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著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

2月13日・竹宮惠子の雄弁

2024-02-13 | マンガ
2月13日は、「メグレ警部」シリーズを書いた推理作家、ジョルジュ・シムノンが生まれた日(1903年)だが、マンガ家、竹宮惠子の誕生日でもある。

竹宮惠子は、1950年、徳島で生まれた。もともとの名は、竹宮恵子で、30歳のころ、改名して、いまの漢字を使うようになったらしい。竹宮さんは2人姉妹の長女だった。
小さいころから絵を描くことが好きだった彼女は、「サイボーグ009」を描いた石ノ森章太郎ファンで、中学生のころから自分でもマンガを描きはじめると、石ノ森章太郎に手紙を書き、石ノ森の紹介で、石ノ森ファンで作るマンガ同人誌に参加した。
高校生のときに描いたマンガ作品「ここのつの友情」「りんごの罪」「かぎっこ集団」などがマンガ雑誌で入選、受賞した。
地元の大学の教育学部美術科に入学したが、20歳のとき中退して上京。後に「ポーの一族」「11人いる!」を描くことになる萩尾望都と共同生活をはじめた。
雑誌連載をもつようになり、24歳のとき「ファラオの墓」、26歳で「風と木の詩」、27歳からは少年マンガ誌に進出し「地球へ…」の連載をはじめた。
「地球へ…」は、アニメ映画やテレビアニメにもなり、大ヒットとなった。
50歳のとき、京都精華大学マンガ学科の教授に就任し、マンガ家が大学教授となる先駆となった。同大学の学長を務め、64歳で紫綬褒章を受賞した日本マンガ界の女神的存在である。

竹宮作品は絵がきれいで、耽美的、文学的な雰囲気が全ページに横溢している。

はじめて読んだ竹宮作品は伝説的名作「風と木の詩」で、男性の同性愛をテーマにした、すごい世界観に衝撃を受けた。
現在、日本国内はもちろん、世界中にそのブームが広まっている「ヤオイ系」「ボーイズ・ラブ」マンガ。その扉を開いたのは、竹宮の「風と木の詩」だった。
発表当時のこの作品の斬新さといったらなかった。すごい度胸である。

ブームになった「地球(テラ)へ…」。
宇宙に展開し、生命の根源をさぐるスケールの大きなSFで、心の深いところを揺さぶられる作品だった。

竹宮作品を読むと、作品が立派で、やっぱり、作家は作品がすべて、との感を深くする。作品が雄弁に語るので、作者がのこのこ出ていってなにか言わずとも、読者は作品を前にすれば自然と沈黙し、こうべを垂れる。
彼女はそういう作品を描いた偉大な作家である。
(2024年2月13日)



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