京都 洛北の時計師 修理日記

時計修理工房「ヌーベル・パスティーシュ」京都の洛北に展開する時計修理物語。
夜久野高原で営業再開しました。

時計師の京都時間。

2014-01-20 09:14:37 | 日記

大寒の朝。
暦通り厳しい寒さになりました。

ノルウエー旅行から戻ってきたお客様が一言「京都のほうが寒いね~!」
京都の町屋は夏の暑さに対応するように作られているので冬の生活は厳しいものがあります。
耳には霜焼けが出来た!「冬になったよ~!」
作業中は汗ばむほど緊張するので電気ストーブくらいで暖房設備は特にない。

寒くなると乾燥する京都。チェロの音など楽器の音が大きくなるので「へたくそ」がばれてしまう。
この季節になると毎年のようにチェロ吉の機嫌が悪くなる。ヘタクソ度200%!
ウルフ音というおおかみのうなりのような雑音も出てくる。寒さで指もスムーズに動かない。
C,Dの絃も替え時かな?とお金がかかる季節です。

サンサーンスの「白鳥」を練習の締めに弾くのですが「死にそこなったガチョウのガーガーに聞こえるそうだ。
「ガチョウ」の曲が鳴り終わると近所の皆さんは安心して休める。

「耳毒」な冬の京都時間。
京都の一般的な町屋は来客の設定はない、すべて家族使用目的での設備だ。
このことがよく分かるのがトイレ。これがよそさんとのトラブルが多い。
なんと!扉にカギが付いていないのです。

茶道教室、和楽器教室など京町屋を利用することが多い。
そこでは初釜の寒い季節になると突然悲鳴が聞こえるのが風物詩。
新しく入った生徒さんがいきなりトイレのドアを開けてしまうのだ。

京都人なら子供の頃からなれています。よそではトイレを借りない。また緊急の時には周辺に声をかけてはいる。この気配りでよそさんとの違いがわかるのだ。

「夫婦喧嘩」の声が響き渡る季節がやってきた!
冬の乾燥季になるとへたくそ演奏といっしょに近所に音が路地に漏れる。西陣の通りを歩くとあちこちから聞こえてくる。職住一体の生活なので夫婦喧嘩などトラブルがおきやすい構造なのでしょう。夫婦喧嘩は隠れた京都名物!

ところが京都人の耳は他人の夫婦喧嘩の音は聞こえないように出来ているようだ。
「昨日のお隣はすごかったな!」「へ?なに~聞こえへんかったよ。」
京都人は必要な音以外はカットできる能力があるようだ。

「いらんこといい」は嫌われる。
毒舌家は敬遠されるのが京都。他人の悪口はご法度です。
京都人から好かれるためには「眼福」「耳福」「香福」が貴重な三大要素になる。
今日は大寒。
寒さの中にもちょっとした春の兆しが見つかるとそれを教えるのが京都の人の特徴ですね。
「3代続いたなんちゃって京都人」の私もいつかは京都人!
トレーニングで頑張っているのですよ~。













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時計師の京都時間。

2014-01-19 09:56:56 | 日記

1月19日雪の京都!
雪も明け方にはやみ工房まで雪景色を楽しみながらの出勤になりました。
「試される」京都時間。
「センター試験」当日、試験の神様が活躍する。いつも決まったようにお天気が荒れる。
せめてお天気くらい静かに見守ってほしいのですが今年一番の寒さの京都になってしまいました。

車道にも積雪があるので車も少なく快適な道路なので自転車通勤は独り占め。
電線から落ちてくる雪のかたまりに気をつけながらやってきました。

写真はウブロ。裏ブタのネジは緩み止めのようなもの。強くねじ込まなくても水は防げる設計になっています。「ヨーロッパ貴族」の時計として有名。

「国産時計1000円、輸入時計2000円!電池交換料金の価格設定はおかしいのではないか!」お客様が他店への不満を爆発させました。
「いまや国産、輸入時計両方が中国製の時代だ!一律の価格設定には納得がいかない。」
昔から時計業界はこの方法で料金を決めていたが時代に合わなくなってきたのでしょう。
「普及品1000円、高額品2000円」と設定しても線引きが難しい。
時計店の良心が試されているのでしょうか!

技術差の価格設定も無理だ。
中国製時計の電池交換は技術的に難しいモデルが多いのです。
ダイバーウオッチの裏ブタがネジ込みタイプの中国製は溝が浅く、金属も成型樹脂の流し込みが多く弱い。
結果としてオープナーを簡単に滑らせ傷をつけることが多くなる。

高額時計のダイバーウオッチなら溝が深く、インゴットの金属から作られているためよほどの素人でないとオープナーは滑らない。簡単で安心なのだ。

私の工房では価格差の説明が面倒なので?電池交換は一律1000円。
自然とエルメス、ブルガリなど輸入時計が集まってくるから、高級時計の修理工房のようなお客様の扱いになって来ました。

ところが苦労もある。
市場価格1980円程度、中国製時計の電池交換依頼が来る。
サイズ調整とあわせると1500円と新しく購入したほうが安い時計。

新品なら依頼を受けるが持ち込まれた時計はかなり使いこんだ上に消費電流が高い。
もちろん分解掃除をすると安心できるがお客さんの予算の都合上、不可能です。

「とりあえず動きますが、いつまで持つかわかりませんよ~。」と詳しく説明する。
売上が少ないときなど心が試される苦しい一瞬です。

「今日は試験の日」生涯試験の神様から試されているような仕事が時計師。

自分たちの利益の為に平気で嘘やいい加減な発言を続けている「原発村のマフィア」や「オリンピック成金」達のニュースを横目で見ながら「試されている」のが現実なのです。
「5000万円借り入れていっぱい修理工房を作るにゃ~!」

今日は「センター試験」の日。
時計師の「良心」がぶれて変な夢を見ないようにしたいね!
心を強く持って頑張りましょう。





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時計師の京都時間。

2014-01-18 09:24:24 | 日記

1月18日大安の土曜日。
流通業の人が結婚式を挙げるならこの日が一番です。
「結婚式」の京都時間。

月曜日は大寒。同時に蕗がつぼみを出す頃で、寒さの中にも希望が芽生えています。

写真はマルマン掛時計の修理。
自社ムーブが造れないのでリズム時計の機械を両面テープで貼り付けているお粗末もの。
機械を取り出す時に割れるように出来ている使い捨てムーブです。

ところが本体は樫の木で作られている、金属製の文字盤が美しい外装は高級品。なんともへんてこりんで取り扱いにこまった時計です。

慎重に機械をはがして取り出しガラス面と文字盤の距離を計測する。
貼り付けてあるだけの「使い捨てムーブ」の供給はないので機械を交換するのです。

結果、工房の在庫ではガラス面と接触して止まる。全く合うムーブがない。

機械の取り寄せもしつこく問い合わせるが「メンテナンス期間が切れている」との事なので無理。
修理中止にするには樫の木がもったいない!
そこで再度ムーブの修理を試みる。
秒針のハカマ部分が割れていただけなのでセンター部分を抜いて仕上げた。
15時間ほど正常に動いているのでそのままお客様へお返しします。
当然修理料金はもらえない。無駄働きになる。

掛時計の修理を依頼しようと時計屋に持ち込むとあっさりと断られる事が多いでしょう。実情はこんなことが頻繁に起きるので10年以上使った掛時計なら私たちの手に負えなくなるのです。

国内メーカーの掛時計は90%以上が中国製。あっさりと捨てられてしまうアイテムなのです。
「中国とかかわりを持ったが最後、平穏な人生もそれでおしまい。」
販売価格は据え置きでコストが安いのでぼろもうけ!これでは人生が狂う!宝くじが当たった後の空しい人生のようなもの。
中国との結婚は危険がいっぱいなのだ。

「女性とかかわりを持ったが最後、平穏な人生もそれでおしまい!」
SF作家のアイザック・アシモフさんのありがたい言葉です。

新婚旅行の間も時計のキャリバーの事を考えていた病気?の同僚がいました。
「エキセントリック・ウイール~、キャッスル・ウイール~、」寝言まで出てくる。
旅行最終日に嫁さんが
「あんた!時計と結婚しなさい!」
ぶちきれて帰国後、上司の奥さんに相談したそうだ。
「まだええやん!うちのだんなはセックスの間まで時計のことを考えてるで!」
それでも時計業界の離婚率と利益率は限りなく低い。

時計の仕事をしている人といっしょになるなら「平穏」な人生もおしまい!
ニコニコと複雑な笑顔で見送られる新婚カップル。となりには貧乏神も漏れなく付いて来るのです。
今日もさあ~始めましょう!










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時計師の京都時間。

2014-01-17 09:48:52 | 日記

1月17日。金曜日「土用の入り」
「初笑い」の京都時間。
写真の「ホイヤー」ネットで2万円代で購入できたそうです。
ベゼルは18金「タグ・ホイヤー」になる前の「ホイヤー」のロゴ。
ムーンフェイスは手描きの名作です。お客は初笑いのお正月になりました。
最近のネット社会の威力はすごさを思い知らされた!

うかつに修理見積もりを出すと時計本体より高額になってしまいます。
オクション価格を把握していないと修理連絡後引取りに来てくれない恐れがあるのだ。
オメガ・シーマスターのアンティークモデルには泣かされる。引き取りに着てくれたときにはうれし泣きしてしまう。

1960年代のスイス時計ならチャイナリスクを考えなくていいのでお買い得?
ただ、私のキャリアでは時計販売店の店長やらバイヤーが長い。
現行品だけの人生がほとんどだ。犯罪の事は犯人に聞くな!おまわりさんに聞きましょう。
アンティーク時計のことなら修理屋に聞くな!アンティーク販売業者にたずねましょう!
京都に戻った10年間でやっとアンティークに触れる機会が出てきただけなのでそれほど豊富な知識はない。メーカーや販売店ではアンティークの時計を嫌う傾向があるのです。
また、販売店では機械キャリバー番号で指導する事はない。型番だけの知識で充分仕事が出来る。
むしろエボーシュメーカー、ア・シェールドの名作キャリバー「1402ムーンフェイス」などの話を熱く語っても誰も聞いてくれませんでした。
つまり会社員時代は同じ時計業界にいても孤独な笑いの日々でした。

現行品を扱うと経済的にも違いがある。
本部へ来店される各メーカーの時計をそれぞれ買いそろえます。
会社で筆頭バイヤーだった私が年始に来るセイコーの役員さんの前でオメガやロンジンはつけて出てはいけません。
着せ替え人形のようにあわてて時計を替えるのにいそがしい。すべてのメーカーの時計を自前でそろえる、中にはお気に入りの時計ばかりではない時計のための出費は痛い。

時計業界ではこのような孤独な一人旅をしている人が多い。
それでもカシオのオシアナスだけはお気に入りで付け替えるたびに軽さにビックリ。軽くなった財布にもビックリ笑える!

 東京電力のゆる~い再建計画が発表されました。お正月らしく「初笑い」計画なのでしょうか?
500人の役員を福島に集めるのだそうです。
要介護で単身赴任の役員たちが福島の皆様にお世話になるときっと現地は迷惑だ。
家族が同行するはずがないでしょうから転勤理由の熟年離婚組が500組出る?。

50歳になったらそれまでのスキルを利用して独立しましょう。
また独立開業も出来ない人ならそのまま会社にいても迷惑なだけだ。
首都圏で生活しているのなら成功の確率は全国で一番高いはずです。頑張りましょう。

「原発事故処理はコントロールできている!」
昨年のトンチンカン発言から今回の計画発表までの一連を見る。可能性も実行能力も出来ない事を主張している。
こんなお坊ちゃまたちの夢の話に付き合っているのがばかばかしくなる。

今年の初笑いは苦笑いから始まりましたね~!
京都は「骨正月」の季節です。ブイヤベースも美味しい!
今年は笑いながら進みましょうね!






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時計師の京都時間。

2014-01-16 09:53:32 | 日記

1月16日今日は「満月」の夜だ。ケアレスミスの事故にご注意ください!
「薮入り」なので京都西陣の機織屋さんはお休みのところが多い。
あまりに静かな朝でちょっと寝坊をしてしまいました。

19年前、17日の朝5時46分。阪神大震災の朝も満月でした。真っ赤なお月様が不気味で気持ち悪い朝だった事を思い出します。
当時岡山支店で時計店の店長をやっていたころ。
震災当日、大山スキー場で神戸からやってくるはずの友人を待っていました。

震災の後、しばらくして楽器を再開します。
チェロの演奏を復活して19年も経ったのか~!あっという間の19年との想いがあります。
震災直後の被災地でバッハのカンタータを聞いた。
歌っていた団体はバッハ・コレギウムの皆さんだった事は後でわかりますが当時はこの団体の名前も知りませんでした。とにかくすがるように真剣に聴いた。人間の声だけでこれほど感動出来るとは信じられない思いで聴いた。
これから何かが始まりだしました。

今でもバッハのコラールを聞くと当時のことを思い出します。
私はアレルギー持ちなので歌えない。
せめて昔に習ったチェロで彼らに近づきたい。それが19年前練習を復活させた。

毎日の練習を始める前にバッハの無伴奏チェロ組曲1番プレリュードを5回弾くのが日課になりました。
工房前の道路に立っていても下手な演奏が聞こえるそうです。
歩行者のみなさまが瞬間だけでも癒されるようにうまくなりたいものですね!

震災以降に変わった習慣ではスーパーに行くと食べ物も水も豊富に販売されています。それでも自宅の冷蔵庫の中には水の買い置きがたくさん詰まっている。
ストーブは温風ヒーターはない、旧式の電気が必要のない煮炊きが出来るストーブを二台使っています。
バイクにも乗らなくなりました。被災地ではパンクが多くおしゃれなロードバイクやオフは使えない。ホンダのスーパーカブで充分だ。

時計は必需品でした。
時計が知らせる時刻だけを頼りに普通の生活に戻れた。
時計がないとずるずると無駄な時間が過ぎるの立ち直るための必須アイテムでした。
枕元には懐中電灯のとなりにロレックスとセイコーはいつも常備して寝ています。

バッハと時計を頼りにしながら少しだけ前に進めるようになって19年。
ヘナチョコ時計師は皆さんに感謝する一日がやってきた。
















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