大関暁夫の“ヒマネタ”日記~70年代大好きオヤジのひとりごと

「日本一“熱い街”熊谷発コンサルタント兼実業家の社長日記」でおなじみ大関暁夫が、ビジネスから離れて趣味や昔話を語ります

私の名盤コレクション18~Leon Russellとスワンプ名盤(7‐1)「All Things Must Pass /George Harrison」

2012-01-29 | 洋楽
★All Things Must Pass /George Harrison

デラニー&ボニーから流れたフレンズの面々は、レオン一座に形を変えてジョー・コッカーの「マッドドッグス&イングリッシュマン」ツアーをサポートした後、次に向かった先は元ビートルズのジョージ・ハリスン初ソロ作「オール・シングス・マスト・パス」のレコーディングでした。これが70年の5月。ビートルズの正式解散が同4月ですから、ジョージは正式解散以前からソロ作を計画しメンバーおよびプロデューサーの確保に動いていたと見るのが正しい推測でしょう。

ジョージがフレンズの面々に最初に関心を持ったのはのは、69年のデラボニのアルバム「オリジナル・デラニー&ボニー」を聞いた時あたりでしょうが、彼らの起用を決めたのはデラボニ&フレンズ英国ツアー同行中に彼ら全面参加のデイブ・メイスンのソロ作「アローン・トゥゲザー」のマスターを耳にしたことが恐らく決定打であり、ツアーの最中にわたりをつけたということなのでしょう。クラプトンやメイスンまでを含め、フレンズ・ツアーの面々全面参加というメンバー構成はツアー中に固まり、彼らが転戦したジョー・コッカーのツアー明けを待ってレコーディングは開始されたと考えられます。

しかし参加ミュージシャンがクレジットされた「ミレニアム・エディション」を見ても、肝心のデラニー&ボニーとレオン・ラッセルのクレジットが見当たりません。恐らくは、デラボニ陣営からマッド・ドッグスへフレンズを引きぬいたラッセルとデラボニの確執に気を遣い、どちらもクレジットはしなかったということなのではないかと。しかしながら、デラボニはともかくラッセルは確実に参加しているであろう状況証拠とも言える音源が存在します。75年リリースのジョージのアルバム「ジョージ・ハリスン帝国」に納められた「二人はアイラブユー」がそれです。

この曲、「オール・シングス…」のプロデューサーであるフィル・スペクターの奥さんロニー・スペクター71年のシングル用に書き下ろしたジョージのオリジナルで(実際にはボツ)、ここに納められたものはまさしくロニー用に用意されたオケなのです。問題はそのレコーディング・メンバー。ジム・ゴードン、カール・レイドル、ジム・ホーン…とまさにフレンズの面々の名がそこに。1曲だけこのアルバムの他の楽曲とは明らかに違うメンバーでの録音で、しかもそのクレジットには、「ピアノ:レオン・ラッセル」のクレジットがあるのです。

フィル・スペクターに頼まれて奥方の曲づくり、そしてバックにフレンズ面々。「オール・シングス…」の後デレク&ドミノスを結成し本格活動に入るオリジナル・フレンズ面々が、クラプトン抜きのこの面子でレコーディングをしている…。これだけの状況証拠が積み重なれば、この曲のレコーディングは「オール・シングス…」のセッションにほぼ間違いないでしょう。そこにラッセルの名があるということは…。言わずもがな。やはり、「オール・シングス…」のところどころで聞かれる、どう聞いてもラッセル特有の手癖が感じられるピアノは、本人のものであると確信できるわけです。

そんなわけで「オール・シングス…」は、スワンプの“師”であるデラボニ門下生(フレンズ+ラッセル+クラプトン+メイスン)たちの“師”抜きでの「卒業アルバム」的存在でもあるのです。この先まだ長くなりそうなので、アルバムの中身に関しては次回です。

競馬メモ1.22

2012-01-24 | 競馬
★AJC杯(中山芝2200メートル)
・一番人気ルーラーシップが力の違いを見せたという言葉ばぴったりのレース。後方から4コーナー手前で外を押し上げ、直線大外を通りながら早め抜け出しの2番人気ナカヤマナイトを捕えると、併せ馬かなと思わせたものの一気に3馬身突き放すという離れ業。道悪の巧拙という部分もあったかもしれないが、それにしてもこのクラスでは2~3枚上手といった競馬であった。
・先週のトゥザグローリーとどうもイメージがダブる。GⅡで圧勝しながらGⅠで脆い。この馬もどこかでGⅠをとれるかもしれないレベルにはありそう。良馬とも母方がGⅠ馬と言う良血故のお坊ちゃん気質があるのかも。今年、来年の宝塚記念はこの2頭が分け合う?そんなイメージ。
・ナカヤマナイト、ゲシュタルト、トーセンあたりはGⅢならいつでも勝てるがGⅡは相手次第、GⅠは掲示板がいいところ、そんな印象。

★平安ステークス(京都ダート1800メートル)
・一番人気エスポワールシチーは、前を行くヒラボクキングを捉えきれずに2着。このメンバーで前哨戦で敗退では、GⅠフェブラリーSでトランセンドに勝つことは難しいかなと。ただGⅠレベルの実力に疑う余地はなく、年齢的な衰えと判断するのは早計であり、これで人気が落ちるならワイド軸で狙う手はあるか。
・勝ったヒラボクキング、決して得意ではない道悪での勝利は出来の良さに尽きる。ダートで着外なしの堅実な馬で意外に強いのかも。道悪での勝利だけにフロックと思われがちで、本番でも人気薄になるようならヒモ穴に面白い存在か。
・2番人気アドマイヤロイヤルは見せ場なく8着。ただし本番は得意の東京コースに替わるので引き続き注意。
・いずれにしてもトランセンドを負かせる馬は見当たらず、今週末の根岸ステースク組で相手探しか。

アリス・クーパー、歓喜の紙ジャケ化!

2012-01-22 | 洋楽
ギミックジャケットの宝庫であり、アメリカン・グラムの王者でもあるアリス・クーパーの70年代の名作の数々が遂に紙ジャケ化されました。12月と1月の2回に分けリリースされた今回のリイッシュー・プロジェクトは、我が国の紙ジャケ再現力水準の高さを如実に表わす本当に素晴らしい出来であります。

12月リリース分で話題は、アリスの代表作でもある「スクールズ・アウト」と「ビリオンダラー・ベイビーズ」。前者は、組み立て式で学校の机になると言う70年代に多く存在したギミックジャケットの代表のようなもの。しかも机の蓋を開けると中からパンティーにくるまれたレコードが出てくるという驚きのシロモノで、当時は恥ずかしくてなかなか買えなかったというアレです。パンティは紙製のようですが、しっかりゴムも入っていてかなりの作り込みよう。後者はアリスのトレードマークでもある蛇をイメージした、蛇革の財布のギミック。エンボス加工でかなり立体感を出しつつ、ジャケットを開くと札止めにジャケットサイズの1000万ドル紙幣を挟みこめるようになっているという凝った作りです。この偽造紙幣も実によくできているのです。

1月リリース分では、何と言っても「マッスル・オブ・ラブ」の段ボールジャケットです。段ボールの質感と貼り合わせ等の作り込み具合からプリントの乗せ方やその色合いに至るまで、とにかくあの当時のジャケットそのままです。私はリアルタイムで米国盤を持っていましたが(当時新宿にあったOMという輸入盤店で買った記憶です)、内容はともかくこの風変わりなジャケットがとにかくお気に入りでした。何年か後に、レコードを出してブリーフケースみたいな別の用途で使っているうちに壊れてしまったような。本当に嬉しい再会です。個人的思い入れは、ギミックの宝庫のアリス・クーパーにあっても、このジャケットが今回の№1です。今度は他の用途には絶対使わず、家宝にします。

1月リリースでもう一品面白いのは、「フロム・ザ・インサイド」。あのEL&Pの「恐怖の頭脳改革」を思わせる観音開きの表ジャケを開けると、中面は病院内をイメージしたデザインの中に小窓があって、そこからは中袋に印刷されたアリスが顔を出します。さらに裏面も観音開きの扉が付いていて、ここも開ければアリスをはじめ患者たち(アル中治療の実体験を語ったアルバムなので、アル中仲間です)が、一斉に「退院だ!」と出てくる仕掛けです。78年の作で、この辺りが一般的にもギミックものの最後期にあたるのかなと言った感じで、アリスもこれ以降はギミックモノは作っておりません。

今回のシリーズで、肝心の中身である音楽的側面で一番関心をもったのは実はこの作品でした。アルバム単位では、発売当時リアルタイムでは聞いていなかったのですが、今聞いてびっくりなのはなんとかなり良質なAORアルバムに仕上がっているのです。グラムロックだ、ショックロックだと言われるアリス・クーパーにあってはかなり異質な感じでしょう。それもそのはず、プロデューサーはなんと、デビッド・フォスター。バックにはスティーブ・ルカサー、ジェイ・グレイドンはじめ、フォスター人脈総動員の布陣です。まだまだフォスターも無名に近い時代で、この後出るジェイとのユニット「エアプレイ」を彷彿とさせるピアノやギターの使い方もところどころに顔をのぞかせ、AORファンとしては思わずニヤリとさせられます(アリスファンにAOR化は受け入れられなかったようで、アルバムとしての最高位は60位と振るいませんでした)。

作詞はエルトン・ジョンのパートナーであるバーニー・トーピンが、アル中仲間のよしみで全作を手掛けています。不思議とエルトン的なメロディーラインになっている曲もあって、詞の流れがメロディづくりに与える影響って結構あるものなんだなと、妙に感心させられたりもしました。AORファン、フォスターファン必聴の隠れたAORの傑作と言ってよさそうです。アリスにしては珍しくバラードナンバーが多く収録されています(「時は流れても」は全米12位を記録したアリス屈指の名バラードです)。例によって紙ジャケは限定販売なので、お早めに。

競馬メモ1・15

2012-01-17 | 競馬
新企画、と言うより自分が見た競馬レースの覚え書きを残します。この先のGⅠシリーズで痛い目に会わないように、都度GⅠにつながりそうなレースの記憶すべきポイントを、ごくごくメモ程度に記しておくものです。あくまで個人的なメモランダムなので、オフィシャルページで更新の告知はしません。

<1月15日(日)>

★日経新春杯(京都2400メートル良)
・有馬3着からの参戦トップハンデ58.5キロのトゥザグローリーが快勝。道中中段を進み直線で一気に外を差し切った。強かった。追い出しではやや反応が鈍かったが、これはハンデの影響?手綱をしごかれるとモノの違いを見せつけるような鋭い脚。やはり実力はGⅠ級と認めてよさそう。どこかでGⅠのひとつぐらいは取れそうだが勝負弱さが気になるので、今年か来年の宝塚記念あたりが手ごろか。
・2着にダノンバラード。昨年の皐月賞3着馬。ようやく復調気配だが、同世代トゥザグローリーとは力の差歴然。GⅡレベル馬と判断。GⅠでは不要。
・3着マカニビスティーは京都の長距離が大得意。ビートブラックをアッと言う間に捉えたゴール前は半端ない伸び足だった。もう少し距離が長ければもっとよさそう。春天に出てくればワイド・3連複・3連単三着づけの大惑星かも。


★京成杯(中山2000メートル良)
・2着したマイネルロブストはGⅠ朝日杯2着馬。これを基準で考えるに、勝ち馬ベストディールはけっこう奥行きを感じさせる実力馬か。もう1戦見てみたいがクラシック候補に浮上したと考える。ロブストは、良馬場なら距離問わず相手なりに走るので、常にヒモとして注意が必要。3着アドマイヤブルー以下は、GⅠでは一歩足りないだろう。

私の名盤コレクション17~Leon Russellとスワンプ名盤(6)「Mad Dogs & Englishmen /Joe Cocker」

2012-01-15 | 洋楽
★「Mad Dogs & Englishmen /Joe Cocker」

1. Introduction
2. Honky Tonk Woman
3. Introduction
4. Sticks and Stones
5. Cry Me a River
6. Bird on a Wire
7. Feelin' Alright
8. Superstar
9. Introduction
10. Let's Go Get Stoned
11. Blue Medley: I'll Drown in My Own Tears/When Something Is Wrong ...
12. Introduction
13. Girl from the North Country
14. Give Peace a Chance
15. Introduction
16. She Came in Through the Bathroom Window
17. Space Captain
18. Letter
19. Delta Lady

レオン・ラッセルにシェルター・レーベルの立ち上げをけしかけたデニー・コーデルが、もうひとつ画策したのが、英国人アーティストによる米国スワンプ・ロックの英国への紹介でした。その主人公は、69年のウッドストック・フェスティバルでのビートルズのカバー「ウイズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンド」を元祖“エアギター唱法”で熱烈に歌い上げ、一躍時の人となったジョー・コッカー。彼の泥臭い歌がスワンプにフィットするとみたコーデルは、アルバム「ジョー・コッカー」のプロデュースにラッセルを引き込みます。アルバム完成後、当時のバックバンド(後のグリーズバンド)をクビにして、ラッセルにデラニー&ボニー(以下デラボニ)のバックメンであったフレンズの面々の引き抜きをけしかける訳です。

そして企画されたライブツアーは、レオン・ラッセルを座長とする旅芸人一座をきどったミンストレル・ショーの現代版的ギグを売りにしたものでした。名付けて「マッドドッグス&イングリッシュメン」。ボビー・ホイットロックを除くフレンズの面々に、ドン・プレストンやジム・ケルトナーを加えた豪華絢爛な一大スワンプ楽団のレビューと相成った訳です。このあおりで大打撃を被ったのはデラボニ。レオンに大半のメンバーを引き抜かれて、フレンズは空中分解状態に。ツアーも一時期はキャンセルせざるせざるを得なかったそうですから、今なら確実に訴訟問題になっていたであろう大事件でした。それにしても、当時のレオン・ラッセルの大物フィクサーぶりには驚かされます。彼はこの後ディランともパイプができ、あの「バングラディシュのコンサート」でも大役を果たすことになるのです(73年の初来日時には「最後の大物レオン・ラッセル遂に来日」との宣伝文句の下、武道館でライブが催されました)。

さて、アルバム「マッドドッグス&イングリッシュメン」は、ジョー・コッカーの旅芸人一座の公演の模様を収録したライブ盤です。全篇スワンプ色満載。ジョーお得意のビートルズ・カバーやラッセル選曲のストーンズやディランのナンバーも聞かせますが、ここではゴスペルタッチのコーラスとホーンセクションに飾られた武骨なスワンプノリでアレンジがなされています。ラッセル作の「デルタ・レディ」、トラフィックのデイブ・メイスン作「フィーリング・オールライト」あたりが特に素晴らしい。全般を通して、やはりレオン・ラッセルのピアノはかなりスワンプ的アクセントを醸し出しており、演奏だけで言うならクラプトンのギターが強力過ぎてスワンプ臭があまりしなかったデラボニ&フレンズの「オンツアー」よりも、こちらの方が断然スワンプのショーケース的意味合いが濃い内容になっています。ちなみに発売当時のアルバムの邦題は、「ジョー・コッカーとレオン・ラッセル」。いかに当時ラッセルが大物然としていたかが良く分かると思います。

もうひとつこのアルバムの聞きどころとして、ソロデビュー前の“デルタ・レディ”リタ・クーリッジがメイン・ボーカルを務める名曲「スーパースター」があげられます。この曲は、ラッセルとデラニー・ブラムレットの共作で、デラボニのシングル「カミング・ホーム」のカップリングとして発表されていたもの。後にカーペンターズのカバーが大ヒットしますが、グルーピーの身上を歌ったメロディのモノ悲しさをラッセルのピアノが見事に浮かび上がらせるこのバージョンこそがベストでしょう。ちなみに、この歌に出てくる「グルーピーが焦がれるスーパースターのギタリスト」は、クラプトンのことだそうです。本当はカーペンターズがカバーするような曲の内容じゃないですね。

「マッドドッグス&イングリッシュメン」は、レオン・ラッセルを語る際には欠かせないスワンプ・ファン必聴の名作ライブ・アルバムです。なお本ライブは当時映画化もされ、今ではDVDでその映像を見ることができます。(この項、さらに続く)

昭和問わず語り16 ~ 怪獣ブーム3

2012-01-12 | 昭和
久しぶりの昭和シリーズ。間があきましたが、昭和40年代の怪獣ブームの3です。

いよいよ昭和41年7月、ウルトラマンがスタートします。前シリーズ「ウルトラQ」との決定的に違うのは、勧善懲悪のヒーローモノである点。「実際にありそうなフィクション」だった前者に対して「実際にあり得ない娯楽」の後者は、より子供ターゲットを明確にした番組への改編でもありました。

主人公がピンチになると密かにヒーローに変身するというのは、スーパーマン以来のアメリカ的キャラクターですが、ストーリーはある意味「水戸黄門」とも同じ昭和日本的黄金ルールのVSOP(Very Special One Pattern)です(当時時代劇をよく見ていたうちのオヤジに「時代劇って何がおもしろいの?」と質問したら、「ウルトラマンと一緒だよ」と言われて、当時は何のことかさっぱり分からなかった記憶があります)。この「怪獣登場→人間が対抗→ピンチ到来→ウルトラマン登場→怪獣撃破」という、安心して見られる30分の起承転結のしっかりしたストーリー展開はけっこう重要なポイントなのです。この後の仮面ライダーやゴレンジャーなどのプロトタイプが、ここでしっかり作られました。

私は毎週欠かすことなくとにかくよく見ました。提供はタケダ製薬。同社の本社外観が映って「♪タケダ、タケダ、タケダ~。タケダ、タケ~ダ~」という社名連呼のジングルが終わると、番組テーマ曲が流れます。「♪胸に付けてるマークは流星~」。不気味さを漂わせた前作「ウルトラQ」から明るさ満点のヒーローモノへの衣替えが、このテーマ曲ひとつにも十分現れています。「ミステリー・ゾーン」はじめ海外ドラマに範を得ている「ウルトラQ」のおどろおどろしさはそこには微塵もなく、どこかクレージーキャッツの無責任シリーズとも対をなすような高度成長に浮かれる日本オリジナルの番組作りが確立された、「もはや戦後ではない」的印象が番組全体から漂っていたことも爆発的人気の一要因であったのではないでしょうか。

何と言ってもウルトラシリーズの命は怪獣です。ウルトラマン、ウルトラセブンあたりまでは、同じ円谷プロが作る東宝の怪獣映画とそん色のないカッコいい怪獣が沢山登場しました。映画や前作「ウルトラQ」からの使い回しもけっこうありました。私が好きだったネロンガはバラモンの変形、チャンドラーはペギラの角を増やしたパターン、ジラースに至ってはあのゴジラのクビ周りにエリ巻きを付けてエリ巻き怪獣にしてしまうという荒業も(ジラースはウルトラマンにエリ巻きを取られ、幻の“ウルトラマン対ゴジラ”が思わぬ形で実現するのです)。バルタン星人とかレッドキング、ゴモラなどその後長きにわたって語り継がれ、世代を超えて人気を集めている怪獣も何体かいたりもします。地球上では3分間しか戦えないというキャラづくりも含め、ウルトラマンも怪獣も本当によく練られて作られていたと、今更ながらに感心させられます。

この番組でもうひとつ重要なポイントは、ウルトラマンに話をさせなかったこと(第一話と最終話では、ストーリー上どうしても必要な部分として話をするシーンが登場しますが、あくまで例外です)。それによって番組が過度に幼稚流れることを食い止め、「大人も一緒に見れる子供番組」として成立し、その後も長きにわたって「大人になってからも振り返って見るに耐え得る子供番組」の地位を確立します。このあたりが、ウルトラマンがいまだヒーローモノの代表格として君臨している理由であろうと思います。

平和を祈りつつ黙って黙々と働く常勝の強い存在、ウルトラマンの登場は終戦から20年、敗戦から立ち直り高度成長をひた走っていた再生日本の象徴的存在であったのかもしれません。

私の名盤コレクション16~Leon Russellとスワンプ名盤(5)「Delaney & Bonnie On Tour With Eric Clapton」

2012-01-09 | 洋楽
★Delaney & Bonnie On Tour With Eric Clapton

1. Things Get Better
2. Por Elijah-Tribute To Johnson Medley: Poor Elijah/Tribute
3. Only You Know And I Know
4. I Don't Want To Discuss It
5. That's What My Man Is For
6. Where There's A Will, There's A Way
7. Coming Home
8. Little Richard Medley:Tutti-Frutti/The Girl Can't Help It/Long Tall Sall/Jenny Jenny

年末年始をはさんで間が空きましたが、スワンプ名盤の系譜を続けます。

エリック・クラプトンのソロ作のレコーディングを経て、いよいよデラニー&ボニー(以下デラボニ)のツアーが本格化し、それはエリック・クラプトンがフレンズを引き連れて故郷イギリスのファンに新しいトレンドを披露するという形で展開します。デラニー&ボニー&フレンズ・ウイズ・エリック・クラプトンがそれです。このツアーに同行したのは、ボビー・ホイットロック、カール・レイドル、ジム・ゴードン、ボビー・キーズ、ジム・プライスのフレンズのレギュラーと、クラプトンのセッションには外れていたデイブ・メイスンが加わり、公演によってはもともとクラプトンにデラボニを紹介したジョージ・ハリスンが参加したと聞きます。素晴らしく豪華な面々ではないでしょうか。

このツアーを記録したアルバムが「オン・ツアー・ウイズ・エリック・クラプトン」な訳です。当時はクリーム→ブラインド・フェイスと人気バンドで活躍を続けてきたクラプトンの新バンド的な受け取られ方もあったのでしょう、彼らのツアーは熱狂的な歓迎を受け大成功します。このアルバムを聴いてもその熱狂ぶりは良く分かります。ただ、このアルバムは音楽的にスワンプのショーケース的は位置付けになっているかと言うと、やや違う肌触りでもあり、どちらかというとロックンロールやブルーズを下敷きに南部やゴスペル感覚を若干加味し、クラプトンが弾きまくるという感じかなと。この辺の中途半端なやり方が、後々デレク&ドミノスのアルバム「レイラ」へのファンの理解を得られず、酷評される下地になったのではないかと思われるのです。

同じ頃ジョン・レノンがピース・イン・トロントで、チャック・ベリーやリトル・リチャードを招いてロックンロール・ショーをやっていたりして、ジョンも「デイジー・ミス・リジー」とか「ヤー・ブルース」なんていう、ストレートなロックンロールやブルーズ・ナンバーをやっていたのが、妙にこの「オン・ツアー」と符合していておもしろいなと思わさられます。この当時のルーツ志向はいろいろなところで巻き起こっていたのだなぁと今になって気がつかされることも多くあり、特に60年代から70年代への橋渡しはビートルズの解散を肌で感じていた音楽シーンがビートルズ自身をも巻き込んでビートルズ以前の音楽への回帰から、新しい何かをつかみ取ろうともがいていた様子が浮かび上がってくるのです。

さらに個人的な話ですが・・・
私が洋楽にハマり始めた73~74年当時、クラプトンは日本の“不良ロック少年”(当時ロックやエレキギターは不良の代名詞)の間でも人気でした。クラプトンはちょうどレインボー・コンサートで無事シーンへの復帰を果たし、「461オーシャン・ブルバード」で大ブレイクしたあたり。一般ピープルがレゲエの「アイ・ショット・ザ・シェリフ」で盛り上がっているのを横目に、標準的ロック少年たちは「クラプトンの基本はブルーズだぜ!」とクリームを語り、さらにブラインド・フェイスにまで言及できるヤツは“通”、デラボニのこのアルバムまで語れるヤツはほとんど“プロ”として尊敬されていました。当時はこの「オン・ツアー」を理解するための情報はあまりに少なかったのですが、ジャケットのカッコ良さや難解さと共に憧れの1枚であったことは間違いありません。60年代から70年代への音楽史を語る上で欠かすことのできない名盤です。

さて戻って、この「オン・ツアー」で重要なのは、このシリーズの中心人物でフレンズの重鎮だったハズのレオン・ラッセルのクレジットがないこと。当時レオンの彼女であったリタ・クーリッジはコーラスで入っているのですが・・・。この点がこの後の展開をいささか難しくするのです。実はこの頃、レオンのソロアルバム制作を機にシェルター・レーベルを立ち上げをけしかけた英国人デニー・コーデルが、彼を動かしてデラボニとは別のルートでスワンプを英国に紹介しようと画策していたのです。69年のレオンは、自身のソロアルバム制作の他、デラボニと共にエリック・クラプトンのソロ作制作に関わりますが、彼らとは別行動で実はもう一人の英国人アーティストのアルバム制作にもかかわっていたのです。その人は、ジョー・コッカー。この流れによって、デラボニのフィーバーは思わぬ急展開を迎えることになるのです。(この項、さらに続く)

話題のストーンズ73年オフィシャル・ブートをダウンロードしたぞい♪

2012-01-06 | 洋楽
年末に訪れた池袋「バレルハウス」の園山氏との会話を思い出し、正月のヒマにまかせて気になっていたストーンズの公式未発表ライブ音源をオフィシャル・ページからダウンロード購入しました。

★The Brussels Affair
1.Brown Sugar
2.Gimme Shelter
3.Happy
4.Tumbling Dice
5.Star Star
6.Dancing With Mr D
7.Doo Doo Doo Doo Dooo (Heartbreaker)
8.Angie
9.You Can't Always Get What You Want
10.Midnight Rambler
11.Honkytonk Women
12.All Down The Line
13.Rip This Joint
14.Jumping Jack Flash
15.Street Fighting Man

なんてったて73年秋のブラッセル、あの「山羊の頭のスープ」ツアー音源って訳で、まだギターの片割がミック・テイラーで彼がバンドにも慣れて弾きまくっていた頃。それと確か、このツアーはけっこうブート音源が豊富で、私も高校生の頃にこのツアーの音が聞きたくて手に入れた覚えがあります(当時のブートはけっこう高かったので、テープに落として早々に同級生に売っぱらっとちゃったけどね)。当時はAB両面で10曲程度だったかな、音は劣悪ではなかったけどこんなクリアなものなんてとても期待できない時代です。こうして約40年弱の時を経て改めてサウンドボード録りのデジタル音源で聞けるとは、なんとも感激です。

「山羊の頭のスープ」は私が中学2年生の頃に初めてリアルタイムで聞いたストーンズの新作です。シングル「アンジー」が大ヒットして、ライブでこの曲をどう演奏するんだろうとか思って、期待に胸を膨らませて聞いた覚えがあります(エレキのイントロにけっこうガッカリした記憶あり。要するにステージ映えしないレコードで聴いてこその曲なのです)。他にもこのアルバムからは、個人的に好きだった「ダンシング・ウイズ・ミスターD」とか第二弾シングルでもあった「ドゥードゥードゥー」とか、いわくつきのエッチな「スター・スター(元のタイトルは「スター・ファッカー」だもんね)」とか、聞きモノが多かった訳で当時もブートにはけっこう満足した覚えがあります。

それにしても今回のこの音源、抜群に音がいい。今事務所のスピーカー(SONYの小型モニター・スピーカー)で聞いても、驚きの迫力。9のゲストSAXボビー・キーズの長尺ソロなんて、本当に当時の音?って疑問を投げかけたくなるぐらい。最近の発掘音源シリーズ同様ボブ・クリアマウンテンが絡んでいるので迫力のリミックスは当然のこととして、もしかすると若干のオーバーダブもあるのかなとか思います。それにしても間違いなくストーンズ70年代の肌触りがするライブ演奏であり、それをこの楽器の分離のよいミックスを大迫力で聴けるってのは最高です。園山さん、感激必至!絶対買いですよ。

セットリストも個人的には最高。「ベガーズ・バンケット」以降のストーンズ・スタイル確立後のノリにノッていた時代の「ベスト選曲+新作からステージ向けの数曲」って感じですから。3のキースとミックのハモや、7の当時彼らに帯同していたキーボード、ビリー・プレストンの大活躍は、今となっては貴重です。、また、キースとミック・テイラーのギターのからみは、70年リリースのライブ「ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト」の時よりも数段こなれています。かと言って明らかにその後のロン・ウッドとのそれ(ダブル・ヘタウマ?)とは全く違うので、76年のライブ「ラブ・ユー・ライブ」あたりと聞き比べてみるのもおもしろいでしょう。

いずれにしましてもこんなにすごい音源(MP3)がたったのUS$7(なんと、約550円!)でダウンロードできるなんて、すごい時代になったものです。もちろんその大前提として、ミック・ジャガーのストーンズのライブ音源に対する姿勢の微妙な変化の恩恵と言うモノがあることを忘れてはいけませんが。なんでもこの音源解放、この後さらに5本ほどを予定しているとか。ミックの気が変わらないうちに、早いとこ出し切っておくれね。とにかくエッチなジャケットアートを含めて、買わなきゃ損の音源です!

★ダウンロードはこちらから。支払いはクレジットカードでOKです(ちなみにJCBは使用不可です)。
http://stonesarchive.com/

あけましておめでとうございます

2012-01-01 | 日記
皆さま、新年明けましておめでとうございます。

昨年は震災によって予想もしない形で、全ての事が大きく動かされた一年でありました。昨春震災後の深く沈んだ日本にあって、考えました。こんな時であるからこそ前向きに行動を起こすべきではないのかと。そこで、長年温め続けてきた�スタジオ02外食業界への参入を今こそ行動に移すべき時と考え6月に「青山カレー工房」をオープンさせました。
http://www.studio-02.net/aoyamacurry/

長引く歴史的不況の最中震災が追い打ちをかけ、新事業の立ち上げとしては最悪の環境ではありしたが、メディアの皆様に非常に好意的に取り上げていただいたこともあり、なんとかかんとかがんばっております。今年はこの店の活動を足掛かりに、“日本一暑い街”熊谷で“HOTな”街興しをしようと、現在行政そして食品大手さんも巻き込みつつ今夏に向けて“元気の出る花火”打ち上げをめざし着々準備を進めております。乞うご期待です。

5年目に突入した小職ブログ(=オフィシャル http://blog.goo.ne.jp/ozoz0930/)は昨秋より「200万人が読むWEB上の論壇誌~BLOGOS」に転載されるようになり、日によっては一日2~3万アクセスを稼ぐこともあって一段と存在感を増してきました。これに伴い、オフィシャルページと別に新たにプライベートページ(=当ページ)を設けることにしました。こちらのページは70年代を中心とした思い出や趣味のネタを主に取り上げてまいります。オフィシャルと併せて引き続きよろしくお願い申しあげます。

企業コンサルタントとしましては、昨春よりWEB上でJ-CASTニュース様のページで連載コーナーを持たせていただいています。ネット上の読者皆様の反応を見るに、これまで知らなかったその特性の難しさを教えられ、来るべき本格電子書籍時代到来に向け実り多い勉強をさせていただいているとありがたく感じております。
★「営業は難しい~ココを直せばばうまくいく」http://www.j-cast.com/kaisha/column/kokonao/index.php

本年は、実業家としてあるいは書き手として、一層の飛躍の年にしたいと思っています。引き続きよろしくご支援・ご指導の程お願い申しあげます。

平成二十四年元旦  大関暁夫