1日1話・話題の燃料

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著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

10月9日・ジョン・レノンの言語感覚

2013-10-09 | 音楽
10月9日は、組曲「動物の謝肉祭」を書いた作曲家、サン=サーンスが生まれた日(1835年)だが、ロックバンド「ザ・ビートルズ」のジョン・レノンの誕生日でもある。
自分は、中学生のころからのビートルズとジョン・レノンのファンで、ジョンの曲はすべて聴いている。海賊版やデモテープの音源ももっていて、彼の伝記類は、最初の妻、シンシア・レノンが書いたものを含めて、日本語になっているものはすべて読んでいる。

ジョン・ウィンストン・レノンは、第二次世界大戦中の1940年10月9日の夕方、英国イングランドのリヴァプールで生まれた。それは、ナチス・ドイツによるリヴァプールへの最大の空襲があった夜だった。父親のアルフレッドは船乗りだった。
学校でのジョンは、ふまじめ不勉強で、つねに周囲の状況を茶化そうとする不良学生だった。からだの不自由な者のまねをして笑いをとり、教師へ皮肉を投げつけ、授業をサボり、全校的な行事を進んで壊そうと努力する反抗的な生徒だった。
16歳のとき、エルヴィス・プレスリーを聴き、彼はロックンロールに目覚めた。彼は音楽に熱中しだし、「クオリー・メン」というバンドを組んだ。
クオリー・メンが祭りのとき、教会で演奏していると、それを15歳のポール・マッカートニーが聴きに来ていた。演奏終了後、ジョンとポールは対面し、二人は意気投合。ここに史上最強の作曲家コンビ「レノン&マッカートニー」が誕生した。
ジョンは17歳のときにアート・カレッジに入学。相変わらず勉強そっちのけで音楽に入れ込む不良学生だった。
クオリー・メンは、ジョンが20歳の年に「ザ・ビートルズ(The Beatles)」と改名した。かぶと虫(beetle)と、ビート(beat)をかけた、ジョンによるしゃれた命名だった。
ビートルズは、ジョンとポール、そしてジョージ・ハリスン、リンゴ・スターという四人のメンバーで固定し、1962年、ジョンが21歳のときにレコード・デビューを果たした。
ビートルズは米国へ進出し、英国のMBE勲章を受け、彼らは世界のアイドルとなった。彼らは音楽産業を巨大化させ、ショービジネスの産業構造そのものを変えてしまった。
ジョンは、21歳のとき、同じアート・カレッジに通っていた女子学生シンシアと結婚し、息子ジュリアンをもうけていたが、28歳で離婚し、日本人の前衛芸術家、オノ・ヨーコと結婚した。彼は名を、ジョン・ウィンストン・オノ・レノンに改めた。
1970年、ジョンが30歳になる年に、ビートルズは事実上解散し、4人のメンバーたちはそれぞれソロ活動へ移行した。ジョンは「ジョンの魂」「イマジン」など発表し、約5年間の育児休業に入ったが、1980年に活動を再開。新作「ダブル・ファンタジー」を発表した。その直後の同年12月8日、ジョンはニューヨークの自宅前で射殺された。40歳だった。

十代のジョンがシンシアに送ったラヴレターの写真を見たことがある。「I love you.」が延々とつづられているもので、自分などは読んで、ちょっとゾッとした。
考えに考え抜いた結論を、ひじょうにシンプルなことばにして、提示する。その簡潔なことばを説明しない。ただ二度、三度、または延々と繰り返す。それがジョンの作詞法だ。1990年代米国のグランジの方法論に通じると思う。
一説に、ジョン・レノンは、学習障害の一種であるディスレクシア(難読症、読字障害)だったと言われる。ダ・ヴィンチやエジソン、アインシュタインなども同じ障害を抱えていたとされる。ことばの理解の仕方が、多くの人と異なるのである。だから彼の歌詞は、聴く者の胸に突き刺さってくるのかもしれない。
29歳のジョンはこう言った。
「ほかの誰かがそれをやってくれると期待するのは、責任感がないだけだ。『おお、彼はわたしを助けてくれるにちがいない。もしも助けてくれないなら、彼を殺すか、追いだすかしよう』というわけだ。ぼくはそれはまちがっていると思う。」(Geoffrey Guiliano, The Illustrated John Lennon, Chartwell Books, Inc.)
(2013年10月9日)




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