先端技術とその周辺

ITなどの先端技術サーベイとそれを支える諸問題について思う事をつづっています。

クラウド・サービスでも日本は中国に追いつけない!

2019年12月05日 17時44分43秒 | 日記

顧客の為のシステムのクラウド・サービスをどこにしようかと考えていた矢先、調査会社Synergy Research Groupの最新データを見る事があって、それを見たら、クラウドインフラ市場は現在、約1000億ドル規模。AWSが約33.5%、Microsoftが約16.5%の市場シェアを握っている。日本製でなくてもアメリカ製でも、問題なく使えそうだと思うが、マーケート状況を見ると、日本メーカーのクラウド・サービス、見る影もない。

アリババのクラウド・サービス、Googleと大差ない。恐るべし。しかし日本勢、姿が見えない。クラウド・サービス、年商25%伸びており、言語に関係ないから、世界中のITサービスに使えるから、我々の様な日本市場でも大海の中の波しぶきにも無い、零細ソフト屋ですら、AWS? Azure?な愛によってはAlibaba? なんて言っている。消えそうなソフトハウスすら、日本のクラウド・サービスを全く考えていない。

更にSynergy Research Groupの調査によると、中国勢、AlibabaだけでなくTencentも顔を出している。安部首相、長期政権で成果を出せずに終わるのも悔しいであろう。最後に日本のIT産業に夢を持たせて去ってくれ!!


気象学者が、5Gと気象衛星の周波数帯、40年前からバッティングを警告?

2019年12月05日 09時11分43秒 | 日記

 

 

National Geographic によると『5Gで天気予報の精度が「40年前」に、科学者が警告』との事。5Gで新たに使うミリ波帯域の23.8GHz周辺が、水蒸気の発生で出てくるミリ波の検出に影響を与えるため、予測精度が悪くなると言う。 下の写真の黄色・朱色の部分が、水蒸気の出すミリ波だと言う。

人工衛星に搭載された機器が計測した大気中の水蒸気量は、精密で正確な天気予報に欠かせない情報だ。水蒸気の量は、マイクロ波や赤外線など異なる「帯域」で、それぞれ異なる機器によって計測される。この画像では、人工衛星「GOES-16」に搭載された機器が計測した、水蒸気から放射される赤外線の信号が示されている。(PHOTOGRAPH COURTESY NOAA, NESDIS CENTER)
 

 2012年、巨大なハリケーン「サンディ」が米国の東海岸に上陸した。ニューヨーク地域に襲いかかったサンディは、数日間にわたり激しい雨を降らせ、大規模な浸水を引き起こし、インフラに大きな打撃を与えた。犠牲者の数は100人を超えた。

 ハリケーンの進路などの詳細で正確な気象予測がなければ、こうした被害がさらに拡大していたことは間違いない。気象予測のおかげで、科学者らはハリケーンが上陸する前に余裕を持って、米連邦緊急事態管理局に情報を伝えることができたのだ。

 気象科学は、過去数十年間で大きく進歩した。地球の表面や大気中、そして人工衛星の観測機器からもデータを収集し、かつてないほど大量の情報が得られるようになっている。その結果、ますます高度かつ広範囲にわたる正確な予報が可能になったところが、今では当然のように思われている精密な天気予報が脅かされる可能性があると、科学者らが警告を発した。

 この10月から11月22日にかけて開かれていた世界無線通信会議において、5G(第5世代移動通信システム)などの電気通信技術から、気象観測にとって重要な電波を保護する国際的な基準を決める話し合いが行われた。

 最終的に決定されたその内容について、NASAのジム・ブライデンスタイン長官を含む一部の科学者が、気象予測の精度を危険なほど低下させ、取り返しがつかないことになる可能性があると指摘したのだ。この先の天気はこうなる、と自信をもって予測できる人間の能力は、40年前に逆戻りするかもしれないという。

「非常にやかましく、漏れ出しやすい」

 5Gなどの電気通信技術は「電磁スペクトル」のうち、ある一定のスペースを必要とする。電磁スペクトルとは、マイクロ波、赤外線、紫外線、ガンマ線、X線など、あらゆるタイプの電磁波を順に並べたものを指す。つまり、5Gはそのどこかの領域(帯域)を使わなければならない。

 現在、電磁スペクトル上のスペースは非常に貴重なものとなっている。そして、気象予測に使われる情報の大半は、通信会社が新技術のために使用したいと考えている帯域のすぐ隣で収集されている。

「たとえて言うなら、アパートのようなものです」と、米ウィスコンシン大学マディソン校の大気科学者ジョーダン・ガース氏は言う。「ここでは一般に、だれもが比較的静かにしていることが期待されています。なかには気象用や科学用など、非常に静かな環境を必要とする部屋もあります。しかし電気通信の信号は非常にやかましく、また自分の部屋の外に漏れ出しやすいのです」

「昼寝をしたい幼児を預かる保育所を運営しているのに、隣にスポーツバーがあるようなものですよ。間に壁はあるかもしれませんが、それでも騒音は漏れてきます」

予報精度が30パーセント低下する?

 マサチューセッツ工科大学(MIT)の大気科学者でエンジニアでもあるウィリアム・ブラックウェル氏によると、重要な帯域のひとつが23.8GHz周辺だという。人工衛星に搭載された観測機器は、このマイクロ波帯を使って水蒸気の挙動を読み取っている。今問題になっているのは、通信会社が利用しようとしている帯域が、23.8GHzのすぐそばにあることだ。

 これまで、通信に使われる帯域は、気象の研究に使われるところからかなり遠くに割り当てられていた。しかし、電磁スペクトルで使える周波数帯の大半は、GPS、無線ナビゲーション、衛星制御、通信システムなど、さまざまな種類の無線通信にすでに割り当てられている。そのため、まだ使われずに残っている部分に対する需要が高まっている。

ギャラリー:ハリケーンが残した傷痕 
ハリケーン襲来から5カ月後、プエルトリコ東部のプンタ・サンティアゴから北に延びる道路では、電柱とヤシの木が傾いたままだった。猛烈な風と高潮が沿岸部に大きな傷痕を残した。(PHOTOGRAPHS BY CAROL GUZY)
 

「スペクトル内のスペースは枯渇しつつあります。以前は問題なく共存できていましたが、もういっぱいいっぱいなのです」と、ワシントン大学の大気科学者トム・アッカーマン氏は言う。

 今年初め、米連邦通信委員会は、水蒸気の観測に用いられる周波数23.8GHzのすぐ隣の帯域をオークションにかけた。新たなスペースの獲得を狙う企業は、これに20億ドル以上の値を付けた。

 しかしNASAのブライデンスタイン長官は、電波オークションに先立って次のように警告していた。「5Gの強い信号が、23.8GHz帯域のかすかな水蒸気の信号に『漏れ出す』ことによって、気象予測の質は1970年代半ばのレベルまで低下するに違いありません」

 同じ頃、米海洋大気局(NOAA)のニール・ジェイコブズ長官代行は議会の委員会で、近隣帯域での電気通信活動は、気象予測の精度を30パーセント低下させる可能性があると述べている。

 彼らに加え、一部の科学者も、近隣帯域の信号の「騒々しさ」を厳しく制限することを求めた。世界気象機関はマイナス42デシベルワットを提案したが(負の数が大きいほど制限は厳しくなる)、連邦通信委員会が定めた数値はマイナス20デシベルワットだった。

 先述の世界無線通信会議において出された結論は、その中間だった。2027年まではマイナス33デシベルワット、以後は少し強化されてマイナス39デシベルワットとなる。

 これはFCCが定めたものよりはましだが、理想とはほど遠いと、ガース氏は言う。

 米国の携帯電話業界団体のセルラー通信工業会(CTIA)の見解は異なる。同協会の執行副代表ブラッド・ギレン氏はブログで、NOAAとNASAの分析は適切でないマイクロ波サウンダ(垂直方向の分布を観測する装置)に基づいたものであり、最新の機器によるデータを考慮に入れれば問題は解決すると述べている。NOAA、NASA、米海軍はしかし、この意見に同意していない。

 この問題に関するNOAAとNASAの研究はまだ公開されていないため、政府外の気象学者は、彼らの主張を直接検証できずにいる。

23.8GHz以外にも脅威は及んでいる

 100年前、世界最高の気象予測とは、雲のパターンや風の感触などの情報に基づいた当て推量だった。今日の科学者は、1週間以上先の雨、雪、日照、ハリケーンなどをかなり正確に予測できる。

 1970年代までには、現代の気象予測システムの骨格ができあがった。科学者らは、大気の空気の流れを支配している複雑な物理を説明するコンピューターモデルを開発した。

 彼らはしかし、そのおかげで大気が簡単には理解できない気まぐれな獣であることを知る。未来の天気がどうなるかを予測するには、予測を立てた時点における気象条件を正確に知る必要があった。物理が役に立つのは、出発点がどこにあるのかがよくわかっているときに限られていた。

 世界中の科学者やエンジニアは、気象予測というゲームの肝は、その時々の大気の状態について可能な限り最高のデータを入手することにあると気がついたわけだ。データが揃っていれば、未来を可能な限り正確に予測できるだろうと彼らは考えた。そこで、大気の3次元的な広がりを正確にマッピングできる装置の開発に、多くの努力が注がれるようになっていった。

 重要な成果のひとつは、電波を利用した観測により、水蒸気の量と場所を正確に把握できるようになったことだ。そして、人工衛星による観測が発達するにつれ、気象予測の正確さと精度も上がっていった。現在の5日間予測の正確さは、1980年代初頭の1日予測と同程度だ。

 さらに最近では、地球の周囲をめぐるさまざまな人工衛星に搭載された、マイクロ波サウンダによる観測が重要性を増してきた。

 NOAAの共同極軌道衛星システムなどに搭載されたマイクロ波サウンダは、大気から放出されるマイクロ波の量を感知する。複数の異なる帯域の放出を観測すれば、水蒸気の量がわかる。そのうちのひとつが23.8GHzだ。ただしこの帯域の水蒸気が放出するマイクロ波は、まるで小川のようにささやかだ。マイクロ波サウンダは今のところ、その微弱な信号の測定に極めて優れている。

 たとえこの周波数帯が完全に保護されたとしても、気象予測にとって重要な周波数帯はほかにもたくさんある。

「同様の事態が、スペクトルのほかの部分でも起こっています」 と、MITのブラックウェル氏は言う。「5Gの電波はそうした帯域、この神聖な領域に接近しています。そこに問題が生じるのです」

 
「スーパーセル」と呼ばれる巨大積乱雲による雷雨がサウスダコタ州を襲う。スーパーセルは非常に激しい気象現象をもたらし、強風やあられ、時には竜巻を伴うこともある。 (PHOTOGRAPH BY JIM REED, NATIONAL GEOGRAPHIC)

5G周波数と気象衛星の周波数がかぶっている?

2019年12月05日 08時57分02秒 | 日記

 

Ntional Geographicもニューズウウィークも、 『5G通信が気象衛星に干渉し、天気予報の精度を40年前に逆戻りさせると問題に』と伝えている。その周波数帯は水蒸気が発生する23.8GHz帯のミリ波領域だが、他の周波数でも問題がおこるとしている。予報精度が半世紀前のレベルに逆戻りすると警告している。ただ、もう、実施が始まっている5G 通信、止めようがない。

打ち上げ予定のJPSS-2衛星 Credit: Orbital ATK

<第5世代移動通信方式5Gが使用する周波数帯域が、気象衛星に干渉し、気象予報の精度を低下させる恐れがあると問題になっている......>

第5世代移動通信方式5Gが使用する周波数帯域の一部が米国の気象衛星の使用する帯域と干渉し、ハリケーン観測など気象予報の精度が最大で30パーセント低下する恐れがある。2019年春ごろに顕在化した懸念は、世界気象機関(WMO)が懸念する声明を発表するまでに発展した。

気象予報が1980年当時の精度になってしまう

NOAA(アメリカ海洋大気庁)とNASAは、共同で「JPSS」という気象衛星を運用している。2011年から2031年までかけて5機の衛星網を完成させる計画だ。地球を南北に周回する軌道を通り、大気の温度、湿度、高度別のオゾン量や雲の分布、海面温度などを観測することができる。日本の気象庁もJPSS衛星のデータを受信しており、欧州との協調観測も行っている世界の気象観測の要だ。

 

JPSS衛星3機に搭載されるATMS(クロストラック走査マイクロ波放射計)は大気の温度と湿度を計測するセンサーで、23~184ギガヘルツのマイクロ波を使用する。毎日の天気予報の基礎データとして欠かせないだけでなく、長期間に渡って大気の水分量を観測することで気候変動のモデル作成にも使用される。懸念されているのはこのATMSの観測への影響だ。

NOAA長官は、「気象予報の精度が30パーセント低下し1980年当時の精度になってしまうだけでなく、ハリケーンの事前予測期間が2日から3日ほど短くなる」としている。米海軍からも電波干渉によって降雨や降雪、海水面、熱帯のサイクロン地域での気象予測などが影響されるとのメモが明らかになっている。

国際電気通信連合の調整が行われたが......

気象衛星危機の発端は、2019年3月にFCC(アメリカ連邦通信委員会)が米国で5Gの帯域として使われる24ギガヘルツ帯の周波数オークションを開始したことにある。この帯域は気象衛星が大気水分量を観測するために使用する23.8ギガヘルツの帯域と近接しており、5G通信機器が24ギガヘルツ帯の電波を発信した際のノイズを気象衛星が誤って観測してしまう恐れがある。

気象衛星を運用するNOAAとNASAは、「帯域外発射」(使用する周波数帯に近接する周波数の電波を発射してしまう一種のノイズ)の規制値が低すぎるとして、FCCに対しオークション延期など調整を求めていた。しかしFCC側は「5Gの電波には高い指向性があり、また5Gが使用する周波数帯と衛星の周波数帯の間には十分な緩衝領域がある」として強硬な姿勢を崩さなかった。

欧州は帯域外発射の規制値として、米国よりもはるかに厳しいマイナス42デシベルワットという値を求めていた。調整はエジプトで10月28日から11月22日まで開催された国際電気通信連合(ITU)無線通信部門の会議である世界無線通信会議(WRC-19)といった国際会議で行われることになった。

ところがWRC-19では、米国よりは厳しいものの、欧州の規制案よりも緩やかな「2027年後半から段階的に帯域外発射を厳しく規制する」という案を承認した。具体的には、2027年9月1日までは5G基地局の帯域外発射規制値をマイナス33デシベルワットに、以降はマイナス39デシベルワットにする、というものだ。

厳しい規制が5G普及を早め、気象観測へより早く影響することに

科学誌ネイチャーの報道によれば、5G通信の普及が進むにつれて、より厳しい規制を導入することになったのだという。

 

WMOは、この決定のために、5Gの導入が早く進むリスクがあると警告した。5G事業者は規制が厳しくなる前に5G基地局などの機器の導入を進め、結果として帯域外発射が増え、「気象衛星が使用する24ギガヘルツの帯域で干渉が無秩序に増加する可能性がある」としている。段階的な規制にしたことで、かえってリスクが増えるというのだ。WMOは、会議前からマイナス55デシベルワットという最も厳しい規制値を求めていた。

5G普及が早まり、気象観測へより早く影響するというありがたくないリスクが示された中で、帯域外発射のモニタリングや、衛星の観測データから5Gの影響を取り除く技術の開発などを進めなくてはならない。気象観測を守る対策は時間との競争になってきている。

ここから→5Gの気象予測を妨げる状況←動画はここまで

https://youtu.be/Qtfn7o9rqy8

 

これからの小売りはDirect to Consumer (D2C)?!

2019年12月05日 08時37分42秒 | 日記

 

 

東洋経済が、これからの小売業は、「消費者に新しい価値を提供する」ことで、企業側からも収益化を試みるDirect to Consumer(d2c)がビジネスモデルと解説。素子いぇアメリカのテキサス発「D2Cブランド」のデパート「Neighborhood Goods」を紹介していた。流通業の在り方も、アメリカから上陸してくるとは、やるせなくなる。

アメリカでは「小売業の新陳代謝」が激しく進む一方で、「リアル店舗の価値を新しく定義した新業態」も芽吹きつつある。具体的には、従来のように「消費者に売る」ことではなく「消費者に新しい価値を提供する」ことで、企業側からも収益化を試みるビジネスモデルだ。

その代表例で、日本企業が学ぶべき「最もイノベーティブな小売業」と筆者が考えるのが、「Neighborhood Goods」(ネイバーフッド・グッズ)という、2017年にアメリカ・テキサスで創業したスタートアップだ。

その独特のビジネスモデルから、アメリカでは「リテールのニュータイプ」「ストーリーテラーのリテーラー」などさまざまなキャッチフレーズで紹介され、「『D2Cブランド』のデパートメントストア」ともいわれている。

「D2Cブランド」とは、自社WEBサイトからの直販事業を中心にブランドを営む「Direct to Consumer (D2C)」 という新しいビジネスモデルのことである。

投資家からの評価も高く、2019年9月時点で累計2550万ドルの資金調達を達成し注目を集めている。 

事業の立ち上がりも順調で、2018年11月にテキサス州ダラスに約1300平方メートルの1号店を開いたのを皮切りに、2019年12月にはニューヨークで2号店をオープン、2020年初頭に次の3号店も予定している。

いったい、「Neighborhood Goods」は何がすごいのだろうか。なぜ「日本企業が学ぶべきお手本」だと筆者は考えるのか。同社の特徴・魅力を「消費者側」「企業側」から見つつ、解説したい。

【消費者側からの魅力①】「多様な価値」を提供してくれる

まず、消費者側である。消費者にとって「Neighborhood Goods」の魅力とは、ライフスタイルのさまざまなシーンで活用できるほど、「多様な価値」を提供してくれる場であるということだ。

店には、アパレルから生活雑貨まで旬な「D2Cブランド」がセンスよく展示され、「新しいライフスタイル」を提案してくれる。加えて、商品ローンチイベントやコミュニティーイベントなどの催事が毎日のように行われ、ライブ感があって飽きない

また後述するように、店舗スタッフは、販売員ではなく「ストーリーテラー」として位置づけられフレンドリーで、消費者が店員から購入プレッシャーを感じることはない

【消費者側からの魅力②】「コミュニティー作り」の一助となる

また、店舗に併設されたカフェもおしゃれで快適、思わず立ち寄って食事をしたり、時間をつぶしながら新しいブランドをアプリで検索、店員とチャットしたりと、消費者のライフスタイルに合わせてさまざまな使い方ができる。

このように消費者にとっての「Neighborhood Goods」は、「商品をトライアルする場」「ブランドとコミュニケーションする場」「地域のコミュニティーハブとしての場」など、従来のリテールを超えた「さまざまな価値」を持っているのだ。

企業側からみた魅力は何か

【企業側からの魅力①】販売だけでなく「コンサルティング」まで行う

一方、企業側からみた魅力は、端的に言うと、同社が「D2Cブランド」にとって、販売だけでなくマーケティングやブランディングまで支援してくれるビジネスパートナーだということだ。

同社のビジネスモデルは、出展ブランドからの展示費用と販売委託手数料(販売マージン)からなる。この月額固定の展示費用には、ブランド側へのコンサルティングフィーが含まれている。

同社のスタッフは、出店者の「ブランドアンバサダー」となり、ブランドの魅力・ストーリーを消費者に伝えることを徹底する。そして、消費者がスタッフと交わしたコミュニケーションを基に、ブランドに対して消費者のインサイトをフィードバックしていく。

ブランドは「Neighborhood Goods」の場を活用して、商品ローンチイベントやファンとの交流イベントなど、さまざまなリアルイベントを打つこともできる。同社に出店している「D2Cブランド」の大半はリアル店舗を持たないので、「Neighborhood Goods」のようなおしゃれな場所を使えることのメリットは大きい。

【企業側からの魅力②】「デジタル経由で集められた情報」も提供される

また、同社はデジタル活用にも積極的だ。前述のアプリを通じて各商品の情報提供に加え、セルフ決済やチャット機能も提供している。カメラによる顧客の動線分析も実施している。こうしたデジタル経由で集められたユーザーの情報は、前述のスタッフを通じて集まった消費者のアナログ情報と共に、ブランド側に密にフィードバックされていく。

以上により、ブランドは自らの店舗を構えることなく、効果的なテストマーケティングやブランディングを実施することができるというわけだ。

勝ち残りのカギは「価値のかけ算」にある

このように「Neighborhood Goods」は、リアル店舗に対して「モノを売る場」ではなく、「ブランドコミュニケーション」「テストマーケティングの場」「地域コミュニティーのハブ」といった「新しい価値」を組み合わせることで、「アマゾンエフェクト」にあえぐアメリカの小売業にイノベーションをもたらした

同じように、「店舗の価値定義」を改め、展示料やコンサルティング料で収益化するビジネスモデルは、「Neighborhood Goods」だけでなく、サンフランシスコ発のスタートアップ「b8ta」(ベータ:家電やデジタル関連のイノベーティブな製品の展示に特化したスタートアップ)のように増えつつある。

いつでもどこでもネットでモノが買える時代、リアル店舗にとっては、いかにモノを売る以外の「価値」を提供するかが大事となる。そして、その価値は1つではなく「Neighborhood Goods」のように「複数の価値」を組み合わせ、消費者のさまざまなライフシーンをサポートすることが重要なのだ。

「リアルの場でしか提供できない価値」をいかに「複数」組み合わせ、創造するか――。それが2030年、アパレル業界、小売業の勝ち残りを左右するカギである。