大関暁夫の“ヒマネタ”日記~70年代大好きオヤジのひとりごと

「日本一“熱い街”熊谷発コンサルタント兼実業家の社長日記」でおなじみ大関暁夫が、ビジネスから離れて趣味や昔話を語ります

アリス・クーパー、歓喜の紙ジャケ化!

2012-01-22 | 洋楽
ギミックジャケットの宝庫であり、アメリカン・グラムの王者でもあるアリス・クーパーの70年代の名作の数々が遂に紙ジャケ化されました。12月と1月の2回に分けリリースされた今回のリイッシュー・プロジェクトは、我が国の紙ジャケ再現力水準の高さを如実に表わす本当に素晴らしい出来であります。

12月リリース分で話題は、アリスの代表作でもある「スクールズ・アウト」と「ビリオンダラー・ベイビーズ」。前者は、組み立て式で学校の机になると言う70年代に多く存在したギミックジャケットの代表のようなもの。しかも机の蓋を開けると中からパンティーにくるまれたレコードが出てくるという驚きのシロモノで、当時は恥ずかしくてなかなか買えなかったというアレです。パンティは紙製のようですが、しっかりゴムも入っていてかなりの作り込みよう。後者はアリスのトレードマークでもある蛇をイメージした、蛇革の財布のギミック。エンボス加工でかなり立体感を出しつつ、ジャケットを開くと札止めにジャケットサイズの1000万ドル紙幣を挟みこめるようになっているという凝った作りです。この偽造紙幣も実によくできているのです。

1月リリース分では、何と言っても「マッスル・オブ・ラブ」の段ボールジャケットです。段ボールの質感と貼り合わせ等の作り込み具合からプリントの乗せ方やその色合いに至るまで、とにかくあの当時のジャケットそのままです。私はリアルタイムで米国盤を持っていましたが(当時新宿にあったOMという輸入盤店で買った記憶です)、内容はともかくこの風変わりなジャケットがとにかくお気に入りでした。何年か後に、レコードを出してブリーフケースみたいな別の用途で使っているうちに壊れてしまったような。本当に嬉しい再会です。個人的思い入れは、ギミックの宝庫のアリス・クーパーにあっても、このジャケットが今回の№1です。今度は他の用途には絶対使わず、家宝にします。

1月リリースでもう一品面白いのは、「フロム・ザ・インサイド」。あのEL&Pの「恐怖の頭脳改革」を思わせる観音開きの表ジャケを開けると、中面は病院内をイメージしたデザインの中に小窓があって、そこからは中袋に印刷されたアリスが顔を出します。さらに裏面も観音開きの扉が付いていて、ここも開ければアリスをはじめ患者たち(アル中治療の実体験を語ったアルバムなので、アル中仲間です)が、一斉に「退院だ!」と出てくる仕掛けです。78年の作で、この辺りが一般的にもギミックものの最後期にあたるのかなと言った感じで、アリスもこれ以降はギミックモノは作っておりません。

今回のシリーズで、肝心の中身である音楽的側面で一番関心をもったのは実はこの作品でした。アルバム単位では、発売当時リアルタイムでは聞いていなかったのですが、今聞いてびっくりなのはなんとかなり良質なAORアルバムに仕上がっているのです。グラムロックだ、ショックロックだと言われるアリス・クーパーにあってはかなり異質な感じでしょう。それもそのはず、プロデューサーはなんと、デビッド・フォスター。バックにはスティーブ・ルカサー、ジェイ・グレイドンはじめ、フォスター人脈総動員の布陣です。まだまだフォスターも無名に近い時代で、この後出るジェイとのユニット「エアプレイ」を彷彿とさせるピアノやギターの使い方もところどころに顔をのぞかせ、AORファンとしては思わずニヤリとさせられます(アリスファンにAOR化は受け入れられなかったようで、アルバムとしての最高位は60位と振るいませんでした)。

作詞はエルトン・ジョンのパートナーであるバーニー・トーピンが、アル中仲間のよしみで全作を手掛けています。不思議とエルトン的なメロディーラインになっている曲もあって、詞の流れがメロディづくりに与える影響って結構あるものなんだなと、妙に感心させられたりもしました。AORファン、フォスターファン必聴の隠れたAORの傑作と言ってよさそうです。アリスにしては珍しくバラードナンバーが多く収録されています(「時は流れても」は全米12位を記録したアリス屈指の名バラードです)。例によって紙ジャケは限定販売なので、お早めに。