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現代アート道楽の日々。

首都圏の展覧会の感想など。しばしば遠征。【不定期更新】

福岡トリエンナーレ(その2)

2005-09-24 | アート感想@遠征
その1の続き。

そして、今回の福岡トリエンナーレで特筆すべきなのは、角孝政の《不思議博物館 展示室A》。これは、美術館の無料スペースの一角を博物館に見立たもので、作家の趣味(欲望?)を、そのままカタチにしたような空間。でも、妙に居心地が良くって、延々と折り紙をしていた親子など、長居する観客が後を絶たない。

博物館の展示物としては、実際の1兆倍の大きさのクマムシや、アニメ・特撮の世界から出てきたような奇妙な生物・怪獣など、強烈な個性を持った造形作品がウヨウヨ。作家の「造りたい!」という情熱がひしひしと伝わってくるような作品群だった。しかも、FRPで作られた作品の仕上がり度は高く、副業(本業?)で立体造形作品の受注製作をしているのにも納得。この作家の前では、「アート|模型」というジャンルの壁は無意味かも。

この博物館の目玉の一つは、ガンシューティングゲーム「デスクリムゾン」(このゲームは「伝説のクソゲー」らしい)と、そのゲーム専用の特製巨大コントローラー「巨大クリムゾン」。全長3.4メートルもある巨大コントローラーを動かすだけでも大変だったけど、美術館で造形作品を操作してゲームをするなんて、まずヨソではできない体験。

もう一つの目玉は、メ○ド服のような格好をした「不思議子ちゃん」。これは女性ボランティアが扮するキャラクターで、造形作品の説明をしてくれたり、コーヒー等(有料)を出してくれたりする(ぎりぎりメイ○カフェではないらしい)。この「不思議子ちゃん」は、作品の一部である一方、観客の視点から作品の説明をしてくれる存在でもある。奇妙な造形作品が立ち並ぶ異様な空間だったけど、「不思議子ちゃん」のおかげで違和感なく作家の世界に入り込むことができたのかも。

なお、不思議博物館/角孝政に詳しい情報あり。これから行く方は必見!

11月27日まで、水曜休館(11月23日開館、翌24日休館)。

福岡トリエンナーレ(その1)

2005-09-24 | アート感想@遠征
福岡アジア美術館に行ってきた。

第3回福岡アジア美術トリエンナーレ

3年に1度開催される、アジアの作家だけのトリエンナーレ。21の国と地域から50組の作家が参加。国によって作品レベルに差があるけど、それもこの展覧会の魅力の一つかも。

特に印象に残った作品は以下のとおり。なぜか日・中・韓ばかり……。

ヤン・ジェンジョン/楊振忠(中国)の《囲まれる》は、観客をぐるりと囲む8面スクリーンの映像作品。車椅子に取り付けた8台のカメラを用いて、作家を取り囲む群衆を撮影した映像は、観ていて恐怖を感じるほど迫力があった。無表情で迫ってくるが何もしない群集が不気味。

ハム・ジン(韓国)の《みつめあう》は、壁と床の1センチほどのスキマ(延長約15メートル)に、小さな小さな生き物の彫刻が並べられた作品。床に這いつくばって、虫眼鏡で作品を観ていたら、制限時間の5分があっという間に過ぎていった。

塩田千春(日本)の《窓の家:第3の皮膚》は、旧東ベルリン地区で作家自身が集めた580枚余りの窓枠で作った巨大な家。窓はどれも汚れていて、中にはガラスが割れたものもある。それぞれの家庭における歴史の重みを感じさせる作品だった。

伊藤隆介(日本)の《Realistic Virtuality: 絵画の主題》は、特撮のミニチュアセットと、そのリアルタイム映像を同一空間に展示した作品。ミニチュアと映像の見え方のギャップが面白い。墜落する戦闘機と、レンタルビデオ店の成人向けコーナーという、対照的だけどどこか通じるモチーフも絶妙。

チャン・ヨンヘ重工業(韓国)の《チャン・ヨンヘ重工業製作 1999-2005》は、フラッシュを使ったWebアート。怒涛のように湧き出る文字に、カッコ良く音楽がシンクロしていた。作家のHPでも作品を観ることができるけど、美術館の大きなスクリーンのほうが迫力がある。ちなみに、私のお気に入りは《NIPPON》。

その2に続く。

宮島達男展@熊本

2005-09-24 | アート感想@遠征
熊本市現代美術館に行ってきた。久々の九州遠征。

宮島達男 Beyond the Death

LED等を使ったデジタル・カウンター作品で国際的に活躍する宮島達男の個展。出展作品はたったの3つだけど、非常に充実した内容。以前から《Mega Death》がどうしても観たかったので、ちょっと無理をして遠征したけど、それだけの価値はあったと思う。

最初の作品は、1999年のヴェネチア・ビエンナーレで発表された《Mega Death》。幅30メートル近くある壁一面に設置された2256個(16行×141列)の青色LEDが点滅する作品。LEDをよく見ると、白っぽかったり、緑がかっていたりと、微妙に色合いが違っていてキレイ。そして、ある条件を満たすとLEDが一斉に消滅し、会場は真っ暗になる。これは「人為的大量死」を表しているとのこと。しかし、しばらくすると、LEDは再び瞬き始める。このときに広がっていく光が本当に美しく、絶望の先にある希望を感じた。

2つ目の作品は、広島市現代美術館蔵の《Death of Time》。展示室の三方の壁に1412個の赤色LEDが一列に並ぶ作品。床から数十センチの位置にある列の中央あたりには、真っ暗な部分がある。この全く点滅しないLEDの一群は、原爆によって消滅させられた広島を表現しているとのこと。

3つ目の作品は、観客参加型の《Deathclock》。パソコンで名前と死亡予定年月日を入力すると、画面に顔写真と死ぬまでの秒数が重なって表示される。人生に残された時間を嫌でも思い知らされる作品だった。なお、自分が写っている画面に限り、携帯のカメラ等で撮影が可能。

10月23日まで、火曜休館。

その後、無料スペースの恒久設置作品を観る。ジェームズ・タレル《MILK RUN SKY 2002》、マリーナ・アブラモヴィッチ《Library for Human Use》、草間彌生《INFINITY MIRRORED ROOM -早春の雨 2002-》、宮島達男《Opposite Vertical on Pillar》などなど、これらの作品をいつでも楽しめる熊本市民が羨ましい。

山本基展@入善(富山)

2005-08-14 | アート感想@遠征
入善町 下山(にざやま)芸術の森 発電所美術館(写真)に行ってきた。

この美術館は、取り壊される予定だった水力発電所をリノベーションしたもの。ちなみに、隣には新しい水力発電所が建っている。天井高さが約10メートルある展示スペースには、タービンや導水管が当時のまま残されていて、それだけでもダイナミックな空間となっている。

JR北陸本線入善駅で降り、タクシーに乗車。いろいろ調べたけど、タクシー・自家用車以外でのアクセスは無理そう。駅から10分ほどで美術館前に到着。片道約1700円。ちなみに(帰りの)迎車料金は100円。

山本基展-しろき しろへ

展示スペースに入ると、2本の巨大な導水管から塩が溢れ出たような光景が広がっていて、思わず息を飲んだ。この作品は、8トンの塩による《迷宮》。床に撒かれた塩の端は迷路になっていて、ダイナミックな光景と連続的につながっている。また、まるびぃで観た《迷宮》とは違い、撒かれた塩の間を歩くことができ、塩の迷路に囲まれた不思議な光景を体験できた。

奥の空間で《迷宮》のメイキングビデオが上映されていて、作家が油さしの容器で塩の迷路を一本一本描いているのを見ることができた。想像以上の気の遠くなるような作業に目まいがしそう。もちろん、接着剤等は一切使っていないとのこと。

階段を上ったステージのような空間には、ブロック状に焼き固めた3トンの塩を階段状に積み上げた《空蝉》が展示されていた。真っ白な階段は途中で終わっているけれども、天まで続いているような感じがした。作家が塩を使い始めたのは身近な人(=妹)の死がキッカケとのことだけど、その気持ちが伝わってくるようだった。

このほか、《迷宮》や《空蝉》のドローイングや、過去のインスタレーションの記憶を形にした《あとかた》も展示されていた。

この展覧会についても、feltmountainさんが記事を書かれているので、そちらもどうぞ。

9月25日まで、月曜日・祝翌日休館(9/24開館)。

この美術館の上に展望台があったのでのぼってみた。写真がその眺めで、田園風景が美しい。遠くに見える高架が現在建設中の北陸新幹線。この区間は、工事がかなり進んでいるみたい。

横尾忠則+三宅一生展@富山

2005-08-14 | アート感想@遠征
富山県立近代美術館(写真)に行ってきた。城南公園の芝生が美しい。

横尾忠則が招待する イッセイミヤケ パリコレクション 1977-1999

三宅一生のパリコレクションでの活動、横尾忠則が担当したその招待状、そして二人のコラボレーションによる服の3つを紹介する展覧会。監視員全員が横尾+三宅のコラボTシャツを着ているのも面白い。

なんともユニークな会場構成だった。大きな展示室の中には、壁で仕切られた空間があって、この空間の入口はちょうど展示室入口の反対側となっている。しかも、この空間は上の階への吹抜けの位置にあって、常設展示室から覗くこともできる。全ての床と壁にはベニヤ板が張られ、まるで仮設の建物か、搬入作業中の空間にいるようだった。

会場に入ると、モーツァルトをイメージした横尾の真っ赤な絵画《ジュピター》、《天ニアルモノヲ見ヨ》、《モーツァルトの脳みそ》がお出迎え。《ジュピター》に大きく“K551”と書いてあるのを見てニヤリ。

左右の壁には三宅のパリコレクションの映像が上映されていた。横一列に7面ずつ並んだ計14面の大スクリーンに、映像が次々と展開されるのは圧巻。70年代の作品でも全然古さを感じさせない。

奥に進むと、横尾がインドに傾倒していた時期の《チャクラI》~《チャクラV》が展示してあった。最近どこかで観たなあと思ったら、《チャクラV》はユニクロのTシャツになっていたのを思い出した。(実は持っていたり……。)

いよいよ内側の空間へ。ここでは横尾がデザインした招待状を年代順に展示。90年までは三宅の顔がモチーフだけど、それ以降は完全にヨコオワールドだった。また、正方形の紙を3つに折った招待状が、機械仕掛けでパタパタと開いたり閉じたりするので、実際に招待状をもらったときの疑似体験ができる。それから、色指定原稿も展示してあって、横尾のグラフィックデザイナーとしての仕事の過程を垣間見られたのも良かった。

ファッション、アートともに中途半端になることのない、バランスがとれた展覧会だった。近くにお住まいの方はぜひ。

落武者の行方」のfeltmountainさんも、同じ展覧会の記事を書かれているので、そちらもどうぞ。

9月11日まで、月曜休館。

常設展

5つの展示室でさまざまな作品を展示していたけど、私が気に入ったのは、「常設I・20世紀美術の流れ」と「常設IV・瀧口修造デザインへのまなざし」の二つ。

「常設I・20世紀美術の流れ」では、ピカソミロから、クリスト荒川修作まで20世紀の美術を概観できる。20世紀美術コレクションについては北陸随一かも。あと、横尾忠則の作品もあり。

「常設IV・瀧口修造デザインへのまなざし」では、原爆の恐怖をストレートに表現した福田繁雄の《NO-MORE》と、やけにイロっぽい磯崎新の《モンロー定規》が印象的だった。

それにしても質・量ともに充実した常設展だった。美術館の鏡かも。

マシュー・バーニー展@金沢

2005-08-13 | アート感想@遠征
金沢21世紀美術館(まるびぃ)に行ってきた。

開館時間前に着いたけど、市役所側に行列(写真)ができていて焦る。でも、これは「人体の不思議展」(北陸初公開)の行列だった。以前横浜で見たときも相当な混雑だったけど、これほどの人気とは!

マシュー・バーニー 拘束のドローイング

展覧会の前に、地下のシアター21にて映画「拘束のドローイング9」を観る。午前中だったせいか、客席の半数くらいの入り。ここの座席は、前列との段差が大きくて画面が見やすかった。

前半は緩慢な進行だったけど、各シーンの映像は美しく、メタファーが至るところにちりばめられてある。舞台は日本の捕鯨船で、主役のバーニーとビョーク以外の出演者は全て日本人なんだけど、毛皮の着物や貝殻の茶器など、たくさんのヘンなものが出てきて、何がマトモなんだか分からなくなる。

茶道のシーンから映画は急展開をみせる。茶室の亭主が語る日本人の自然観は、この映画で唯一の長い台詞。監督としてのバーニーは、これが言いたかったのかも。その後、ショッキングなシーンが始まって、一気に映画は終わりに向かう。一見、何の関係もなさそうな茶道と捕鯨に共通点を見出し、映画で融合・昇華させたのは見事!

2時間半と長いうえ、明快なストーリーがなく、台詞もほとんどないので、そういう映画に慣れていない人には苦痛かも。あと、心臓の弱い人も避けたほうが無難。でも、私にとっては忘れられない映画になりそう。

柿木畠でのランチ(次の記事)の後、展覧会を観る。子供も大勢来ていたけど、予想に反して楽しそうに展示を観ていた。場の雰囲気って大切なのかも。

展示されていたのは、初期の作品に始まって、映画「拘束のドローイング9」に関するものなど最近の作品まで。ビョークと出会う前と後で、作品の傾向が変化しているのが興味深かった。

映画に関する作品は、映画を観て初めて楽しめる作品が多いので、できれば「展示→映画→展示」と観るのがオススメ。

8月25日まで、夏休み期間中は無休。

コレクション展示 アナザー・ストーリー

最後の部屋にあった曽根裕の《アミューズメント・ロマーナ》が面白かった。この作品は、5つの山を持つ8の字型の通路で、下りはなんと滑り台!大人も子供も、本当に楽しそうに滑っていた。

9月3日からはスゥ・ドーホーの《階段》などが追加。

10月16日まで、月曜休館(夏休み期間中は開館)。

現代美術のABC@福井

2005-08-12 | アート感想@遠征
福井市美術館[アートラボふくい](写真)に行ってきた。この建物は黒川紀章の設計によるもの。

豊田から名鉄とJRを乗り継いで福井に到着。福井駅から美術館までは、無料のフレンドリーバスを利用。このバスは30分間隔なので便利。なお、福井駅東口バス停は、福井駅東口交差点を渡った先にある。着いたのは夕方だったけど、金曜日は20時まで開館なので、展示をじっくり観ることができた。

現代美術のABC アートはあなたのそばにある

国内の美術館が所蔵する現代アート作品の巡回展。なかでも、広島市現代美術館と金沢21世紀美術館の所蔵作品が多い。作家ごとに平易な解説がついているので、初めて現代アートを観る人でもとっつき易いかも。

藤浩志澤田知子小谷元彦やなぎみわイ・ブルヤノベケンジなど、どこかで観たような作品が多かったけど、中規模の良い作品が揃っていた。ただ、宮本隆司と同じように、佐藤時啓も巨大ピンホールカメラで写真を撮っているのは知らなかった。手段は同じでも個性がはっきり出ているのが面白い。

第2会場では、唯一の大型作品である村岡三郎の《振動-音》が展示されていた。三角形の鉄枠の中に塩が詰めてあり、その塩を切り裂くようにガラスの板が刺さり、その板にはスピーカーが取り付けられて振動している。かなりの存在感がある作品だった。解説によると、物質(塩)・文明(鉄)・肉体の死(ガラス)・精神(振動)を表しているらしい。

8月28日まで、月曜休館。

その後、新津美術館(9/3~10/9)、八幡浜市民ギャラリー(10/17~11/20)、周南市美術博物館(11/26~1/15)を巡回。

ヤノベケンジ展@豊田

2005-08-12 | アート感想@遠征
ヤノベケンジ キンダガルテン

大阪万博跡地を「想像の種」として制作を行っているヤノベケンジ。2003年のメガロマニア展@国立国際美術館(大阪万博跡地)、2004年秋からの金沢21世紀美術館での滞在制作を経て、愛知万博会場から10キロほどしか離れていない豊田での大個展。ちなみに、愛知万博のチケットを提示すると割引あり。

会場に入ると、身長7.5メートルの巨大ロボット《ジャイアント・トらやん》(冒頭の写真)に圧倒される。このロボット、突然踊りだしたりもするし、金沢では火を噴いたらしい。唖然……。なお、フラッシュを使わなければ撮影可だったので、遠慮なく撮影。

後ろを振り返ると、巨大な黒板《宇宙の絵》と《ロッキング・マンモス》があった(写真)。《ロッキング マンモス》は、ヤノベの愛車だったハイエースを解体して制作したものらしい。

次の部屋では、子供しか入れないミニサイズの建物《森の映画館》を展示。大人は窓から覗くしかない。森美術館の「六本木クロッシング展」や、山本現代(ミニチュア版)でも観た作品。

その次の部屋では、《トらやん》がウヨウヨ(写真)。可愛いんだか、気持ち悪いんだかヘンな光景。発泡スチロールの部屋の中で《マンモス・プロジェクト》など3本の映像を上映。このプロジェクトが愛知万博で実現していればなあ。

最後の部屋では、ドローイングの展示と、《太陽の塔・乗っ取り計画》などの映像を上映。

メガロマニア展と比べ、作品の種類は少なかったけど、何といっても《ジャイアント・トらやん》が圧巻だった。愛知万博等で近くを訪れる方は是非こちらも!

ミュージアムショップでは、展覧会の図録を兼ねた作品集を売っていた。DVD付きで3990円なんでお買い得かも。

豊田市美術館にて10月2日まで、月曜休館(9/19開館)。

その他の展示については、前の記事にて。

豊田市美術館

2005-08-12 | アート感想@遠征
豊田市美術館に行ってきた。

まず、前回見逃した川俣正の《物見台》がある美術館駐車場へ。この《物見台》(写真)は「川俣正 ワーク・イン・プログレス豊田」で昨年制作された木材による構築物。完成から約1年が経って、すっかり周囲の風景に溶け込んでいた。

ネイチャー&アート:ガウディ、ミロ、ダリ

愛知万博の開催を記念し、豊田市美術館とスペインパビリオンが主催した展覧会。会場に入ると、3人の芸術家が生まれ育ったスペイン・カタルーニャ地方の美しい映像が上映されていた。さらに奥に進むと、部屋が半透明の布で緩やかに3つに仕切られていて、それぞれの空間に3人の作品が展示されている。なかなかセンスのある展示構成だったし、作品も水準の高いものが揃っていたけど、私の頭の中はヤノベケンジでいっぱいで……(汗)。

9月19日まで、月曜休館(9/19開館)。

常設展 ヨーロッパの近現代美術

ヤノベケンジ展に引き続いての展示だったので、頭の切り替えが大変だった。クリムトシーレによる20世紀初めの作品から、イヴ・クラインギュンター・ユッカーらによる60年代の作品までの展示。クリストの原点ともいえる1961年の作品《梱包》もあったけど、最初は壁に飾れるような作品だったんだなあ。

10月2日まで、月曜休館(9/19開館)。

常設展 逆引きの名画

過去の名画を引用した作品を集めた展示。藤田嗣治の《美しいスペイン女》以外は、全て80年代以降の現代アート。引用元の作品の写真もあって親切な展示だった。

森村泰昌のゴッホの引用(2点)も、会田誠の《あぜ道》も、福田美蘭の《富嶽三十六景 神奈川沖浪裏》も良かったけど、5点展示されていたフジイフランソワの作品が観ごたえがあった。伊藤若冲、丸山応挙、長沢蘆雪などのモチーフを組み合わせたり、現代風にアレンジしたりして独自の世界を表現。

あと、イチハラヒロコの《「机。皿。リンゴ。」 》は、ほとんど一発芸。これにはやられた。

10月2日まで、月曜休館(9/19開館)。

なお、美術館HPに常設展の作品リストあり。

「ヤノベケンジ キンダガルテン」は次の記事にて。

三河・佐久島アートプラン(後編)

2005-08-11 | アート感想@遠征
前編の続き。

石垣(しがけ)海岸に移動し、南川祐輝の《おひるねハウス》(冒頭の写真)を体験。ハシゴを上って上の段に入ってみると、正方形に切り取られた海が絵画のようだった。海を眺めつつ、しばしのんびり。

黒塗りの壁が続く西集落内にある平田五郎の《大葉邸》(写真)へ。この建物は空き家となっていた民家を作家がリノベーションしたもの。建物の中は、スリットからほのかな光が差し込むだけで薄暗く、光を頼りに恐る恐る進んでいくと、奥には真っ白な光溢れる空間が広がっていて、思わず息を飲んだ。あと、門・塀・庭もリノベーションされていて、こちらも観モノ。

松岡徹の《大和屋観音》と《ノンとビリーだ》を観てから東地区を目指す。西港と東港の間は、のんびり歩いて30分ほどらしい。途中、本物のノン(ビリー?)を発見してビックリ。

海岸沿いを歩いていると、大浦海水浴場で木村崇人《カモメの駐車場》(写真)を目撃。風見鶏らしく皆同じ方向を向いていて、なんだか微笑ましい。でも、本物のカモメはバラバラの向きだった。風がなかったから?

最後に、西地区とは対照的に賑やかな東地区にて、松岡徹の《海神さま》と《むかしむかし》を回り、東港から船に乗って佐久島をあとに。船から降りたあと、アートの視点でリフォームされた渡船場(臨時でない方)に立ち寄り、大宝橋バス停からバス・電車を乗り継いで実家へ。

さすがに直島なんかと比べると、島の規模も小さいし、作品数も少ないけど、佐久島の作品は島の風土・歴史を色濃く反映したものが多くて、また違った味わいがあった。アートだけなら半日もあれば十分回れるので、頑張れば東京から日帰りするのも可能かも。

三河・佐久島アートプラン(前編)

2005-08-11 | アート感想@遠征
名古屋への帰省ついでに、佐久島に行ってきた。私にとっては、幼少のころ毎年のように海水浴に行った懐かしい島でもある。

愛知県の三河湾には3つの有人島があって、他の2島(篠島、日間賀島)はリゾートとして開発されているけど、佐久島だけは開発から取り残されて、三河湾最後の聖域(要するに田舎)となっている。ちなみに、この島には信号が一つもない。

この佐久島では、「祭とアート」をキーワードに三河・佐久島アートプラン21として、2001年から作家の滞在制作やイベントなどを行っている。これはもう、私としては行くしかない!

能書きはこれくらいにして、レポート&感想を以下に。

名鉄西尾駅から20分ほどタクシーに乗り、一色町渡船場へ。バスもあったけど、船に乗り遅れると1~2時間待ちなのでタクシーを使用。料金は3000円弱。着いてみると、7/16~8/21は500mほど南の臨時渡船場から発着するとのこと。タクシー使用で正解だった。

船に乗り、20分ほどで佐久島西港に到着。実に約20年ぶりの佐久島上陸。西地区の白浜海水浴場が閉鎖になったせいか、かなりの寂れっぷりにしばし呆然。

気を取り直して、アート巡りを開始。まず、渡船場の待合室で「体験マップ」と「スタンプ(ラリー)シート」をもらい、すぐ近くにあった松岡徹の《宝船さちかぜ》を覗く。あえて詳しくは書かないけど、ちょっとした驚きがある作品。

崇運寺に移動し、木村崇人の《ガリバーの目》(冒頭の写真)を体験。この作品(装置?)を覗くと遠近感が誇張されて、風景がオモチャのように見える。これはびっくり!

続いて、アートプランの中心施設の弁天サロン(写真)へ。ここでは木村崇人の展覧会が開催されていた。

木村崇人展 続・佐久島で地球と遊ぶ 見えない力

サロンの庭では、ワークショップ作品の《地球と遊ぶジャイロのオモチャ体験》と《ヒマワリの観察》の展示。こういう作品って、実際ワークショップに参加しないとちょっと……。

そして奥の部屋は《木もれ陽の部屋》。この作品は、星や月のかたちをした光源の下で、ピンホール現象によって木洩れ日が星や月の形になるというもの。水戸芸術館で2003年に開催された「こもれび展」でも展示されていたけど、何度体験しても不思議で楽しい。あと、木洩れ日をイメージしたドローイングや、木洩れ日を捕まえた日光写真の展示もあり。

このほか、別の場所に《カモメの駐車場》が展示されていたけど、そちらは次の記事にて。

10月30日まで、会期中無休。

弁天サロン隣の「となりのおみせ」は、土日のみの営業で、この日はお休み。残念!

後編に続く。

セゾン現代美術館@中軽井沢

2005-08-08 | アート感想@遠征
中軽井沢のセゾン現代美術館に行ってきた。

天気が良かったので、駅からレンタサイクルで行ったけど、行きが上り坂で大変だった。素直にタクシーに乗るか、軽井沢美術館・観光循環バスを使えばよかったかも。

この美術館の庭は、野外彫刻が点在していて良い雰囲気だった。写真に写っているのは安田侃の《天沐》と《天聖》で、その奥が菊竹清訓設計の美術館。

解読 現代美術 セゾン現代美術館 コレクション展

日本でも有数の20世紀美術コレクションによる展覧会。ウォーホル、リキテンスタイン、シーガル、カンディンスキー、ジャスパー・ジョーンズなど、20世紀美術のビッグネームが次々に出てきて本当に観応えがあった。一部の作品には作家の言葉が引用されていて、現代美術を読み解く手がかりになっている。

とりわけ印象に残ったのは、アンゼルム・キーファーの《革命の女たち》と、マグダレーナ・アバカノヴィッチの《ワルシャワ-40体の背中》。この2点は隣同士の部屋に展示されていたけど、どちらも戦慄を感じずに観ることができない作品だった。ただ、残念だったのは《革命の女たち》の部屋に入れなかったこと。作品を損傷させた人がいたのが原因?

あと、シンディ・シャーマン、横尾忠則、荒川修作、ジャン・ティングリー、クリストの作品も個人的に気に入った。

10月2日まで、木曜日休館、ただし8月は無休。

草間彌生展@松本市美(後編)

2005-08-07 | アート感想@遠征
前編からの続き。

展示室3の手前の部屋では、映像作品が上映されていた。スクリーンの手前には、色とりどりのビーズクッションとスツールが並んでいて、座ってくつろぎながら《草間の自己消滅》など3作品を鑑賞。ニューヨーク時代のパフォーマンスって凄い。

続いて展示室3に入ると、今までとは打って変わって明るい《ハーイ コンニチハ》の世界が広がる。森美術館の「クサマトリックス」で初めて観たときは、ちょっと違和感を感じたけど、草間の「心の闇」を表現した作品を大量に観た後では、素直に救われたような気分になった。干草の匂いが本当に心地よい。

そして、他の会場では長い行列ができた《水上の蛍》に行ってみると、1グループが待っているだけで拍子抜け。後ろには誰もいなかったので、「星が乱舞する宇宙空間にひとりぼっち」を十分に堪能することができた。

そして中庭には、《ナルシスの庭》(写真)が広がっていた。やっぱり最後はこれだなあ。

質・量・展示構成のどれをとっても、東京展以上に充実した展覧会だった。でも、日曜にもかかわらずお客さんがまばら……。子供たちが純粋に楽しんでいたのが救いかも。東京・名古屋からだと特急で2時間ほどの場所なので、巡回展を観ていない人はもちろん、すでに観た人も是非!

10月10日まで、休館日は9月12日・20日・26日・10月3日。



美術館の受付に置いてあったハガキを見て、ギャラリー石榴に行ってきた。場所は、美術館から10分ほど歩いたところにある神社の隣。

草間彌生の世界展

アクリル絵画・版画・立体などが約30点の展覧会。とっつきやすい作品が多いので、美術館のデザートに良いかも。ギャラリーなので作品に値段が付いているけど、版画なら数万円~と比較的手ごろ。東京で買うより安い!?

8月16日まで、会期中無休。

草間彌生展@松本市美(前編)

2005-08-07 | アート感想@遠征
長野県の松本市美術館に行ってきた。

美術館にたどり着くと、草間彌生の巨大立体作品《幻の華》(写真)がお出迎え。新潟県のまつだい駅前で咲き乱れる《花咲ける妻有》に負けないくらいの迫力!

草間彌生 魂のおきどころ

去年の秋に東京で観た「草間彌生:永遠の現在」の巡回展。東京を皮切りに、京都→広島→熊本とサブタイトルを変えながら各地を巡回し、最後は作家出生の地での凱旋展。

館内に入ると、蛍光ピンクに黒い水玉の《塔》がそびえ立ち、その先の階段全体が《水玉強迫》というインスタレーション作品になっている。階段、窓、そして吊り下げられたバルーンに赤い水玉が貼られ、まさに草間ワールド。3つの展示室は、この空間からのアプローチ。

展示室1に入ると、東京展の最後のほうにあった《再生の瞬間》がお出迎え。松本展は、新作と旧作を交互に配置するような展示構成が多かった。

次の区画では、この展覧会のサブタイトルにもなった絵画《魂のをきどころ》が「ごあいさつ」と一緒に展示してあった。ホッとさせるようなタイトルとは裏腹に、混沌と不安を描いたような作品は、ずっと拒絶され続けてきた故郷:松本に対する複雑な想いを表しているのだろうか。

展示室1で最も印象に残った作品は、立体作品の《自己消滅》。棚に収められたカボチャや動物などの置物が、棚ごと真っ白に塗られ、赤い水玉に覆われている。幼少期の草間は、人や物が水玉に覆われて消えていくという幻覚を見たらしいけど、この作品を観てその感覚が少し分かるような気がした。このほか、50年代の絵画や、近作の大型絵画も観応えがあった。

続いて、展示室2へ。ここでは、3連発のインスタレーションが観モノ。最初は、鏡に囲まれた空間の中で極彩色の万華鏡を覗く《Infinity Mirroed Room-信濃の灯》。続いて、ブラックライトに照らされた部屋で、あちこちに貼られた赤・黄・緑の水玉が光る《I'm Here, but Nothing》。東京展より部屋が広く、独立した部屋になっていた。最後に、左右の壁が合わせ鏡になっている《鏡の通路》。出てくる頃にはもうヘトヘト。でも、素晴らしかった!

後編に続く。

内藤礼展@大山崎(京都)

2005-07-31 | アート感想@遠征
京都と大阪の府境付近にある大山崎山荘美術館に行ってきた。

本館の建築(写真)や、陶器を中心としたコレクションも良かったけど、私のお目当ては新館での企画展。

睡蓮 2005-花ひらく水辺にて

睡蓮 2005 内藤 礼 返礼

コンクリート打ちっぱなしの円形の展示室の壁には、モネの《睡蓮》4点をはじめ、ボナール、シニャックなど8点の印象派絵画が展示されていた。

その展示室の中央には、白い壁で囲まれた柱のような空間があり、対角線上に設けられた窓から中を覗くと、そこは内藤礼の世界。

白い床の上には、土で作った小さな舟を糸で結んだ《舟送り》がいくつも並ぶ。一目では《舟送り》しか見えないけど、しばらく見ていると徐々に他の作品が浮き上がってくる。

2つの窓のすぐそばには、2種類の《タマ/アニマ(わたしに息を吹きかけてください>》があった。実際に息を吹きかけると、水や紙がかすかな動きを見せる。日常的に接している紙や水だけど、なんだか特別なものを動かしているような感じがした。

《恩寵》も印象的な作品だった。単に糸の両はじを天井から吊るしただけの作品だけど、下のほうは壁や床の白に同化して見えず、光の加減で天井付近に糸があるのがかろうじてわかる。糸一本の作品なのに、存在を強く意識させる作品だった。

最後に紙の《舟送り》を手に取る。ギャラリー小柳で持ち帰ったものと同じだったけど、古い友人に何年かぶりに再会したときのような懐かしい気持ちになった。

どちらの展覧会も9月25日まで、月曜休館(月曜が祝日の場合は火曜日)。