GYAOで無料公開されていると知って,見てみた『釣りキチ三平』のアニメ版。
本当に好きな話題の「有明海のムツゴロウ」が安っぽく見えるのは少年時代に見た通りであり,40年以上の月日が流れても自分の中では「原作>>アニメ」の図式が出来上がっていたことを噛み締めた。
アニメ版が悲しいのは作画力の圧倒的乏しさ。原作を読んでいる友人の多くが「魚紳さんの声はカッコイイのに,なんか変な絵」とか,まあほぼ友人のほぼ全員が否定的だった。魚・風景がまったく「ダメ」なのだ。
当時でいえば,出崎統演出だったらスゴイ豪華な演出がされたであろうが,『あしたのジョー2』が併行放映されていた時期であり,あり得ないことだ。
矢口先生があまりにも素晴らしい描写をしたため,アニメが真似できなかったということか...。
でも,白土三平の『カムイ外伝』『サスケ』は,原作とアニメを見てもそれほど違和感を感じない。白土三平作品のアニメ化は,昭和40数年のことだからアニメ版『釣りキチ三平』より古いのに
「有明海のムツゴロウ」を推しているのは,そこに矢口先生が「趣味としての釣り,プロの漁師としての釣り」を描いていたからに他ならない。
あらためて原作を読み返してもけして色褪せない「テーマ」がある。「テーマ」後付の作品が多い中,矢口先生の作品にそれはない。あるべきは「テーマ」であり「訴求したいこと」なのだ。
そんなわけで,無料動画だから全部見ようかと思ったら一気に拍子抜けした2022年末だった。「シャークキャスティング」も原作のかっこよさが失われているようにしか感じなかった。
『釣りキチ三平』は原作に限るべし,と改めて感じたのである。