池袋犬儒派

自称「賢者の樽」から池袋・目白・練馬界隈をうろつくフーテン上がり昭和男の記録

涙のプラットフォーム

2016-05-09 09:47:00 | 日記
第2局を見ると、アルファ碁が非常にユニークな作戦で打ちまわしていることがよくわかるな。

布石はまあ普通のようだが、カカリやハサミで石が接触すると、定石形をちょっとひねったような打ち方をする。

特に目立つのが棒で継いだり、固くしまったりすることじゃ。
このため、余分な断点があまりできない。

通常、こんな打ち方をすると、ひどくみっともない碁形になるのじゃが、アルファ碁の場合は、序盤の形はなんとなくしっくりこない。
美しくない。

ところが、そこからアルファ碁はしっかり逆転する。

ということは、逆に考えれば、このソフトは、あえてこんなことをやっていると考えられないじゃろうか?

つまり、地に先行するより、後半に向けた形作りを重視しておるのではないかと思う。

この第2局でも、左下隅の石をせっせと逃がしているのを見て、わしは(なんで、こんなことをするんじゃ。こんな石はさっさと見捨てて大場に回ればよいのに)と思っておった。

誰でも最初にニギニギしたい。
おいしそうなところに手を伸ばしたい。
しかし、アルファ碁は、それよりも、後半戦に向けての足場作りを優先する。

終盤に向けての細かい読み合いになったときには、演算力の高いコンピュータが有利になる。
人間は、ただでさえ優勢な形勢を追い上げられるのだから、焦りも出るじゃろう。読み違いやポカも出やすくなるバイ。

そうやって考えてみると、序盤から中盤にかけて、辺から中央に向けて形成されたアルファ碁の模様には、イヤミやアヤが非常に少ないことに気がつく。
柔軟ではあるが、非常にしまった打ち方をしている印象がある。

これは、将来的に、断点や薄みなどの弱みをなるだけ作らないというアルファ碁の作戦のようにも思えるのう。

盤面の辺や中央に簾のように石が並び、なんとなく働きが悪いように見えるが、実は、非常に頑健にできているので、これをプラットフォームにして中盤から終盤にかけて存分に活用できるようになっておる。


このプラットフォームが上辺、左辺、下辺に大きな影響力を発揮するわけだ。

もちろん、黒番と白番では打ち方が違ってくるだろうし、相手がどんな布石を採用するかでも変化するじゃろうが、少なくとも、今までの考察により、次のような仮説を立てることができるように思うバイ。

「アルファ碁は、序盤において、地の囲いとプラットフォーム作りを同程度に重要視している」

もちろん、隅への先着とシマリは最優先事項じゃろうが、カカリやハサミから発生する競り合いでは、相手のわずかな石を召し取ったり、地をもうけたりするより、碁盤全体を見たプラットフォーム作りを優先するのではないか。

また、これにはもう1つの仮説も加える必要がある。

「プラットフォーム作りにおいては、将来の不安材料とならないように、なるだけ断点の少ない固い形をとる」

第2局を見ていて、わしが思いついたのは、こんなことじゃ。

そこで、この仮説がどの程度正しいかを検証するため、第1局を眺めてみたい。
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