映画食い倒れ。

~映画は人生のデザートです~

個人的覚え書きのため、たまにネタばれありです。

「箪笥 ~A Tale of Two Sisters~」

2008年02月03日 | 映画~た~
箪笥・・・すごいタイトルだな~、と公開当時ちょっと衝撃でした。しかもポスターは血まみれの女の子2人と正装の両親。なにがどうして、このタイトルなんだろう、と。アジアのホラー映画のタイトルって、結構直接的というか端的な表現のタイトルが多くて、私は以前『鬘(かつら』というのを見たことあります。確かに鬘に関する話なんだけどさ。

ホラー映画が苦手な友達から、「これはホラーというよりかわいそうな話」と聞いていたのですが…確かにかわいそうなんだけど、やっぱりホラーだと思います。かわいそうな要素があればホラーではなくなるというわけではないと思うし。そうなると『呪怨』や『リング』もかわいそうな話が根底にあるものね。


二人姉妹と父親と継母の関係を軸に描かれた話。

継母の登場シーンからのキレた、声を聞いているものを意味もなくイラつかせる棘のある甲高い声はものすごいです。この演技はすごい。

彼女たちが住む家もものすごくて、壁という壁がすべて花柄。これがものすごく威圧的。Su-mi(スミ・長女)の部屋なんか、強烈な花柄の壁紙にこれまた黄色ベースの強いチェックのカーテン。個性のぶつかり合いで落ちけるわけがない家。この花柄の壁には何か意味があったのかな。ただセンスがないだけではなくて、心のそこから何か意味があってほしいと思うほど強烈です。

継母からの嫌がらせを受けながら、必死で継母を恐がる妹を守ろうとする姉スミ。映画中盤までは、継母と姉妹の関係を軸にそれを浮き出すように映画は進みます。また、ところどころに映画の結末を示唆するヒントもありますが、私はそのヒントの意味に気づかず。「ん?なんで??」という不思議な矛盾が、実は鍵になっていたり。

そしてお父さんのダメダメぶりが、いらいらさせるのよね~。「この父親は!!!」と本気でむかつきます。

韓国人女性(女優)の透明感、芯の強さ、はかなげな美しさとは間逆の威圧感は本当に独特で、これはこの人たちにしか出せないなぁ、と感心する。

姉妹の演技もうまい。お姉さんのスミの、敵意むき出しの表情や、そうかと思えは妹への愛に満ちたやさしい表情。

この映画、かなり複雑で見終わった後も「え?納得できないんだけど…」という部分がかなり残ります。私は先に観ていた旦那に聞いて納得できましたが(そういう旦那も、映画を見終わった後にいろいろサイトで調べたらしい)。欧米の映画と違ってすべてを解説するのではなく、行間を読む、空気から察する、というのがこの映画には必要とされるようです。見ている観客もそれができないと消化不良。私はできなかったので(殴)、消化不良でしたが、解説をしてもらって納得。深い話です。実はそれでもわからない部分はあるのですけど(あーぁ)。例えば彼女たちが住む家自体が呪われている、というような台詞もあるのだけど、私には家というよりやはり人間関係が原因であるようにしか見えないんだよな~。

先ほど日本のサイトの映画評を見てみましたが、あまりよい評価ではありませんでした。この点数は「消化不良」が関係しているのではないかな、と思います。すばらしい内容だけに、もったいないです。実はかなり作り込まれた、秀作だと思います。



おすすめ度:☆☆☆☆




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