死ぬいうんも生きるいうんも少しも分かってへん。ボクがどんだけお前に生きててほしいかも。
「あなたが僕を想っていらっしゃらないことなど分かっています。それならばいっそ、別たれるその時ではなく、今すぐにでも、僕を殺して頂きたいのです。」
 それとも、殺す価値すらありませんか?無表情に言うイヅルの頬を、無性に張り飛ばしてやりたくなった。想ってへんやと?笑わすわ。
「殺す価値ないんやない。生かす価値があるから殺さへんのや。ボクにここまで言わしたんお前が初めてやで。ええか、覚えとき。」
 お前は当分、離さへん。そう言ったると、イヅルは何でか知らんけどぼろぼろ泣いた。いつやったか、乱菊が『はっきり言葉で離さないって言ってもらえることは、最高に幸せなことよ』言うとったんを思い出す。ただし、信用出来る人が相手の時だけね。とも。どう考えてもボクは信用でけへん男やのに、イヅルは何で泣いとるんやろう。嘘でもええやなんて言うんやろか。
「い…ちまる、隊長っ…!」
 泣きながら、イヅルが必死に搾り出した言葉がそれや。嗚咽にまみれて最初何て言いよるか聞こえんくらいやったけど、確かに、ボクの名前を呼んだ。
「馬鹿やなあ、お前は…。」
 どうせボクは、こんなこと言うとってもいつかお前を捨てるやろう。ボクは永遠にお前を捨てたないのに、捨てなあかんようになるやろう。それでもお前はそれを当たり前や思うんやろうな。ただ、最後にまた、お前に名前呼んでもらえたらそれでええんや。好きだの愛しとるだのそんなんやのうて、ただ、最後に、ボクの名前呼んでくれたら、それで。


 え?アレ?始めはもっと日乱を混ぜるつもりだったのに…。(泣)ちなみに乱菊さんの言葉は多分、「日番谷隊長はアンタとは違うのよ」というイヤミだと思います。(笑)ていうか無駄に甘いんですけど、これでもまだ出来てないんですと言い張ります。藍桃はかろうじて出来てるかもな感じですが、日乱とギンイヅはまだです。(全開の日乱をお読みになった方でアレのどこが出来てねえんだよとお思いの方がいらっしゃるかもしれませんが、そこは管理人の文才不足ということで…。(泣)5000HITアンケートのコメント返信を致しております。心辺りのおありになる方はスクロールをお願い致します。

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