豆腐屋のおじさん

　今朝の、笑っちゃったこと。
何をどうやっても目覚まし時計のアラームが鳴り止まない。
どうしてだろう。いろいろ試してみる。でもだめ。
ちょっと音がやんだと思ってもまたすぐりんりん鳴る。
こんな困ったときなのに、なぜか私は笑ってたりする。
最終的には、ちょうど目の前に現れたぜんぜんゴミ屋さんに
見えないゴミ屋さんらしき人に持っていってもらいました。
うん？でもまだ鳴っている。
・・・と思ったら、基礎体温計のアラームがぴっぴぴっぴ
すごい音で鳴っていました。時計のアラームは夢。
　人の脳はどうやって夢を創り出すのだろうか・・・。

　そうそう、一昨日でしたか。嬉しい再会がありました。
豆腐屋のおじさん。中国人です。
久しぶりに市場で卵を買おうと、ガンヒという名前の大きな
市場へ卵ケースを持って行ったときのこと。
どこかで見たことのあるおじさんが、近づいてきました。
両手に、ぽんぽんにふくらませたビニール袋を持っています。
このおじさん誰だっけ？という疑問があるものの、ワタシは
おじさんの両手にのった袋たちの中身が気になる。
　あれは、なんだろう。

　近づいてきた、その見たことのあるおじさん。
ワタシの顔を見て、あっー！という顔をして、ニコニコ。
ああ、ああ、そうだ。豆腐屋のおじさんだ。
そうそう、もう2年ぶりになるかな。
「おじさん、ワタシのこと覚えてる？がんばっているんだね。」
通じているかどうかよくわかりませんでしたが、
うんうんうなずいていたおじさん、わかってくれたようでした。

　ワタシがおじさんと出会った当時、おじさんは一言も
フランス語がわかりませんでした。
おじさんがベナンの市場で豆腐屋を始めた当初、買い物中だった
ワタシに、中国語で「豆腐屋はじめました。そこにありますから
買いにきませんか」というようなことだと理解しましたが、そう、
一所懸命に話しかけてくれました。
それから、私はおじさんの豆腐屋の常連客になりました。
ちなみに、おじさんは、ベナン初の豆腐屋さんです
（それまでは中華料理屋さんで分けてもらっていました）。

　その後、おじさんの豆腐は日本人の間にも知れ渡り、
在ベナンの中国人の数も何倍、何十倍にも増え、
お客さんが沢山増えたようでした。
でも、残念なことに、味が安定せず、味が悪くなったという
悪い評判が、日本人の間では広がりました。
その後1年近く、私はおじさんの豆腐を食べていませんでした。
　おじさんのことも、すっかり忘れかけていました。

　豆腐を使う料理を予定していませんでしたので、豆腐はまだ
買う気になれませんでしたが、何か買いたい。
そう思ったとき、おじさんの手の上のことを思い出し、
ひょいっとおじさんの手に目を向けると、ぽんぽんのビニール袋の
中には新鮮な「大豆もやし」が沢山入っていました。
もやしをいれられずに残念だなと思いながら作ったユッケジャンが、
まだ冷蔵庫に残っている。
「おじさん、このもやし売ってくれる？」とお願いしました。
おじさんは、ニコニコ、笑って譲ってくれました。
「いくら？」とフランス語で聞いたら、おじさんは、直ぐに
「シーシャン（本当は「シーサン」＝600）」と答えました。
「えー、ちょっと高いから500でもいい？」と交渉しましたが、
しかめっつらをして、「シーシャン」と譲りませんでした。

　おじさん、フランス語がわかるようになったんだね・・・。
なんだか、もやしが買えたこと以上に嬉しく思ったワタシでした。
　豆腐屋のおじさん。今度は、美味しいお豆腐をよろしくね！

　＊ベナン初のもやし。ベナン在住の皆さん、要チェックです！
ちなみにですが、卵屋のおばさんの話によると、普段はおじさん、
もやしを日曜日に市場に持ってくるそうです。日曜日は外出しないので、
困ったなー。平日にも売りませんかと、こんど、交渉してみますね。