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著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

9月28日・ブリジット・バルドーの愛

2022-09-28 | 映画
9月28日は、イタリアの映画俳優マルチェロ・マストロヤンニの誕生日(1924年)だが、フランスの映画女優ブリジット・バルドーの誕生日でもある。

ブリジット・バルドーは1934年、フランス・パリで生まれた。父親ルイ・バルドーは酸素、アセチレン・ボンベ製造工場の経営者で、木彫りのブーブー人形のコレクターだった。
ブリジットが小さいころ、父ルイが手相をみてもらった。みた女占い師は断言した。
「あなたの名前は世界的に有名になる」
父親ルイは自分の会社が世界的大企業になると勘違いし、大いに喜んだ。
裕福ながら、あれはしてはいけない、これはしてはいけないと束縛の多い家庭に育ったブリジットは、幼時からバレエを習い、美人の妹に強いコンプレックスを抱いて育った。
勉強嫌いの彼女は、将来バレリーナになることを夢見ていたが、やがて雑誌モデルに転身し、そのころ出会った映画脚本家ロジェ・ヴァディムと出会い、勧められて映画女優の道に入った。
そして、ヴァディムと熱烈な恋に落ち、18歳で結婚した。
22歳のとき、ヴァディムの初監督作品「素直な悪女」に主演。試写をみた主演男優クルト・ユルゲンスは、自分でなく、バルドーの名をトップにもってくるよう要請した。ブリジット・バルドーが男を惑わせる小悪魔を演じたこの作品は彼女を一躍、世界のセックス・シンボルに押し上げた(ヴァディムとは23歳で離婚した)。
以後、「可愛い悪魔」「何がなんでも首ったけ」「セシルの歓び」「ラムの大通り」などに主演、BBは世界の男性に崇拝される女神のイニシャルとなった。
映画女優のかたわら歌手としても活躍したが、39歳の年を最後に、芸能界から引退。以後は動物愛護運動の活動家になり、食用動物の苦痛を与えない屠殺、毛皮反対、犬やアザラシ、象などの保護を訴え、その知名度を利用して母国フランスほか各国の首脳に直接はたらきかけ、世界各国の動物保護政策を大きく前進させた。

バルドーのウエストは、最初の夫ヴァディムが両手で作った輪におさまるほど細かった。
セックス・シンボル「BB」の人気は絶大で、英国ビートルズのポール・マッカートニーやジョン・レノンも若いころ、ガールフレンドにバルドーのような髪型、髪色にさせていた。男性たちに憧れられる半面、女性たちからは目の敵にされ、彼女は見舞いに寄った病院のエレベーターでたまたま乗り合わせた看護婦に「あんたみたいな商売女なんかに」と顔を引っかかれたこともあった。
出番前の短時間にセリフを完璧に覚え、スクリ-ン上で圧倒的な存在感を発揮する女神は、名声や富にまったく興味を示さない、愛を信仰する純粋無垢な精神の持ち主だった。

ブリジット・バルドーは初めてサッカーの試合を見たときこう言った。
「ボールをもっとたくさんあげればいいのに。そうすれば喧嘩しないわ」(ロジェ・ヴァディム著、吉田暁子訳『我が妻バルドー、ドヌーヴ、J・フォンダ』中央公論社)

ほかにもバルドーは味わい深い名言を残している。
「男の人が何人も愛人を持てば人はドン・ファンと言うでしょう? 女が愛人をたくさん持つとふしだらだと言われるんだわ」(同前)

「夜、眠っている相手を見て、幸せで涙がこみ上げてくれば、それは本当に愛しているしるしだわ」(同前)
(2022年9月28日)



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