池袋犬儒派

自称「賢者の樽」から池袋・目白・練馬界隈をうろつくフーテン上がり昭和男の記録

壁の威力

2016-05-10 08:13:47 | 日記
第2局の展開から、第1局を眺めると、なんとなくアルファ碁の特徴を理解できるような気がするバイ。

それにしても、第1局は奇怪な展開。

アルファ碁は白番なのじゃが、中盤の局面を見ると、まるで白がそうめん流しのように幾筋にも垂れ下がっており、まるで地らしいものが見当たらない。
唯一左上隅の先着としまりがあるが、これも星なので、三三に入られれば、ひどい目に会いそう。

一方で黒は、中央から下辺と左下にどでかいスペースを支配しているし、右の上下とも十分に地にできそう。

正直、ここから逆転するとは、誰も想像できんじゃろな。

ところが、ほぼ黒地と思われていた右辺に白が飛び込んだ時から、様子が違ってくる。
あまりに不利なので、イチかバチかの勝負に出たのだろうと解説の石田は言っていたが、誰でもそう思うわな。

しかし、その後の様子はどうも奇妙である。

攻めたかと思うと、非常に読みが難しいところで引いて、(今の攻めはいったい何?)ということになる。
そこを決めないまま、左下の黒地を切り崩しに行く。さらに、それも途中で切り上げて、季節外れのところに打つ。

あちらこちらに打つことで人間の頭をかく乱する戦法のようじゃ。

で、イ・セドルがあれこれ応対しているうちに、白はポンと三三にしまりを打った。

わしが対戦相手なら、(あ、しまった)というところじゃな。

でも、盤面では、まだ人間の方がずっと有利に思えるのだが、このあたりからイ・セドルの優勢があやしくなってくる。

右上隅で、白はうまく尻尾を切って隅を自分の地にする。
先着した右下隅まで荒らされては大変と、イ・セドルは地の確保に走るが、白はうまく体をかわして、ここでも生きを確保。

黒は、手数だけかけさせられて、損をしただけ。

地合いが拮抗してきて、(これではならじ)と黒は左下隅の白を責めるが、ちょっと勢いがすぎて難しいことになり、うろうろするうちに白はあっさり左辺にノビを打って陣地を拡張。
このあたりで、地合いは逆転。

この後、白はうまくさばいてリードを広げ、結局、黒は投了じゃ。

石田の解説を聞いていても、イ・セドルは、悪手らしきものは打っていないようじゃ。
なのに、これだけの大逆転を許したのはなぜか?

やはり、右辺で攻められて地を大きく減らしたことが敗因じゃなかろうか?

アルファ碁は、ここをある程度切り取れば黒地は足りなくなると冷静に計算しておったのじゃろうな。

そして、重要なのは、この右辺と上下の隅への攻撃力を最大化したのは、やはりすぐ左にあった白の厚い壁だろうと思う。
飛び込みから出ギリの形は、なんか白から真綿で締め付けられている感じで、まことに気持ち悪い。

たとえ左上隅の三三に入られたとしても、右を押さえておけば、上辺から中央にかけて白の大きな地が出現するからのう。
そこでも前半で愚直に伸びた白の壁が大きくものを言っておる。

下辺の挟み付け攻撃も、黒の壁に白の壁がぴったり張り付いているから威力を増す。

こうやって考えると、やはりアルファ碁のプラットフォーム作戦は、かなり有効だったのじゃろう。
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