大関暁夫の“ヒマネタ”日記~70年代大好きオヤジのひとりごと

「日本一“熱い街”熊谷発コンサルタント兼実業家の社長日記」でおなじみ大関暁夫が、ビジネスから離れて趣味や昔話を語ります

見せつけられた“本家”が失った“本当のイーグルス”~ドン・フェルダー来日公演

2012-03-20 | 洋楽
さほど期待していなかったものとの巡り合いで、それが思いのほか素晴らしかったりすると人は感動するものです。昨日の元イーグルスのドン・フェルダー(G)のビルボード・ライブでの来日ライブは、まさにそんな感じ。大満足のステージでした。

ドン・フェルダーは知る人ぞ知るあの名曲「ホテル・カリフォルニア」の作曲者。イーグルスには3枚目のアルバム「オン・ザ・ボーダー」からバンドに加わり解散まで在籍し94年の再結成にも参加します。ところが、2000年にグレン・フライ、ドン・ヘンリーの二人から突如「バンドに貢献していない」と解雇を言い渡され、彼らと訴訟関係になるという泥沼に。06年に示談が成立したそうですがバンドには戻らず、グレンとドンの金欲体質を暴いた自伝を出版するなどで話題を提供したりもしていました。今回のライブは、自身のバックバンドを率いての初来日であります。

ステージはいきなり聞きなれたイントロに導かれて「ホテル・カリフォルニア」でスタート。彼のトレードマーク、ダブルネック・ギターで哀愁のメロディを奏でます。間奏のリードギターはほぼレコードのままのフレーズながら、「これぞモノホン!」を感じさせられそのままリーンカネーション状態に。立て続けに、彼がイーグルス加入のきっかけになったセッション参加曲「過ぎた事」から大出世作「呪われた夜」へキラー・ナンバーでたたみかけられ、レスポールを基本に据えたレコードと同じ音に鳥肌は立つは思わず涙腺が緩みそうになるは、予想外の感動に引きづり込まれてしまいました。

ステージ構成は、イーグルスナンバーを軸にソロ作からの新曲とセッション参加した他アーティストのナンバーをまぶした展開。やはり、イーグルス・ナンバーが見に来ている満員のオーディエンスの“待ってました”でもあり、盛り上がりが違います。中でも特にコアなファンを喜ばせたのは、“本家”が最近ではまずステージでやらないであろう、フェルダー氏が中心に作られた曲「暗黙の日々」と「ゾーズ・シューズ」。特に「ゾーズ・シューズ」は例のトークボックス・ギター(チューブを加えてギターと声を混ぜて独特の音を出すヤツ。ジェフ・ベックが「迷信」で使って70年代にちょっとはやったアレ)で、オリジナルの雰囲気を再現するという念の入れようもちょっとした感動でした。

バンドは、ケニー・ロギンスやクリストファー・クロスのバックを務めたこともある西海岸のホンマモン連中で、リズムが“本家”よりも重たくしっかりしていて、いかにもライブ・バンドの風情があってこれまた素晴らしい。本家に比べればフェルダーのリード・ボーカルは確かに弱わくはあるものの、レコードの再現的に完璧主義を貫くピリピリした緊張感あふれるヘンリー=フライ・スタイルとは一味もふた味も違う、ウエストコースト・バンドのライブをまるでロスのライブハウスにいるかのような感覚で聞かせてくれる演奏でした。本場トゥルバドゥールにいるようであったというのは少々ほめすぎかもしれませんが、これぞポコやイーグルスに脈々と流れていたハズでありながら、今の再結成イーグルスが失ってしまった「西海岸らしさ」であるなといったところでしょうか。

思えば8年前にフェルダー抜きの再結成イーグルスをドームで見て、なんとも味気ない無機質な印象を抱かされ、昨年の再来日はパスした私。今回のようなステージこそが古くからファンである私がイーグルスに求めてた本来の“らしさ”なわけです。金まみれになる中で“本物のイーグルス”が見失ってしまった“本当のイーグルス”を見せられる思いであり、彼の自伝以上に痛烈な“本家”に対するメッセージを持ったステージあると感じさせられました。こんな「最高」もあるんだと、新発見させられた夜でした。

最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (乃松松)
2019-12-09 09:57:01
わーー
とても うれしい 評論を読ませていただきました。
感動しました。
そうですか。
イーグルスのアルバムすべて大好きで、
今も聴いていますが

いつも ドンフェルダーが気になっていました。

素敵なコンサートだったと聞いて、
ドンフェルダーのギター健在と聞いて本当にうれしいです。
ありがとうございます。
返信する

コメントを投稿