今朝、たまたま見たこの動画が興味深かった。
Silver Bridge | The Tragedy that Changed Civil Engineering Forever
全編英語なので簡単に解説する。
これは1928年に建設され、ほぼ40年後の1967年に崩壊したシルバーブリッジのお話だ。ウエスト・バージニア州とオハイオ州の州際を流れるオハイオ川に架かる橋だった。
46人の方々が亡くなった。
ゴールデンゲイトブリッジのような典型的な吊橋ではなく、eyebar という特殊な部材を用いる吊橋だった。
本来冗長性を持たせるべき eyebar を経済性追求のために節約したため、一箇所の破損があっという間に橋全体の崩壊をもたらした事故だ。
原因にはいろんな要素が絡んでいるためそんなに簡単な話ではないが、この動画で強調されていたのが、1928年の時点では予想されていなかった1967年の自動車両の重量増加だ。
1927年頃には680キロ程度だった平均車両重量が1967年には1800キロ、つまり2トン近くに増加していた。(タイムスタンプで 3:15あたり)
当然交通量も増えていた。
つまり当初の設計重量を大幅に超えた訳だ。
この原因から連想する現代的な問題はないだろうか?
ある。
そう、電気自動車だ。より具体的にはバッテリーの重量だ。
早速ChatGPTに聞いてみたら、こんな解説があった。
*****
電気自動車(EV)は、バッテリーの重量が大きいため、同じクラスのガソリン車(ICE: 内燃機関車)と比較して約200~500kg程度重くなることが一般的です。
重量増加の主な原因
- バッテリー重量
- EVのバッテリーは大容量になるほど重くなり、例えば50kWhで約300kg、100kWhでは約600kg程度。
- 補強構造
- 重いバッテリーを支えるために、車体の補強が必要。
- モーターや制御システム
- エンジンに比べて軽量なものの、インバーターや冷却装置などが追加される。
重量増加の影響
- 航続距離への影響 → 重くなるとエネルギー消費が増加。
- タイヤ・ブレーキへの負担 → すり減りが早くなる。
- 走行性能の変化 → 低重心になり、コーナリングは安定するが、加減速時の慣性が大きくなる。
*****
重量増加の影響の解説がちょっと甘い。
やはり橋などのインフラに対する影響を無視してはいけない。上記事故がそれを物語っている。
ことは橋にとどまらず大都市で普通に見られる立体駐車場も危ない。
既にニューヨークでは築50年以上たった立体駐車場の崩壊の例が報道されている。
NYマンハッタンで駐車場崩壊 1人死亡(2023年4月19日)
別の報道によればこの駐車場は1925年に建築されたようで、奇しくも上述の橋と同時期にできたインフラだ。
日本の立体駐車場はもっと最近のものだが、それでもスーパーや病院、パチンコ屋に併設された立体駐車場は、床もスケスケの構造が多く、お世辞にも堅牢な作りとは言えない。
今は大丈夫でも、万が一将来電気自動車が当たり前となったときに持つだろうか?
個人的には電気自動車は当たり前にはならないと思っているので、私はあまり心配していないが。
考えてみると自動車メーカーは過去、いかに車の重量を軽くするかの開発競争を行ってきた。アルミ素材はどはその例だ。
インフラの問題に限らず、重量が増えると車を動かすエネルギーも増やす必要がある。
現時点でほとんどの電気自動車の最終的なエネルギー源は石油などの化石燃料で、ガソリン車と変わらないので、エネルギーの無駄な消費と言わざるを得ない。
エネルギー的に本当に割に合うのは太陽光とか原子力とかの非化石燃料のシェアが少なくとも半分以上に達した時ではないだろうか?
そしてそれは非現実的としか思えない。
ヨーロッパの頭のいいインテリエリートがひねり出す政策はこんなお粗末なものだ、というお話でした。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます