映画食い倒れ。

~映画は人生のデザートです~

個人的覚え書きのため、たまにネタばれありです。

「Ray レイ」

2007年09月23日 | 映画~ら~
レイ・チャールズの波乱の生涯を綴った伝記映画。この映画でジェイミー・フォックスはアカデミー主演男優賞を受賞。実際映画を見てみて、彼の受賞は納得。誰も異議申し立てはしないでしょう。

では映画は…といいますと、正直最後まで見るの辛かった。ジェイミーの演技は申し分ない。でも内容がね。
これが伝記映画の難しいところ。人間の一生にはいろんな出来事がある。伝記映画になるくらいの人物なら、相当ドラマチックなのは間違いない。でも普通の映画がテーマにのっとって物語が展開されていくのに対し、伝記映画は映画を面白くするために「展開させる」ことができない。そんなことしたらその人の人生を描くものではなくなってしまうから。むしろある人物の人生をベースにした物語となる。その人自身に興味を持っている人にとっては、この上なく面白い作品だと思うけど、たとえばレイ・チャールズの音楽が好きな人全員がこの映画をすきかといったらそうではない。女たらしのレイをちょっと嫌いになるかもしれない。

でもそれは仕方の無いことよなぁ。だって人間にはいろんな側面があり、いい面もあれば人によっては認めたくない面もある。伝記映画で特定の人物の人生を語るには、その双方を見せなくてはならないし、よいか悪いか、好印象か悪印象かはそれこそ見る人によって違う。別にこの映画だってレイ・チャールズを大好きにさせるために作られたものではないだろうから、誰かがレイを「ちょっとヤダ」と思ったとしてもそれは失敗ではないんだろう。

面白くないとはいえ、まだ人種差別、特にアフリカ系への差別が色濃く残っていた時代(今も酷いけど)に、目が見えないというハンディを背負いながら音楽業界で頂点に上り詰めたレイの世渡り術は必見。特に印象的なのは、映画始まってすぐのバスに乗るシーンと給料をちょろまかされそうになるシーン。どんな時代にも酷いやつはいる。人種差別が法律上まかり通っている時代には、酷い奴等というよりもそれが当たり前なのでさらにどうしようもない。そんな中でもほんの一握り、ほんの一つまみの、社会の基準に惑わされない独自の良識を持ち合わせている人が1人でも身近にいるかいないかで、被差別側の人生は大きく変わるのだろう。

物語として期待するのではなく、レイ・チャールズを知りたい!と言う人にはお薦め。


お薦め度:★★


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