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Hei!(「ヘイ」って読んで「やあ」って意味)~義務教育世界一の秘密

義務教育世界一の国の教師養成の実態を探る旅。フィンランドの魅力もリポート!その他,教育のこと気にとめた風景など徒然に。

成績のよい生徒と,そうでない生徒の特徴~熟達教員の知

2010-07-22 12:00:00 | 教育・研究・ひとの育ち
数日前に,「就職がうまくいかない学生の特徴」という記事を書いた。そして最近またおもしろい話を聞いた。というのは,成績のよい生徒と,そうでない生徒とでは,試験の時に準備する「もの」に違いがあるというのだ。はてそれは?おわかり?



正解は・・・成績のよい生徒は試験の時に,シャープペンや鉛筆を複数本用意したり,消しゴムを2個用意したりしているというのだ。またその鉛筆にはキャップをきちんとかぶせて芯が折れにくいようにしていたり,また転がりにくいように輪ゴムを巻いたりの工夫をしているという。

対し成績がそうでない生徒は,シャープペン1本,消しゴム1個ということが多いらしい。

実はこれ,ある進学高校の先生から聞いた話だ。もちろん例外はたくさんあるだろう。しかし,生徒の様子を長年数多く見ている先生が発見した経験則でもある。そう考えると,決して無視できない重みがあるようにも思われる。

成績のよい生徒がしていることは,結局,起こりうるあらゆることに対処し準備しておくということに他ならない。そして,それを可能にするのは,起こりうることを予想する想像力と,それに対処する行動力だ。これらが揃っている人物は,結果として成績もよいことが多いというのは,そこに因果関係とは言わないまでも相関関係があると見てよいのではないか。

成績が芳しくない生徒は,起こりうることに対する想像力が欠如しているのか,想像してもそれに対処・準備する行動力が欠如しているのか,それはわからない。もしかしたら両方なのかもしれない。しかしこれも,成績のよい生徒にみられる関係が逆の形として現れているといってよいだろう。

長年教師稼業をやっていると,生徒や学生に垣間見えるたった一つのことや変化が,その生徒や学生のあらゆることや変化につながっていると気づくことは多い。

だから生徒や人に対するアンテナが発達した熟達教員は,彼らのちょっとした変化をかぎ分け気づき,よくないことであればそれを未然に防いだり,よいことであればそれを促すように指導することがある。

これは素人にとって,まるで理解できないことのように見えることも多い。だから根拠のない「勘」と一蹴されるかもしれない。しかし,長い時間をかけて教師に集積された多数事例由来の「傾向判断」だと考えると,あながち無視することはできない。

私は今,熟達教員の知を研究対象にしている。日本の先生は忙しすぎてその力を十分に発揮できないことも多いように感じるが,それでもやはり非常に高い能力を持った人が多く,世界に誇る我が国の資産だ。これらをいかに共有することができるかが今問われている。
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