PIAFUL♪

ピアノを愛する私の・・・独断と偏見による
その時々の旬な話題?を気紛れに~♪

卵の緒

2007-07-13 | book
摑みどころはないけど とても確かなもの。
親子も家族も そんな絆で繋がっている。

『卵の緒』 著者 : 瀬尾 まいこ(デビュー作 文庫化~!)

表題作 「卵の緒」・・・
“僕は捨て子だ。・・・・・・僕の場合は本当にそうだから深刻なのだ。”
こんな書き出しで始まり、自称 “捨て子” の育生(小学生)の視点で描かれる
確かで強~~い親子の絆・・・。

母さんに、親子の証?である “へその緒” を見せてって言ったら、卵の殻を見せて
“卵で産んだの” と、けろりと言う。実は、この親子・・・本当に血は繋がっていない。

“母さんは、それはそれはすごい勢いで、あなたを愛してるの。今までもこれからも
ずっと変わらずによ。ねえ、他に何がいる? それで十分でしょ?”

親子の絆は、へその緒でも卵の殻でもない。血の繋がりでもない。
ただ、好きだという気持ちだけ・・・。

「7’s blood」・・・(七の血?)
“七子と七生(ななお)。父さんがつけた。・・・・・・私と七生は正しい姉弟じゃない。
出所が違う。七生は父の愛人の子どもだ。”
こんな書き出しで始まり、七子(高三)の視点で描かれる、確かな姉弟の繋がり。

七生(小六)と二人で暮らした時間(数ヵ月)の間に、芽生えた いとしさ・・・。

“七生の存在しか知らなかった一年前の私には、戻れるわけがない。それは、
とても幸せなことで、とても切ないことだ。”

“未来もこの次もない。だけど、私たちにはわずかな記憶と確かな繋がりがある。”

“血の繋がり” という点で 対極にある作品だけど “絆”って、形を選ばないんだね。
瀬尾さんの本は、 天国はまだ遠く 以来~。
瀬尾さんが紡ぎ出す、心に沁みる独特な言葉たち・・・。なんかイイな~!