手持ちの仕事を全て片付け、静かに時が来るのを待っている。
父は早くも市役所や葬儀屋に出向き準備をしはじめた。そして酒を飲みながら泣いている。
母はまだ生きている。今日は痛みに耐えられずパニック状態になったようだ。「死にたい、死にたい。」と訴えている。
体が壊れていくのだから、きっと想像を絶する痛みなのだろう。もう死ぬことも怖くないほど痛いのだろう。安楽死は認めるべきだと、こんな時にもまた変な事を考える。
医師と相談の上、治療は全て中止した。モルヒネと睡眠薬で痛みを和らげ、ただその時がくるのを今は待っている。
「もう病気と闘わなくていいんだよ、ただ眠っているだけでいい。」
そう心の中で話しかけながら、母の闘病生活を思う。
3年前にも私の腕をつかんで「死にたい。苦しいのは嫌なの!」と泣きながら訴えたことがあった。母が取り乱したのは、後にも先にもその日一日だけだった。
あの時、母はまだ生きなければならなかったんだと思う。その後、弟が結婚しもう一人の孫が産まれた。うちの子主演のお芝居も劇場に観にこれた。
子供に全てを話した。彼はレストランで人目をはばからず、泣きじゃくった。
母のベッドで2人だけで話をする。あとで「何、話してたの?」と聞くと、「ばあちゃん、調子はどお?」と聞いたら「もう死にそう。」とおちゃらけて答えたそうだ。
担当主治医は「できる限り痛みを取ってあげたい!」と言いながら涙ぐんでいた。
「医者なのに泣くのかいっ!」と突っ込みをいれそうになった。
人はいつか死んでしまうけど、それぞれの心の中に生き続ける。
私はまだ泣けない。まだもう少しそばにいないといけないから。
父は早くも市役所や葬儀屋に出向き準備をしはじめた。そして酒を飲みながら泣いている。
母はまだ生きている。今日は痛みに耐えられずパニック状態になったようだ。「死にたい、死にたい。」と訴えている。
体が壊れていくのだから、きっと想像を絶する痛みなのだろう。もう死ぬことも怖くないほど痛いのだろう。安楽死は認めるべきだと、こんな時にもまた変な事を考える。
医師と相談の上、治療は全て中止した。モルヒネと睡眠薬で痛みを和らげ、ただその時がくるのを今は待っている。
「もう病気と闘わなくていいんだよ、ただ眠っているだけでいい。」
そう心の中で話しかけながら、母の闘病生活を思う。
3年前にも私の腕をつかんで「死にたい。苦しいのは嫌なの!」と泣きながら訴えたことがあった。母が取り乱したのは、後にも先にもその日一日だけだった。
あの時、母はまだ生きなければならなかったんだと思う。その後、弟が結婚しもう一人の孫が産まれた。うちの子主演のお芝居も劇場に観にこれた。
子供に全てを話した。彼はレストランで人目をはばからず、泣きじゃくった。
母のベッドで2人だけで話をする。あとで「何、話してたの?」と聞くと、「ばあちゃん、調子はどお?」と聞いたら「もう死にそう。」とおちゃらけて答えたそうだ。
担当主治医は「できる限り痛みを取ってあげたい!」と言いながら涙ぐんでいた。
「医者なのに泣くのかいっ!」と突っ込みをいれそうになった。
人はいつか死んでしまうけど、それぞれの心の中に生き続ける。
私はまだ泣けない。まだもう少しそばにいないといけないから。