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現代アート道楽の日々。

首都圏の展覧会の感想など。しばしば遠征。【不定期更新】

奈義町現代美術館(後編)

2005-07-30 | アート感想@遠征
前編からの続き。

北棟ギャラリーでは、ちょっとした展覧会が開催中だった。

「遍在の場・奈義の龍安寺・建築する身体」展

荒川修作に関する第三者の評論、荒川によるスケッチ、そして観客が展示室「太陽」で撮影した写真など。この展示を観ていると、ますます展示室「太陽」への期待が高まり、いてもたってもいられなくなってくる。

8月31日まで。

そしていよいよ展示室「太陽」の前室へ。この狭い部屋(冒頭の写真)は、壁一面に何気ないスナップ写真が貼られ、まるで今わの際に現世の思い出が走馬灯のように流れているかのよう。ここはアッチの世界との境界か?

中央の黒い柱のような物体は、中が螺旋階段になっていて、大人一人が何とか上れるくらいの狭さ。全体が斜めになっていて、なんとも上りにくかった。

そして階段を上り終え、展示室「太陽」で観たものは……。


これがあの巨大な筒の中で、空間全体が荒川修作+マドリン・ギンズの《遍在の場・奈義の龍安寺・建築的身体》。龍安寺の石庭が反転し、それほど広い空間ではないはずなのに、はるかな広がりを持った空間に放り出されたかのよう。筒が斜めになっているので、バランスをとるために感覚がどんどん鋭くなっていく。


反対側から振り返るとこんな感じ。入り口のところに理解不能な解説が書いてあったけど、この部屋を体験した後では、なんとなく直感的に納得してしまうのがコワい。

これまで荒川の「体験装置」を志段味・養老(記事はこちらこちら)と体験。一番のオススメは養老だけど、奈義もなかなかのもの。

最後に展示室「月」で、岡崎和郎の《HISASHI-補遺するもの》を観る。荒川作品の圧倒的なインパクトの後だったけど、無駄のない静謐な空間に心が安らぐ。

作品数こそ3点と少ないけど、建築と作品が一体となった素晴らしい美術館だったと思う。これでもう少しアクセスが良ければなあ……。

このあと、時間と体力に余裕があれば倉敷にも足を伸ばそうと思っていたけど、バスからの乗り継ぎに失敗して断念(涙)。

奈義町現代美術館(前編)

2005-07-30 | アート感想@遠征
岡山県北部にある奈義町現代美術館に行ってきた。

津山から路線バスで行ったけど、7月13日のダイヤ改正でバスの本数が多少減っていて焦った。幸い予定のバスは健在だったけど、これから行く人は中鉄バス非公式ページで時刻を確認した方が無難。

この美術館(写真)は、3人の美術家に作品を依頼し、その作品の空間を磯崎新が建築化したというもの。今でこそ地中美術館もあるけど、まず作品ありきという美術館は、当時としてはかなりユニークだったかも。冒頭の写真の右側に見える大きな白い筒は、展示室「太陽」で、荒川修作+マドリン・ギンズの作品が展示されている。

エントランスホールと受付を通り、シックな雰囲気の喫茶室の先には、展示室「大地」があり、ここには宮脇愛子の《うつろい》が展示されている。

この美術館は撮影可(フラッシュは禁止)だったので、遠慮なくデジカメで撮影。



打ちっぱなしのコンクリートに囲まれた池に作品が映り、なかなか良い雰囲気の空間だった。奥に見える白い建物は、展示室「月」で、岡崎和郎の作品が展示されている。



トンボが作品にとまっていたので、ズームで狙ってみた。

後編に続く。

大阪ギャラリー巡り

2005-07-16 | アート感想@遠征
地下鉄西長堀駅に移動し、studio Jへ。

名和晃平展 -Drowings-

15点の展示作品は、全て紙へのドローイング。うち14点は、エアブラシドローイングの《A.B.D.》シリーズ。一見、ビーズや偏光シートの作品と同じ作家とは思えないけど、雰囲気は通じるところがあるかも。何よりも楽しんで描いているのが伝わってくるのが良い。気になるお値段も、4万円~と1点モノにしては手ごろだった。

7月30日まで、日・月休廊。



地下鉄北浜駅に移動し、MEMへ。冒頭の写真は、このギャラリーが入っている新井ビルの階段。

森村泰昌展「フェルメールの部屋」~大きな物語は、小さな部屋の片隅に現れる~

ギャラリー入口の扉には鍵が常にかかっていて、呼び鈴でスタッフを呼んで開けてもらう形式。しかも、ギャラリー内はカメラで監視中とのこと。それほど貴重なものがあるかと思うと、ますます期待が高まる。

ギャラリー内は、フェルメールの《画家のアトリエ》の部屋のようにに改装されていた。もちろん床はあの模様。近江八幡で観たボーダレス・アートギャラリーNO-MAの《画家のアトリエ》部屋は、外から覗くだけだったけど、こちらは中を歩き回れるのが良い。テーブルや床には、作家自身が学生時代に使った画材や、当時描いたスケッチがさりげなく置いてあった。

作品は6点で、うち5点が写真作品《フェルメール研究》シリーズ。これらの作品は、作家自身が変装して《画家のアトリエ》を実写で再現したものだけど、誰もいない部屋の写真や服の色を変えた写真もあって、改めて元絵の完成度の高さを実感。ビデオ作品《フェルメール研究(動く絵画)》も、最初は動画とは気づかなかったけど、作家による「発見」を次々に映し出すのが面白かった。

あと、なのかさんの7月2日の日記に、森村泰昌によるオープニング・レクチャーのレポートがあるので、興味を持たれた方はどうぞ。

7月30日まで、日・祝休廊。

ガンダム展@天保山(大阪)

2005-07-16 | アート感想@遠征
ひさびさの大阪遠征。

地下鉄大阪港駅で下車し、酷暑の中を5分ほど歩いてサントリーミュージアム[天保山]に到着。この建物(写真)は安藤忠雄の設計。

GUNDAM ~ 来たるべき未来のために

生粋のガンダム世代である東谷隆司がキュレーションした現代アートのガンダム展。出品作家は全員男性というのもガンダムならでは?

今回もっとも強烈だったのは、西尾康之の《crash セイラ・マス》。この作品は、ガンダムに登場する女性を陰刻鋳造で立体化したもので、普通の身長の5倍以上ある巨大な姿が圧巻。特に、お尻周りの表現には、作家の並々ならぬコダワリが感じられる。あと、ちょっと見づらいけど、お腹の部分に意外な仕掛けがあって面白い。

会田誠の《ザク(戦争画RETURNS番外編)》も凄まじい。無数の「ザク」が山のように密集しているシーンを描いたこの作品からは、本物の「戦争画」のような異常な高揚感が伝わってくるようだった。チラシやHPに載っているのは着色前の下絵だけど、着色された展示作品は、それと比べ物にならないくらい生々しい。

小谷元彦の《胸いっぱいの愛を》は、戦争の一面を冷徹に捉えた写真作品。軍服の女性が荒野でイスに腰掛けている写真が中央にあり、その両隣に男性の死体の山の写真、さらにその両隣と対面に骸骨の山の写真が配置されている。

このほか、形のないものを立体化した田中功起の《覚醒 in the air》と《ピキピキーン(劇場版)》や、金箔の背景に日本画風のガンダムを描いた天明屋尚の《RX-78-2 傾奇者 2005 Version》が印象的だった。

実を言うと、私はガンダムについてほとんど知識がなく、展覧会を楽しめるかどうか不安だったけど、純粋な現代アート展としても十分に楽しめる展覧会だった。ガンダム好きの現代アートファン(世間にどれくらいいるのだろうか……)なら、遠征してでも観に行くべき?

8月31日まで、会期中無休。

養老天命反転地@岐阜・養老 その3

2005-06-05 | アート感想@遠征
前の記事の続き

「楕円形のフィールド」の外周(片側)には、溝のような通路があった。狭くて人とすれ違うのがやっとだったけど、自分がどんどん小さくなっていくような感覚が味わえて面白い。

振り返ると濃尾平野の眺めが美しい。通路は屋根があったり、階段があったりと変化に富んでいた。

通路からの眺めはこんな感じ。気が付くと高いところに来てて足がすくむ。

通路を下から見るとこんな感じ。

おまけ:養老天命反転地メモ(これから行かれる方のために)

  • 近鉄養老線は本数が少ないので、電車で行く場合はこちら等で予め時刻を調べるべし
  • 養老公園内の「楽市楽座」でも食事できるけど、縁日の屋台に毛が生えた程度の料理でオススメできない(発泡スチロール容器で出てくる……)
  • 養老天命反転地内は飲食禁止だけど、自販機と水飲み場がある休憩所あり
  • 「養老の滝」を歩いて見に行く場合は、観光リフトを使うと楽
  • 「養老サイダー」は美味しい水に素朴な甘さでオススメ
以上

養老天命反転地@岐阜・養老 その2

2005-06-05 | アート感想@遠征
前の記事の続き

冒頭の写真が「楕円形のフィールド」。長径約130m、短径約100m、高低差最高25mという巨大な楕円のすり鉢が目の前に広がるのは圧巻。人が小さく見える!

周りにはヘルメットをかぶった監視員が待機してて、万一のときは救助してくれる(はず)。彼らのガイドも味があって面白かった。

フィールド内には、「極限で似るものの家」と双子の関係にある9つのパビリオンが点在。

これは「地霊」の入り口。中は真っ暗で、善光寺や清水寺などにある「胎内めぐり」に似ている。壁に触れた指先に全神経を集中させると、忘れていた感覚が蘇ってくる。暗闇を抜け、奥の部屋の天井では「あの形」が!「切り閉じの間」も同じ趣向で、こっちの方が迷路っぽい。

フィールドの中央にある「宿命の家」。地面に描かれた巨大な日本列島の中央にあって、岐阜県の形をしている。地面のガラスがところどころ割れていたのは残念。

これは「陥入膜の径」。作家による「使用法」では、「目を閉じること」ってあったけど、周りの傾斜が急でちょっとコワかった。

フィールドの奥にある「運動路」。雨ざらしのソファがボロボロなのが残念。

続く

養老天命反転地@岐阜・養老 その1

2005-06-05 | アート感想@遠征
今年になって、荒川修作展@名古屋市美術館志段味循環型モデル住宅と荒川作品を観てきたけど、ついに念願の養老天命反転地に行ってきた!(でも奈義町現代美術館は、まだ。)

昼間は1時間に1本(夕方は2本)と、本数が少ない近鉄養老線で「養老」駅に到着。駅から10分ほど歩くと、平和な公園の一角にこの世のモノとは思えない光景が!はやる気持ちを抑えつつ入場。

荒川修作+マドリン・ギンズ 養老天命反転地

まずは、「養老天命反転地記念館」(冒頭の写真)へ。

建物の中はこんな感じ。平らな床は一切なくて、イヤでも自分の身体を意識させられる。あと、トイレの天井は必見!

竹林のような「不死門」を抜け、岩が積みあがった「昆虫山脈」を登り、メインパビリオン「極限で似るものの家」へ。

岐阜県の形をした建物に、岐阜県の地図が!

内部はこんな感じ。ベッド、浴槽、流し台などが壁に分断されていて、日常と非日常が頭でグルグルしてくる。

続いて、巨大なすり鉢「楕円形のフィールド」へ!

左手に見えるのは「精緻の塔」。この中に入るのは大変だった。そして右手の地面には巨大な日本列島が!

続く

ブリコラ展再訪@民博(大阪)

2005-06-04 | アート感想@遠征
先日観に行ったブリコラ展の展示内容が一部変わったという噂を聞き、関西方面に行ったついでにみんぱく再訪。

きのうよりワクワクしてきた。 ~ブリコラージュ・アート・ナウ 日常の冒険者たち

冒頭の写真は、ブリコラージュ(ありあわせの素材で別のものを作る)の一例。ビール缶で帽子等を作っているけど、廃品利用の手作りとは思えないほどの完成度。売り物にしてもおかしくないと思う。

上の写真は、フジタマの映像作品《かぞくのゆめおうこく》の主役の親子。左から花枝・まさお・けいぞう(笑)。「むすこのへや/こわいへや」や、「ぼうそうかぞく」等が追加になって、全7作品になっていた。みんぱくの収蔵品を最も効果的に使った作品かも。

上の写真は、生意気の「リビング」。目玉を2個つけただけなのに、どれもカワイイ!

上の写真は、高嶺格の「夫婦の寝室」。映像にツッコミを入れる収蔵品(夫婦?)が面白い。

上の写真は、2階から1階を眺めた様子。吹き抜けを巨大リリアンが覆う。前回来たときと比べ、リリアンはかなり成長。1階左奥の作品は、元大工?のホームレスが建てた空き缶ハウス。膨大な量の空き缶を集めて、洗って、組み立てて……と考えると気が遠くなってくる。

6月7日まで。

塩田千春展@京都精華大

2005-05-07 | アート感想@遠征
京都精華大学ギャラリーフロールで開催中の「塩田千春展」に行ってきた。

塩田千春展 ― When Mind Become Form

会場に入ると、白ペンキで塗られた古びた窓枠が部屋全体を埋め尽くしていた。この窓は《閉ざされた日常 ― 第3の皮膚》の一部で、窓と窓の間から内側に入ることができる。窓に囲まれた空間は、ところどころガラスが割れ、廃墟に迷いこんだようで不気味。

《閉ざされた日常 ― 第3の皮膚》の右奥の部屋は、《…への不安》というインスタレーション。黒い毛糸がクモの巣のように張り巡らされた部屋には、毛糸が張られていないトンネルのような空間があって、そこを通って鑑賞。毛糸の壁の奥には誰もいない病院のベッド、そしてトンネルの先には水が溢れた洗面台……観ていてなんだか絶望的な気分になってきた。

《閉ざされた日常 ― 第3の皮膚》の左奥に入ると、右側の壁に《WIEDERSEHEN》の映像。様々な男女がキスをしたり、抱き合ったりする幸福なモノクロ映像。しかし、画面全体にクモの巣のような黒い線がかかっていて、幸福と断絶されているような暗い気分に。さらに奥の部屋は、《閉ざされた日常 ― 第3の皮膚》の核心とも言える鳥かごの部屋とタイルの部屋。鳥かごには鳥はおらず、羽だけ残されている。タイルの部屋は一面泥にまみれていて、その部屋で恐ろしい出来事があったかのような予感。とにかく暗く、不吉な気分にさせられる作品だった。

2階展示室の作品は、《皮膚からの記憶2005》。2メートル以上の高さの泥まみれのドレス12着が円形に並んでいて、それぞれのドレスはシャワーで洗い流されている。しかし、これらのドレスが再びキレイになることはない……。この作品も圧巻だった。

1階の小展示室では、オランダの精神病院跡地を写した《Empty place》(写真7点)と、映像2点の展示。作家本人がバスルームで泥まみれになって体を洗う映像《バスルーム》が特に観応えがあった。

5月29日まで、水曜休館。

東京・西新宿のケンジタキギャラリーでも「塩田千春 新作展」が開催中。こっちは最終日の14日に観に行く予定。行ってきた!

作品は、部屋全体を使ったインスタレーション《砕けた記憶》と、写真作品が4点。

《砕けた記憶》は、黒毛糸が部屋中に張り巡らされ、そこに鏡の破片が挟まっているのが何かを暗示しているようで面白かった。でも、外光が入って明る過ぎたため、陰鬱とした雰囲気が打ち消されていたのは残念。

京都の展示を観た後だっただけに、ちょっと物足りなかったかも。

5月末まで延長して展示中

讃岐醤油画資料館@坂出

2005-04-30 | アート感想@遠征
続いて坂出へ。駅北口から西へ少し歩くと、鎌田醤油の大きな工場が見えてきた。さっそく製品直売所でチケット(絵ハガキ)を購入し、いざ資料館へ。

小沢剛 讃岐醤油画資料館

係の人に鍵を開けてもらい、いったん裏から商店街に出て、再び入り口(写真左側)から入る。内容自体は森美術館で観たものと同じだけど、やはり本物の醤油屋の中にあると説得力が違う。まさにサイト・スペシフィックな作品!何も知らずに入ったら、本当に醤油画の歴史があったと信じてしまいそう。

隣の四谷シモン人形館・淡翁荘も、不気味な雰囲気で良かった。映画「イノセンス」のモデルになったという人形もここ。

どちらも火・木・土開館(祝日は休館)。



5月2日夕方からまた遠征。次の更新はGW明けになりそう。

風景遊歩@丸亀市猪熊弦一郎現代美術館

2005-04-30 | アート感想@遠征
瀬戸大橋を渡り、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(写真)へ。ここはアクセス(丸亀駅の目の前)、建築(谷口吉生設計)、企画の三拍子揃った美術館で、これで4回目の来訪。(東京在住にしてはちょっと多過ぎ?)

風景遊歩 sight-cruising

「風景」といっても単純に景色を描いたものではなくて、作家の多様な個性を風景(のようなもの)に反映した作品を集めた展覧会。「あたらしい風景」と「みえない風景」に分類された作品は、部屋の両側に向き合うように配置されていて、二つの風景の対比がとても刺激的だった。

なかでも特に印象に残ったのは以下の3点。

大岩オスカール幸男の《エイジアン・ドラゴン》は、アジアっぽい発展途上国のごちゃごちゃしたスラムと工場を描いた作品。滝のような雨がが降り注ぐなか、工場や貨物列車には「竜」のイメージが重なっていて、日本が高度成長の過程で失ったものを観てしまったような気がした。

会田誠の《人(hi-to:human being)PROJECT》は、今回初めて実物を観ることができて感激!映画「≒会田誠」では、作家本人が途中で描くのに飽きていたけど、その大きさと緻密さを目の当たりにしてそれにも納得。絵には日本語と英語でプロジェクトの説明が書いてあるけど、日・英で少し文章を変えてあったのは、何か意味があるのだろうか?

高木正勝の《bloomy girls》は、長い髪の少女をイメージしたヴィデオ・インスタレーション。絨毯に置かれたビーズクッションにもたれて、色とりどりの映像と聴きやすい音楽に身を任せると本当に心地いい!ミュージアムホールでも上映があって、映画館並みの設備で作品を楽しめるのも良かった。

上の挙げたのは「みえない風景」ばかりだけど、「あたらしい風景」では畠山直哉の《Underground》シリーズや、野村仁の《赤道上の太陽》が印象的だった。

6月12日まで、会期中無休。

燐票大展覧会@岡山県立美術館

2005-04-29 | アート感想@遠征
続いて、岡山後楽園近くの岡山県立美術館(写真)へ。

燐票大展覧会―マッチラベルのシンセカイ

地元のコレクター(故人)による膨大な燐票(マッチラベル)コレクションの展覧会。新作マッチラベルの原画展は、オマケみたいなものだったけど、メンバーは豪華で、会田誠、赤瀬川原平、杉本博司、中西夏之、中山ダイスケ、日比野克彦、福田美蘭、明和電機、横尾忠則ら計37人(ほかに楳図かずお、谷川俊太郎ら現代アート以外の分野の方も)。これに館所蔵の雪舟などの作品マッチを加えて、40個セットで販売していた。

なかでも山口晃のマッチ箱がユーモアに溢れていて気に入った。「火あそび注意」と題し、おねしょをした子犬が干したフトンの前でショボンとしているのがカワイイ。一方、小沢剛は讃岐醤油画資料館の宣伝マッチ。これは実用的(?)。

5月29日まで、月曜休館(5月2日は開館)。

会田誠・小沢剛・山口晃@大原美術館・有隣荘(倉敷)

2005-04-29 | アート感想@遠征
倉敷の大原美術館に行ってきた。

平成17年 有隣荘 春の特別公開「会田誠・小沢剛・山口晃」

本館の斜向かいにある有隣荘(写真)が舞台の展覧会。この建物は、大原家の別邸として建てられた後、倉敷の迎賓館的な役割を担った由緒ある建物。現在は年に2回だけ公開しているみたいだけど、そんな建物を使って現代アート、しかも「取扱注意」の作家を含む展覧会を開催するとはスゴい。

1階の洋間は小沢剛《ベジタブル・ウェポン》シリーズの部屋。《羊肉火鍋/北京》や《プチェイロ/リオデジャネイロ》などの写真や映像もあったけど、今回の目玉はなんと言っても《ばら寿司/倉敷》。野菜と魚で作った銃に無理やりご飯を詰め込むシーンが面白かった。

廊下を通って和室に行くと、会田誠の《おにぎり仮面》が部屋の中央に鎮座。さすがに仮面をかぶっているのは本人じゃなくて人形だけど、風情ある建物とのギャップに頭がクラクラしてきた。今回の目玉の《愛ちゃん盆栽》シリーズは、加藤愛とのコラボで、《ほおずき》、《しだ》、《松》の3作品。盆栽から伸びた枝ごとに可愛らしい顔がついている姿は、はっきり言って異様。でも、和室の空間にあまりにも馴染んでいるのが不思議。他にも英語に対する複雑な感情を表現した《Untitled》や、臼井良平や卯城竜太らの作品もあって、内容盛りだくさんの部屋だった。

2階は山口晃のスペース。この展覧会のための新作《倉敷金刀比羅図》は、瀬戸大橋を中心に倉敷・金刀比羅までを描いたもの。なぜか瀬戸大橋は江戸時代っぽいデザインで、実際には橋が架かっていない近隣の島まで橋が架かっているのも面白い。相変わらず精緻な描き込みで観ていて飽きない作品だった。《青年の部屋》は、若き日の大原總一郎の部屋をイメージしたインスタレーション。古い机や本棚には、昔の学生が読んだような難しそうな本が並んでいるが、なぜかポテトチップやペットボトルのお茶(2リットル)があるのが可笑しかった。

5月8日まで、会期中無休。

続いて本館、大原美術館はこれで3回目だけど、国内随一のコレクションは本当に観応えがある。新収蔵作品では、やなぎみわと田島悦子の作品が印象に残った。あと、私のお気に入りの分館地下も良かった。ここは来るたびに新たな発見があって楽しい。

きのうよりワクワクしてきた。@大阪・民博

2005-04-17 | アート感想@遠征
大阪の万博公園内にある国立民族学博物館(民博)に行ってきた。

きのうよりワクワクしてきた。 ~ブリコラージュ・アート・ナウ 日常の冒険者たち

会場に入ると、チープな段ボールの仕切り壁の周りに、雑然と展示品が散らかっていた。展示品のタグを見てみると、民博の収蔵品に混ざって、ゴミ捨て場から拾ってきたガラクタも恭しく陳列されているのに苦笑。この展示場デザインは、ダムタイプの創設メンバーの一人、小山田徹とのこと。なんとなく納得しつつ次に進む。

今回の展覧会のテーマの「ブリコラージュ」とは、未開社会でよく見られる思考法で、ありあわせの素材で何かを成し遂げようとすることらしい。言葉で書くと難しいけど、切り裂いたビール缶を編んで帽子を作ったり、空き缶を胴体に使って汽車のおもちゃを作ったりするのが「ブリコラージュ」とのこと。でも、その帽子やおもちゃが、あまりにも素晴らしい出来でしばし感心。

展示室1階は、玄関・キッチン・ダイニング・リビング・裏庭などのスペースに分かれていて、全体で一軒の家をイメージ。それぞれの部屋で、総勢17人のアウトサイダー・アーティストや現代美術作家たちが、民博の収蔵品などを使ってアートを奔放に展開していた。

なかでも面白かったのが、至るところに置かれたフジタマの映像作品と、高嶺格による「夫婦の寝室」。

フジタマの映像作品は、民博の収蔵品の人形がホームドラマを演じているもの。奇妙な顔の人形に、純日本風の名前がついているだけでも面白いんだけど、突然、話が突拍子のないほうに行ったりして思わず笑ってしまった。フジタマは玄関でも切り絵を展開。前日も京都で作品を観たけど、この人、スゴい人かも。

高嶺格の「夫婦の寝室」では、暗くて狭くて長い合板でできた通路を、靴を脱いで這って抜けると、ちょっとしたスペースがあって、《物々交換プロジェクト》の映像を上映していた。高嶺格本人による、ニューヨークでの体を張ったパフォーマンスに思わず苦笑。ここではあえて詳しく書かないけど、民博の収蔵品も効果的に使ってあった。

この他にも、建築の仕事を以前していたホームレスによる「空き缶ハウス」や、生意気による2個のボールで様々な表情を表現した「リビング」が面白かった。

民博の収蔵品がマネキンのように陳列されている階段を上った2階には、手にしたカードがぬいぐるみや花束に化けて画面に映るシステムや、作家のプロフィールなどを紹介する情報コーナーがあった。なかでも、1階から2階の吹き抜け全体を使って作る巨大リリアンは圧巻。リリアン、小学校で流行ったなあ、懐かしい……。

6月7日まで、水曜休館(5月4日開館)。

大阪近辺の方は是非!ワクワクすること請け合い!家族や友達とワイワイ言いながら観ると面白いかも。

裏・アートマップ@京都芸術センター

2005-04-16 | アート感想@遠征
京都・四条烏丸の京都芸術センターに行ってきた。この建物(写真)は廃校になった小学校を改装したもので、廊下や階段には学校だった頃の面影が残っている。今回は行かなかったけど、前田コーヒー運営のカフェも雰囲気が良くてオススメ。

裏・アートマップ

京都市内15軒のギャラリーによる展覧会。これまで定期的に開催されてきた「KYOTO ART MAP」は、観客がギャラリーを巡るイベントだったけど、今回は逆に参加ギャラリーが京都芸術センターに集結。つまり「ウラ」。

正面入口から入ると、フジタマの巨大な切り紙とイカの映像がお出迎え。映像はちょっと気持ち悪いけど、何だか面白い!

特に印象に残った作品は、階段下に展示されていた林勇気の《とどくとおもった、そら》。8台のモニターに青空を題材にした映像が流れ、その横には真っ青なページの文字のない本が置いてある。ひたすら流れる雲や、手の形をした鳥が無数に飛び回る映像も良かったけど、昔のテレビゲームみたいな構図で、ヒトが雲や地上を渡り歩く映像が特に気に入った。

このほか、部屋を模した鏡張りの箱に下から頭を入れる小川敏弘の《アーティスト・アンド・ヒズ・スタジオ》や、GEISAI-5で金賞を受賞した濱口桜子の《夜のまいごのうちあげだ》が印象的だった。

事務室では全ギャラリーが載っている地図を100円で売っているので、気に入った作家が見つかったらそのギャラリーに行くのも良いかも。

4月24日まで、会期中無休。