goo blog サービス終了のお知らせ 

Hei!(「ヘイ」って読んで「やあ」って意味)~義務教育世界一の秘密

義務教育世界一の国の教師養成の実態を探る旅。フィンランドの魅力もリポート!その他,教育のこと気にとめた風景など徒然に。

卒業生からのメッセージ2

2025-08-22 08:08:08 | 教育・研究・ひとの育ち
8月21日(木)のBlogに掲載した卒業生が,こんなことも知らせてくれました。

ご本人は「恥ずかしい」と遠慮されたのですが,ワタシ,時にはしつこい。そう,そんなことで諦めはしません(笑)。

「美術や美術教育に関わる人たちに伝えたい。自信を持ってこの道を進むべきというメッセージとして。」とお願いしてこれまた掲載の許可を得ました(^_^)v。紹介しますね。

▶ここから引用>>>>>------------

本当に美しいものは何かという話をする時,「病醜のダミアン」を忘れることはできません。

舟越保武氏の著書『巨岩と花びら』に紹介されたエピソードです。

キリスト教の清純で高潔な聖女像を得意とする彫刻家が,「最も美しい作品」について尋ねられる。生涯最高の作品を一つだけ挙げよと言われるなら,私は迷わず「ダミアン神父像」を挙げると彫刻家は答える。

ハンセン氏病の患者が差別により隔離され,死を待つだけの島。その島に赴任したダミアン神父の実話を元にした彫刻作品です。

健常者が語りかける言葉に耳をかさない島民たちと,心を通わせることができず苦しんでいたダミアン神父は,ついに自らの身にも病を得て,

「あなた方ライ患者は」と語りかけていた言葉を,

「私たちライ患者は」と語りかけられるようになったことを喜びます。

差別を受ける醜い病に感染した不運を悲しむよりも,島民の心に真に寄り添えるようになった幸運を喜ぶのです。

事実,彫刻家は死ぬまでダミアン神父像をアトリエに置いた。

皮膚はただれ醜い化け物のような顔をしたダミアン神父の像を,

「こんなに美しい顔を,私は他に見たことがない」と愛おしげに眺めながら。

本当に美しいものは何か。

本当に美しいものは,目ではなく心で見るものと教えられます。

こんな気高い生き方,お前に真似できるかと言われれば何も言えませんが,
この話も,美術の授業で必ず紹介しています。生徒たちの胸に響くものがあればと。

前回のメッセージの返信で,三根先生からもったいないほどのありがた過ぎるコメントを頂戴しましたが,手柄を独り占めするようでとがめられましたので,告白します。

自分一人で心を育てるなんて,できるはずもありません!

見捨てず関わってくださった全ての方々に感謝します。

------------<<<<<ここまで引用◀

舟越保武氏が紹介したエピソードを表面的に捉えるだけの人もいるでしょう。しかし彼女はまさしくこれを身体化していることがわかります。そう,ホント,思想,いや魂が,揺るぎなくドーンと身体の中心にある先生であることがわかります。

ワタシも,学生がこんな先生になってくれるように授業をしているつもりなんだけど,やはり「つもり」に止まっているようで,まだまだ自分は修行が足らないと実感する毎日です💦。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

卒業生からのメッセージ

2025-08-21 08:08:08 | 教育・研究・ひとの育ち
8月16日(土)付けのBlog『余命半年の教師の母が息子に言った「深すぎる」勉強の本当の意味』を見て,高校教師の卒業生が次のように連絡してくれました。

掲載の許可をもらったので,ここで紹介します。

▶ここから引用>>>>>------------

本当にそうですね。

美術を学んで身につく力は,水の反射を綺麗に描く力だけではなく,水と光の美しさに感動し,水や光をもたらすあらゆる恵みに感謝することも。

その感動があってこそ,美しく表現したいと思える。

美術を通して,私はいつも伝えていることがあります。

「美しいって 何だろう?」

「本当に美しいものと ただ綺麗なものは 違う」

「本当に美しいものは 目には見えない」

視覚芸術を扱いながら矛盾したことを,と思われているかもしれませんが。

小学生の頃,私の心に刻まれ,人生にとって大切なことを教えてくれた『星の王子さま』⭐️

そして,一年365日働き通しの母の,がさがさに荒れて,爪はつぶれて傷ついた,綺麗とはお世辞にも言えない手の話を必ずします。

子どもの頃の自分が,

「こんな手になりたくない」

つまり,

「母のような生き方をしたくない」

と思っていたことも。

なんと親不孝で,情けなく貧しい心の持ち主だったか。昔の自分が恥ずかしい。

今では,母の傷ついたしわくちゃの手が,これ以上なく愛おしく,美しく思えること。

自分のために綺麗に飾るより,誰かのために捧げた生き方の尊さ美しさに,胸が震えること。

「何が美しいことで

何が醜いことなのか

心で分かる人になりましょう」

この美醜を超えた美を見極める美意識を育てることこそ,私にとって美術教育の目標です。

美術を通して,心を育て,人づくり。

明治初期の翻訳家には申し訳ありませんが,なぜ「術」なのか。

(和魂洋才,富国強兵の当時の価値観では,まさに西洋から輸入した技術だったのかもしれませんが,美術の力はそれだけではないはず。)

私にとってはテクニックというより「道」なので,「美道」がしっくりきます。

憧れは豊かさ
愛おしいのは
悲しみも苦しさも葛藤も
弱さもずるさももどかしさも
人間くさく泥くさく
不完全ゆえの・・・

(↑これ,私が卒業制作展の自己紹介パネルに書いた文章の一部分でした。)

私が美術を好きなのは,きっと,人が好きだからです。

三根先生,ありがとうございます!(きらきら)💖

------------<<<<<ここまで引用◀

魂のある,素晴らしい高校教師に育ってくれました。こんな先生に受け持ってもらった生徒は倖せだろうなぁ。誇らしいです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

余命半年の教師の母が息子に言った「深すぎる」勉強の本当の意味

2025-08-16 08:08:08 | 戒めの言葉
標題の言葉が,Instagram上にあった。これは,現行(平成29年版)の学習指導要領を作成するにあたって各教科で整理した「各教科等の見方・考え方」の正体が大変わかりやすく説明されたものと言い切ってよいのではないか。

ちなみに,「各教科等の見方・考え方」とは,文部科学省によれば『「どのような視点で物事を捉え、どのような考え方で思考していくのか」というその教科等ならではの物事を捉える視点や考え方』のことなんだが,恐らくこれを聞いても「???」だよね。よくわからない。。。ここに示す説明が,やはりわかりやすい!!!(微笑)。

なお,教師の設定ほか,表現が違うバージョンが見つかった。私がみたのはここ。


末節に多少の相違点があるかもしれないが,大意は相違ないものを引用とするので,その点ご容赦いただきたい。

▶ここから引用>>>>>------------

なんで勉強なんかしなきゃいけないの?という質問に,教師の母が机にコップを置いてこう答えた。

「算数」を学べば,この中に200ミリリットルの水があると数字で”見える”ようになり、

「理科」を学べば。この水は水素と酸素からできていることが知れる。

「社会」を学べば、この水がどこから来たのかがわかり,そして世界にはこの綺麗な水を飲むことができない人たちがいることを知れる。

「美術」を学べばこの水の反射を自分で綺麗に描くことができるようになるし、

「音楽」を学べば同じコップでも、水の量で音を変えられることにも気づける。

「技術」を学べば、このコップがどんな素材でなぜ漏れないのかがわかり、人の”創造”の凄さを知ることができる。

「保健体育」を学べば、この水が体にどれだけ大切なのか、健康を支える命の正体が見えてくる。

「道徳」を学べば、この水を誰かと分け合うことの大切さを学べて、思いやりの心が育ち、

「国語」を学べば、今私が話した”全部の意味”を”正しく”理解できるようになる。

「英語」を学べばこの話を世界中の人と分かち合えるようになり,

「哲学」を学べばこの話に何の意味があるのか考えられるようになる。

でももし何も学ばなかったら、このコップの中にあるのは「ただの水」で終わる。

だから勉強するの。

この世界をただ見ているだけの人生で終わらせないためにね。

------------<<<<<ここまで引用◀

これはやはり,子どもにも,保護者にも,そして教師にも読んでほしい,そして心に刻んでほしい。豊かな人となるために。そんな言葉だと思わない?だからこのBlogを読んでいただいている読者の皆さんに,心を込めて送ります。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第3回 いのなみ展ーArt×日々ー

2025-08-15 08:08:08 | アート・動画

2025年9月6日(土)~9月14日(日),900~2000の日程で,広島県府中市の府中天満屋2階のi-core HUCHUで開催されます。

子どもとアートのかけ算,アートと日常のかけ算のカタチが,ここに見えてくると思います。

今年で3回目。単発でも難しいこのような催しを,3回続けていることにまずは驚愕。

大人に指示されたからではなく,子どもが自ら生み出すアートの姿をリアルに目の当たりにすることのできる絶好の機会。ぜひご堪能ください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

let it be

2025-08-14 08:08:08 | 人生
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【MV full】 恋するフォーチュンクッキー / AKB48[公式]

2025-08-12 08:08:08 | 人生
AKB48には全く興味がなかったんだけど,この曲には驚いた。秋元氏の力か。AKB48メンバーの力か。リズムの力か。笑顔の力か。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ねがわくば、この浦上をして世界最後の原子野たらしめたまえ」石破 茂 内閣総理大臣 挨拶

2025-08-09 11:02:00 | 戒めの言葉

八十年前の午前十一時二分,長崎は広島に続き世界で二番目の原子爆弾の惨禍に見舞われた。本日,長崎市の平和公園で行われた平和祈念式典では,石破茂内閣総理大臣が,次のとおりあいさつを読み上げた。
-----------------------------------
本日ここに,被爆八十年目の長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典に当たり,内閣総理大臣として,犠牲となられた方々の御霊に対し,謹んで哀悼の誠を捧げますとともに,今なお後遺症に苦しんでおられる方々に,心からのお見舞いを申し上げます。

今から八十年前の今日,この街は,一発の原子爆弾により,一瞬にして一木一草もない焦土と化しました。広島に投下されたものを上回る威力のプルトニウム型爆弾によって,七万人ともいわれる人々の命と未来が一瞬にして奪われ,その多くは一般市民の方々でした。惨状の中でなんとか一命をとりとめた方々も,長く健康被害に苦しまれてきました。

八十年を経た現在,核軍縮を巡る国際社会の分断が深まり,極めて厳しい安全保障環境に直面しています。

しかし,いかに険しい状況にあろうとも,唯一の戦争被爆国として,非核三原則を堅持しつつ,「核戦争のない世界」,そして「核兵器のない世界」の実現に向けた国際社会の取り組みを主導していくことこそが我が国の使命であり,一歩一歩,着実に努力を積み重ねます。

この上で基礎となるのは,国際的な核軍縮・不拡散体制の中心となる核兵器不拡散条約(NPT)です。来年のNPT運用検討会議に向けて,我が国は,「ヒロシマ・アクション・プラン」に基づき,核兵器保有国と非保有国の双方に対し,対話と協調の精神を最大限に発揮をし,一致団結して取り組むよう粘り強く呼びかけるとともに,現実的かつ実践的な取り組みを進めます。

被爆の実相を伝えることは,核軍縮に向けたあらゆる取り組みの原点として極めて重要です。世界中の指導者や未来のリーダーに長崎・広島への訪問を呼びかけ,多くの方々が来訪されました。

昨年,長年にわたり核兵器の廃絶や被爆の実相に対する理解の促進に取り組んでこられた日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞という栄誉ある賞を受賞されたことは,誠に意義深く,心より敬意を表します。

私は内閣総理大臣着任後,先の大戦において多くの命が奪われた硫黄島,沖縄のひめゆり平和祈念資料館,被爆地となった広島を訪れ,本日,ここ長崎に参りました。八十年前,この国で,この地で何が起きたのか。戦争の実態と悲惨さ,原子爆弾の被害の過酷さを,決して風化させることなく,記憶として継承していかなければなりません。被爆の実相の正確な理解を,世代,国を越えて,一層促進していく決意です。

高齢化の進む被爆者の方々に対し,今後とも,保健,医療,福祉にわたる総合的な援護施策を進めてまいります。原爆症の認定について,一日も早く結果をお知らせできるよう,できる限り迅速な審査を行うよう努めてまいります。

被爆体験者の方々についても,昨年十二月から,幅広い一般的な疾病について被爆者と同等の医療費助成を開始しており,引き続き着実に実施してまいります。

先ほど,八十年の時空を超え二口揃ったアンジェラスの鐘が,ここ平和公園の長崎の鐘とともに,かつてと同じ音色を奏でました。

「ねがわくば,この浦上をして世界最後の原子野たらしめたまえ。」

長崎医科大学で被爆された故・永井隆博士が残された言葉であります。長崎と広島で起きた惨禍を二度と繰り返してはなりません。

天を指す右手が原爆を示し,水平に伸ばした左手で平和を祈り,静かに閉じた瞼に犠牲者への追悼の想いが込められた,この平和祈念像の前で,今改めてお誓いを申し上げます。私たちはこれからも,「核戦争のない世界」,そして「核兵器のない世界」の実現と恒久平和の実現に向けて力を尽くします。原子爆弾の犠牲となられた方々の御霊安らかならんこと,併せてご遺族,被爆者の皆様並びに参列者,長崎市民の皆様方のご平安を祈念して,私の挨拶といたします。

2025(令和7)年8月9日 内閣総理大臣 石破茂
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

菅田将暉 『虹』

2025-08-08 08:08:08 | 人生
こんな生活,こんな人生。ステキですね。平和な世界があればこそ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

一本の鉛筆 美空ひばり

2025-08-07 08:15:00 | アート・動画

戦争は,やらないヤツが,やりたがる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

原爆と漫画「はだしのゲン」作者 中沢啓治

2025-08-06 16:15:00 | 戒めの言葉
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

松井 一實 広島市長 平和宣言 原爆死没者慰霊式・平和祈念式(平和記念式典)

2025-08-06 14:15:00 | 戒めの言葉

平和宣言

今から80年前、男女の区別もつかぬ遺体であふれかえっていたこの広島の街で、体中にガラスの破片が突き刺さる傷を負いながらも、自らの手により父を荼毘に付した被爆者がいました。「死んでもいいから水を飲ませて下さい!」と声を振り絞る少女に水をあげなかったことを悔やみ、核兵器廃絶を叫び続けることが原爆犠牲者へのせめてもの償いだと自分に言い聞かせる被爆者。原爆に遭っていることを理由に相手の親から結婚を反対され、独身のまま生涯を終えた被爆者もいました。

そして核兵器のない平和な世界を創るためには、たとえ自分の意見と反対の人がいてもまずは話をしてみることが大事であり、決してあきらめない「ネバーギブアップ」の精神を若い世代へ伝え続けた被爆者。こうした被爆者の体験に基づく貴重な平和への思いを伝えていくことが、ますます大切になっています。

しかしながら、米国とロシアが世界の核弾頭の約9割を保有し続け、またロシアによるウクライナ侵攻や混迷を極める中東情勢を背景に、世界中で軍備増強の動きが加速しています。各国の為政者の中では、こうした現状に強くとらわれ、「自国を守るためには、核兵器の保有もやむを得ない。」という考え方が強まりつつあります。こうした事態は、国際社会が過去の悲惨な歴史から得た教訓を無にすると同時に、これまで築き上げてきた平和構築のための枠組みを大きく揺るがすものです。

このような国家が中心となる世界情勢にあっても、私たち市民は決してあきらめることなく、真に平和な世界の実現に向けて、核兵器廃絶への思いを市民社会の総意にしていかなければなりません。そのために、次代を担う若い世代には、軍事費や安全保障、さらには核兵器のあり方は、自分たちの将来に非人道的な結末をもたらし得る課題であることを自覚していただきたい。その上で、市民社会の総意を形成するための活動を先導し、市民レベルの取組の輪を広げてほしいのです。その際心に留めておくべきことは、自分よりも他者の立場を重視する考え方を優先することが大切であり、そうすることで人類は多くの混乱や紛争を解決し、現在に至っているということです。こうしたことを踏まえれば、国家は自国のことのみに専念して他国を無視してはならないということです。

また、市民レベルの取組の輪を広げる際には、連帯が不可欠となることから、「平和文化」の振興にもつながる文化芸術活動やスポーツを通じた交流などを活性化していくことが重要になります。とりわけ若い世代が先導する「平和文化」の振興とは、決して難しいことではなく、例えば、平和をテーマとした絵の制作や音楽活動に参加する、あるいは被爆樹木の種や二世の苗木を育てるなど、自分たちが日々の生活の中でできることを見つけ、行動することです。広島市は、皆さんが「平和文化」に触れることのできる場を提供し続けます。そして、被爆者を始め先人の助け合いの精神を基に創り上げられた「平和文化」が国境を越えて広がっていけば、必ずや核抑止力に依存する為政者の政策転換を促すことになります。

世界中の為政者の皆さん。自国のことのみに専念する安全保障政策そのものが国と国との争いを生み出すものになってはいないでしょうか。核兵器を含む軍事力の強化を進める国こそ、核兵器に依存しないための建設的な議論をする責任があるのではないですか。世界中の為政者の皆さん。広島を訪れ、被爆の実相を自ら確かめてください。平和を願う「ヒロシマの心」を理解し、対話を通じた信頼関係に基づく安全保障体制の構築に向けた議論をすぐにでも開始すべきではないですか。

日本政府には、唯一の戦争被爆国として、また恒久平和を念願する国民の代表として、国際社会の分断解消に向け主導的な役割を果たしていただきたい。広島市は、世界最大の平和都市のネットワークへと発展し、更なる拡大を目指す平和首長会議の会長都市として、世界の8,500を超える加盟都市と連帯し、武力の対極にある「平和文化」を世界中に根付かせることで、為政者の政策転換を促していきます。核兵器禁止条約の締約国となることは、ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会を含む被爆者の願いに応え、「ヒロシマの心」を体現することにほかなりません。また、核兵器禁止条約は、機能不全に陥りかねないNPT(核兵器不拡散条約)が国際的な核軍縮・不拡散体制の礎石として有効に機能するための後ろ盾になるはずです。是非とも来年開催される核兵器禁止条約の第1回再検討会議にオブザーバー参加していただきたい。また、核実験による放射線被害への地球規模での対応が課題となっている中、平均年齢が86歳を超え、心身に悪影響を及ぼす放射線により、様々な苦しみを抱える多くの被爆者の苦悩にしっかりと寄り添い、在外被爆者を含む被爆者支援策を充実することを強く求めます。

本日、被爆80周年の平和記念式典に当たり、原爆犠牲者の御霊に心から哀悼の誠を捧げるとともに、決意を新たに、人類の悲願である核兵器廃絶とその先にある世界恒久平和の実現に向け、被爆地長崎、そして思いを同じくする世界の人々と共に、これからも力を尽くすことを誓います。

令和7年(2025年)8月6日
広島市長 松井 一實
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

石破 茂 内閣総理大臣 追悼の辞 原爆死没者慰霊式・平和祈念式(平和記念式典)

2025-08-06 12:15:00 | 戒めの言葉

追悼の辞

今から八十年前の今日,一発の原子爆弾が炸裂し,十数万ともいわれる貴い命が失われました。一命をとりとめた方々にも,筆舌に尽くし難い苦難の日々をもたらしました。

内閣総理大臣として,原子爆弾の犠牲となられた方々の御霊に対し,ここに謹んで,哀悼の誠を捧げます。そして,今なお被爆の後遺症に苦しんでおられる方々に,心からのお見舞いを申し上げます。

二年前の九月,広島平和記念資料館を改装後初めて訪問をいたしました。八十年前のあの日,立ち上るきのこ雲の下で何があったのか,焦土となり灰燼に帰した街,黒焦げになった無辜の人々。直前まで元気に暮らしておられた方が,四千度の熱線により一瞬にして影となった石。犠牲者の多くは一般市民でした。人々の夢や明るい未来が瞬時に容赦なく奪われたことに言葉を失いました。

広島,長崎にもたらされた惨禍を,決して繰り返してはなりません。非核三原則を堅持しながら,「核兵器のない世界」に向けた国際社会の取組を主導することは,唯一の戦争被爆国である我が国の使命であります。

核軍縮を巡る国際社会の分断は深まり,現下の安全保障環境は一層厳しさを増しています。しかし,だからこそ,国際的な核軍縮・不拡散体制の礎である核兵器不拡散条約(NPT)体制の下,「核戦争のない世界」,そして「核兵器のない世界」の実現に向け,全力で取り組んでまいります。

来年のNPT運用検討会議に向けて,対話と協調の精神を最大限発揮するよう,各国に引き続き強く呼び掛けてまいります。また,「ヒロシマ・アクション・プラン」に基づき,核兵器保有国と非保有国とが,共に取り組むべき具体的措置を見出すべく努力を続けてまいります。

「核兵器のない世界」の実現に向け歩みを進める上で土台となるのは,被爆の実相に対する正確な理解です。

長年にわたり核兵器の廃絶や被爆の実相に対する理解の促進に取り組んでこられた日本原水爆被害者団体協議会が昨年ノーベル平和賞を受賞されたことは極めて意義深く,改めて敬意を表します。

今,被爆者の方々の平均年齢は八十六歳を超え,国民の多くは戦争を知らない世代となりました。私は,広島平和記念資料館を訪問した際,この耐え難い経験と記憶を,決して風化させることなく,世代を超えて継承しなければならないと,決意を新たにいたしました。

政府として,世界各国の指導者や若者に対し,広島・長崎への訪問を呼びかけ,実現に繋げています。資料館の年間入館者は,昨年度初めて二百万人を超え,そのうち三割以上は外国からの入館者となりました。日本だけでなく,世界の人々に被爆の実相を伝えていくことも,私たちの責務です。

「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」は,施行から三十年を迎えました。原爆症の認定について,できる限り迅速な審査を行うなど,引き続き,高齢化が進む被爆者の方々に寄り添いながら,保健,医療,福祉にわたる,総合的な援護施策を進めてまいります。

結びに,ここ広島において,「核戦争のない世界」,そして「核兵器のない世界」の実現と,恒久平和の実現に向けて力を尽くすことを改めてお誓い申し上げます。原子爆弾の犠牲となられた方々の御霊の安らかならんこと,併せて,ご遺族,被爆者の皆さま並びに参列者,広島市民の皆さまのご平安を心より祈念いたします。

「太き骨は先生ならむ そのそばに 小さきあたまの骨 あつまれり」。

「太き骨は先生ならむ そのそばに 小さきあたまの骨 あつまれり」。

公園前の緑地帯にある「原爆犠牲国民学校教師と子どもの碑」に刻まれた,歌人・正田篠枝さんの歌を,万感の思いを持ってかみしめ,追悼の辞といたします。

令和7年2025年8月6日 内閣総理大臣 石破 茂
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

湯崎 英彦 広島県知事 挨拶 原爆死没者慰霊式・平和祈念式(平和記念式典)

2025-08-06 10:15:00 | 戒めの言葉

広島県知事 挨拶

被爆80年目の8月6日を迎えるにあたり,原爆犠牲者の御霊に,広島県民を代表して,謹んで哀悼の誠を捧げます。そして,今なお苦しみの絶えない被爆者や御遺族の皆様に,心からお見舞いを申し上げます。

草木も生えぬと言われた75年からはや5年,被爆から3代目の駅の開業など広島の街は大きく変わり,世界から観光客が押し寄せ,平和と繁栄を謳歌しています。しかし同時に,法と外交を基軸とする国際秩序は様変わりし,剥き出しの暴力が支配する 世界へと変わりつつあり,私達は今,この繁栄が如何に脆弱なものであるかを痛感しています。

このような世の中だからこそ,核抑止がますます重要だと声高に叫ぶ人達がいます。しかし,本当にそうなのでしょうか。確かに,戦争をできるだけ防ぐために抑止の概念は必要かもしれません。一方で,歴史が証明するように,ペロポネソス戦争以来,古代ギリシャの昔から,力の均衡による抑止は繰り返し破られてきました。なぜなら,抑止とは,あくまで頭の中で構成された概念又は心理,つまりフィクションであり,万有引力の法則のような普遍の物理的真理ではないからです。

自信過剰な指導者の出現,突出したエゴ,高揚した民衆の圧力,あるいは誤解や錯誤により抑止は破られてきました。我が国も,力の均衡では圧倒的に不利と知りながらも,自ら太平洋戦争の端緒を切ったように,人間は必ずしも抑止論,特に核抑止論が前提とする合理的判断が常に働くとは限らないことを,身を以て示しています。実際,核抑止も 80 年間無事に守られたわけではなく,核兵器使用手続の意図的な逸脱や核ミサイル発射拒否などにより,破綻寸前だった事例も歴史に記録されています。

国破れて山河あり。かつては抑止が破られ国が荒廃しても,再建の礎は残っていました。国守りて山河なし。もし核による抑止が,歴史が証明するようにいつか破られて核戦争になれば,人類も地球も再生不能な惨禍に見舞われます。概念としての国家は守るが,国土も国民も復興不能な結末が有りうる安全保障に,どんな意味があるのでしょう。

抑止力とは,武力の均衡のみを指すものではなく,ソフトパワーや外交を含む広い概念であるはずです。そして,仮に破れても人類が存続可能になるよう,抑止力から核という要素を取り除かなければなりません。核抑止の維持に年間14兆円超が投入 されていると言われていますが,その十分の一でも,核のない新たな安全保障のあり 方を構築するために頭脳と資源を集中することこそが,今我々が力を入れるべきことです。

核兵器廃絶は決して遠くに見上げる北極星ではありません。被爆で崩壊した瓦礫に挟まれ,身動きの取れなくなった被爆者が,暗闇の中,一筋の光に向かって一歩ずつ這い進み,最後は抜け出して生を掴んだように,実現しなければ死も意味し得る,現実的,具体的目標です。

「諦めるな。押し続けろ。進み続けろ。光が見えるだろう。そこに向かって這っていけ!」

這い出せず,あるいは苦痛の中で命を奪われた数多くの原爆犠牲者の無念を晴らすためにも,我々も決して諦めず,粘り強く,核兵器廃絶という光に向けて這い進み,人類の,地球の生と安全を勝ち取ろうではありませんか。

広島県として,核兵器廃絶への歩みを決して止めることのないことを誓い申し上げまして,平和へのメッセージといたします。

令和7年8月6日  広島県知事 湯﨑 英彦
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

八十年目の原爆忌

2025-08-06 08:15:00 | Weblog
1945年のあの日から三四半世紀を疾うにすぎ,今年は2025年。ヒロシマが八十年目の朝を迎えた。毎年のことだが,過去の文章を使い追記する。いつの日か,今年が戦「後」八十年目でなく,戦「前」○年目だったという歴史になることのないように。

-----------------------------------

原子爆弾[Link(Wikipedia):リトルボーイ]。

大国の思惑によって,当時の広島市の人口35万人(推定)のうち9万 - 16万6千人が被爆から2 - 4か月以内に死亡・戦死し,原爆投下後の入所被爆者も含め56万人が被爆したとされる。

Link(Wikipedia):広島市への原子爆弾投下

私自身は戦後の大阪市生まれでヒロシマの惨禍を直接は経験していない.。しかし,40年以上前に広島大学の学生だったあの日,「平和教育」という講義で藤井敏彦先生に問われた。

「君たちは原爆死没者慰霊碑の碑文は誰がつくったものか知っているか。ヒロシマに学ぶ学生として世界の人たちに平和を伝えるとき,碑文をどう英語で伝えるか。」

全く答えられなかった。当時の浜井信三広島市長の要請によって碑文文案を執筆したのは雑賀忠義広島大学教授,英訳は次の通りだそうだ。

Let all the souls here rest in peace; for we shall not repeat the evil.

2017年7月7日に国際連合総会で核兵器禁止条約が採択され,2021年1月22日に発効してから,今年は5回目の原爆忌を迎えた。

Link(Wikipedia):核兵器禁止条約

残念ながら我が国は世界唯一の戦争被爆国でありながら,この批准国に名を連ねていない。

世界各地で起こる争いで,罪なき人々が傷つき生命を奪われている現実。広島からヒロシマへ。そしてヒロシマからHIROSHIMAへ。果たすべき使命は限りなく大きい。

朝から照りつける日差しは,80年前と同じように眩しく暑い。今日は鎮まりし者たちへの祈りの日。黙祷。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【NNNドキュメント】「一体何人の日本人を…」原爆投下した米兵の苦悩と被爆者の歩み 戦争への憎しみと平和への願い NNNセレクション

2025-08-05 08:15:00 | 人生

▶Wikipedia ここから引用>>>>>------------

紘子は、被爆から75年を迎えた2020年8月の取材において、「悪い人だと思っていたルイス操縦士は、実は私たちと同じように、涙を流すような人間でした。本当に憎むべきなのは、戦争そのものであることに気づいたんです。」

------------<<<<<ここまで引用◀

「悪いのは,あの原爆を落とした飛行に乗っていた人たち!絶対に敵を討つ!」という思いを強く持っていたにも関わらず,命令を受けてそのとおりにせざるを得なかった兵士の気持ちに新たな気づきを得た紘子さん。彼女こそが,恐らく碑文「安らかに眠って下さい 過ちは繰り返しませぬから」の意味を全世界に伝えてくださる方に違いないんじゃないだろうか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする