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5月24日・ファーレンハイトの過冷却

2024-05-24 | 科学
5月24日は、シンガーソングライターのボブ・ディランが生まれた日(1941年)だが、温度計の華氏の名の由来である物理学者、ファーレンハイトの誕生日でもある。

ガブリエル・ダニエル・ファーレンハイトは、1686年、現在のポーランドのグダニスクで生まれた。ファーレンハイト家は、ドイツのハンザ同盟に加盟していた商人の家系人だった。ガブリエルは5人きょうだいのいちばん上だった。
ガブリエルが14歳のころ、両親が毒きのこを食べて亡くなったため、彼はネーデルランド(オランダ)へ移り、商人の修行をした。
しかし、しだいに科学に興味を抱くようになり、ガラス器具を製作したり、物理学や気象学の器具を製作、販売するようになった。
21歳のころから、たびたびドイツを中心に各地を旅行し、各地の学者たちと交友を深めた。ファーレンハイトは、科学者で哲学者のライプニッツとも文通をしていた。
そうした科学者たちと親交するにつれ、共通の尺度となる標準温度の必要性を強く感じるようになった。
28歳のとき、アルコール温度計を製作。
35歳のとき、過冷却の水の凝固を発見。
38歳で、水銀温度計を製作。王立協会の会員となり、さらに化学、物理学の実験、研究を進めた。
その後、比熱の概念の元となる、混合物の実験などをおこなった後、1736年9月、ネーデルランドのハーグで没した。

ファーレンハイトは、純度の高い水銀を使った温度計によって、科学実験の精度を高めた。そして、液体ごとに沸点がちがい、それは気圧の影響を受けることを発見した。

「華氏」は「ファーレンハイト」の中国音訳である「華倫海特」から、そう呼ばれる。
ファーレンハイトは、当時、彼が計測できたもっとも低い気温を0度とし、自分の体温を100度にして、目盛りをこしらえたようだ。摂氏と比べると、こうなる。
華氏0度=摂氏マイナス17.8度
華氏100度=摂氏37.8度
華氏212度=摂氏100度

ファーレンハイトが発見した過冷却は、中学のころ、そういう現象があるということをテレビ番組を見ていてはじめて知った。
たとえば器に水をたたえて、しだいに温度を下げていく。静かに見守っていると、やがて0度を過ぎて、マイナス1度、マイナス2度となる。でも、水は凍らない。
そのとき、器をちょんっとはじくか何かして、小さな刺激を与えてやると、カチンッと水は一瞬にして凍りつくのだった。
とても不思議だった。過冷却現象はいまだに肉眼で見たことがないし、いまでも不思議な気がする。
(2024年5月24日)



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