腐れゲー道

プレーしたゲームの感想文を、ダラダラと粘着質に綴ります。

NINJA GAIDEN3(PS3版)

2012年07月08日 16時30分44秒 | PS3ゲーム感想文
たたかうひとへ。

男とは何か。
意地とは何か。
最強の忍が、修羅の道を行く。
男には死を賭しても、貫かねばならぬものがある。
たたかうひとよ。
魂を焦がす、最後の戦いを知れ。


未だ記憶に残る、「NINJA GAIDEN2」パッケージ裏の煽り文である。
これを書いたのは退社した前チームニンジャリーダー・板垣伴信氏だが……
今これを問われているのは、他ならぬ現チームニンジャリーダー・早矢仕洋介氏であろう。
男とは何か。意地とは何か。
早矢仕洋介とは何か。新生チームニンジャとは何か。
全ては作品で示される。御託は要らない。
何か、を知りたければ、触れるがいい。



去年、「NINJA GAIDEN」「NINJA GAIDEN2」を立て続けに再プレーした。
何気なくテキトー気分で始めたNINJA GAIDENが非常に面白く、眠っていた俺の忍者魂に再び火がついたのである。
どちらも荒削りな作品だが、そのアクションゲームとしての質は超一級品と断言する。我が心のシリーズだ。
NINJA GAIDEN2では、心残りだった「超忍への道」もクリアーでき、充足の再プレーであった。
再燃した忍者魂と、最高難度を突破できる腕前(実態は根気)……俺とリュウ・ハヤブサ、通称ブサさんとの一体感は最高潮にあった。

その当時、今作は内容は謎のまま、タイトルだけが発表されていた。そう、シリーズ正統続編、「NINJA GAIDEN3」である。
周知の通り、NINJA GAIDEN及び「DOA」シリーズの要として知られる板垣伴信氏はNINJA GAIDEN2後すぐ、テクモを退社した。
それも同時に社長を告発するという、尋常ではないケンカ別れ。今考えてもスゲー内紛劇だった。
退社には板垣氏を慕うスタッフも同調し、チームニンジャはメンバーがごっそり抜けてしまった。
従って後に残ったメンバー、現リーダー早矢仕洋介氏が率いるチームニンジャは最早出涸らし、ロクなもんじゃない……
そう考えるのは失礼ながら自然だと思う。色々な見方があるだろうが、現実的には早矢仕氏が色眼鏡で見られるのは当然だった。
しかし面子がガラリと変わったチーニンも、タイトルには関しては従来のラインナップをそのまま引き継いだ。
作品自体は会社のものだから、これもまぁ当然である。従って、新生チーニンがNINJA GAIDEN3を製作するのもまた当然だった。
……だが製作の要が抜けた最新作に対し、ファンが強い強い不安を抱くのも極めて当然だった。
正直、NINJA GAIDEN3の発表を喜ぶ声はファンの中では少なかったと思う。

だが俺は、この点に関しては「早矢仕氏を信じる」と決断した。
製作の内情なんて、結局の所俺ら部外者に詳細は分からない。分かる必要もない。
メンバーがガラリと変わったのは事実だが、早矢仕氏だって立派に旧チーニンのメンバーだったのだ。。
そんな彼らが新作を出すと言っている。ゲームというジャンルは、実際に自分でプレーして判断を下せるのが良い所だ。ならそうすればいい。
グダグダ言わず、新生チーニンが渾身の力を込めて放つNINJA GAIDEN3を、我が忍者魂をもって受け止めればそれでいいのだ。
OK、覚悟完了。全ては作品が語ってくれる。俺は全力で新生チーニンの挑戦を受けるのみ。
さぁ超忍たる俺を止められるか、楽しませられるか? 兎にも角にも、今は発売を待たせてもらおうではないか!!


……てな決意を1年ちょい前のシリーズ再プレー時にしたのだが、結局、今作を発売日に買うことはなかった。
理由はズバリ、値崩れが怖かったから。俺は普段値崩れ大好きのハイエナゲーオタだが、自分が発売日に購入したソフトが
あられもなく値崩れし、金銭的損害を受けるのは死ぬほど嫌なのだ。自分勝手の極み、これぞ俺である。うるせー莫迦。
今作は海外で先行発売され、しかし評価は非常に低かった。殆どのレビューサイトが失望のコメントに溢れ、それは日本にも伝わってきた。
ハッキリ言って俺の研ぎ澄まされた値崩れセンスがビンビン震えていた。これは来る、発売1~2ヶ月で逝っちまう、と。
ゲーム代金が惜しいわけではない。また惚れ込んだシリーズだから、仮に続編が最低の出来でも、それはそれで見届けておきたかった。
だが値崩れだけは嫌だった。買うのは定価1万円以上の「コレクターズパッケージ」と決めていたので、尚更だった。
なので発売日購入は見送った。自ら値崩れを狙う……という意図もあったが、ともかく市場価格の動向をしばらく見たかったのだ。

で、まぁ予想通り今作は値崩れした。コレクターパッケージも、当初は1万円ちょいだったが、徐々に下落していった。
読みが当たったんだから喜ぶ所なのかもしれないが……自分のみみっちさと、NINJA GAIDENの凋落ぶりがやはり悲しかった。
最終的に、ゴールデン休み中に新品5980円を発見し、この辺で決めるかと購入した。今は更に下がってるようだが……。
買うならコレクターズパッケージ、あと一応製作側に金を送る意味で新品、と考えていて、どちらの条件も満たせたからまぁいいだろう。
ちなみに機種はPS3にすると最初から決めていた。俺のXBOX360コントローラーは調子が悪く、それでなくてもPSコンの方が好みだからだ。
ゲーム内容に差異があるかどうかは、事前にコーエーテクモにメールで問い合わせ、「変わりません」という返事を貰っていた。
NINJA GAIDENはXBOX発祥のシリーズであり、俺もXBOXで主にプレーしてきたが、色々と刷新された今作だからハード変更もアリだろう。

長々と死ぬほどどうでもいい私事情を並べたが、要するに遅れて値崩れ品を買って最近プレーしたということです。完。
かくして随分遅れたが、俺のNINJA GAIDEN3が始まった。御託は要らない、全てはゲームが証明してくれる。
早矢仕洋介とは何か。
新リーダーの意地とは何か。
俺の永遠のスーパーヒーロー、ブサさんが再び剣を手に走り始めたのだった。


……うーん……。


今作は、3である。シリーズの続編である。NINJA GAIDEN3である。何を当たり前のことを……。
だから当然、シリーズとして様々な面を引き継いでいる。主人公はもちろんブサさんだし、往年のジャンプや斬撃も健在だ。
だが全体的には、非常に「変化した」続編と言えるだろう。変わった、変わった。良くも悪くも。悪くも良くも? ……悪くも悪くも?
して俺の感想も、世間一般に言われているものとあまり変わらなかった。NINJA GAIDENシリーズ最新作として、納得できる変化ではなかった。

もちろん、変化するのが即悪いわけではない。続編に変化は必要だ。変化あっての続編だ。一方で、変わらない軸があるのも続編の条件だ。
変化と継承、この相反する命題の両立は、あらゆる続編が常に悩み、成功と失敗を繰り返している永遠の課題である。
変化と継承の割合に、正解などない。それが面白く、ファンに受け入れられれば成功、でなきゃ失敗。それだけの話だ。
今作は、客観的には明らかに失敗に終わった。そして主観、俺が自分でプレーしても、やはり「悪く変化」したと感じた。


今作への不満を一言にすると、「ゲームを組み立てられない」事かな。どうすればいいか、分からないんだよ。

別作品だから単純比較は出来ないかもしれんが……今作は、単純にブサさんの性能が今までと比べて大きく落ちている。
まず、敵を倒すと出現する、NINJA GAIDEN界の金や回復薬である「エッセンス」が完全撤廃された。
これにより、エッセンスを使って放つ従来の強力攻撃「絶技」も同時に撤廃されてしまった。見る影もなく。
エッセンスは前述のように金や回復薬となるアイテムだが、ボタンを押して吸収することにより、絶技を発動させる事が出来る。
これにより、場面場面でエッセンスを金や回復に使うか、絶技発動に使うかを選択する面白さがあった。何気にNINJA GAIDEN独自の要素だったと思う。
絶技で倒した敵からもエッセンスは出現するから、上手くやれば絶技の連鎖でピンチを切り抜けることも可能。
たった一個のエッセンスが難所を突破する鍵となる……間違いなく、俺がNINJA GAIDENで好きな要素の一つである。……だった。
今作にエッセンスはない。従って絶技もない。だから絶技の無敵を利用して難所を突破できない。
雑魚敵のくせに固すぎるガードをこじ開けられない。前作まで出来た事が出来ない。戦略を組み立てられない。

エッセンス廃止により、買い物の概念も完全撤廃された。今作には使用アイテムが一切なく、能動的な武器の強化も不可能。
これもブサさん弱体化と言っていいだろう。アイテム使用や武器強化のタイミングを模索する楽しみもまた霧散してしまった。


次に、伝統の投げ技・首切り投げが完全撤廃された。黒歴史であるアーケード版からの由緒ある技だったのに。
自他共に認める超忍たるブサさんだが、その攻撃は打撃・斬撃に特化していて、投げ属性の技は非常に少ない。
まぁこれはゲーム的に考えれば理解できる話で、あまりに投げが強いとブサさんがますます無敵になり、ゲームが破綻してしまうのだろう。
だがそれだけに、ほぼ唯一存在する投げたる首切り投げは、攻略において非常に重要な技であった。
打撃をガードしまくる敵にも、首切り投げなら通る(避けられることはあるけど)。そしてダウンした敵に追い討ちし、殺す。
そんな常套手段を、今作では取れない。どうすればいいんだ。超忍が攻めあぐむ。攻略を組み立てられない。


更に、忍法の仕様が変わった。
前作までの忍法は、攻撃効果はもちろん、発動中は完全無敵で、また技の隙をキャンセルして出せるので、緊急回避としても非常に重要だった。
当然使用回数に限りがあるので、いつどこで使うかを考えるのも忍法の面白い所だった。
また忍法使用回数はクリア評価に影響するので、カッコつけたいなら封印する必要があった。これも忍者魂をくすぐられる仕様だった。
……そんなNINJA GAIDEN忍法の形は、今作で影も形もなくなった。
種類は火炎龍のみで、忍法ゲージは敵を倒す事で溜まっていき、また1回分しかストックできない。
その上戦闘エリアが変わるとゲージはゼロに戻るので、強敵・難所に備えて温存するという戦略も使えなくなった。
忍法の効果は 現存する敵を全滅・体力回復 と遥かに強力になっているのだが、仕様の激変のせいで使い勝手が良いとは言い難い。
強力過ぎて正直味気がないし、火炎龍しかない上ムービーも一種類しかないから、見た目は派手だがすぐに飽きる。
忍法ゲージは溜まり難いし、場面によっては溜まらなかったりして、何かよう分からん。強力だが当てにはできないボムだ。


そして一番大きい弱体化、かつ不満点は、ブサさんの動きが全体的に重くなったことかな。
技の振りが、とにかく重い。軽快に敵集団を掻っ捌く超忍の姿は過去のものとなり、どこかのったりとした戦闘が続く。
その分一撃に重みが出た面もないではないが……操作感覚は俺がこのシリーズに惚れ込んだ大きな理由の一つだから、物凄く重要視している。
その感覚が激変し、快適ではなくなったんだから、納得できるわけがない。なんでこんな重い超忍にしたんだよ早矢仕さん!
それと、今作のブサさんは動きが重いだけでなく、キーレスポンスも非常に悪いと感じた。これは感覚的な話になるが……。
ボタンを押してもブサさんが反応しない。動きの重さ故の硬直時間も原因の一つだが、それ以外にも謎の無反応が発生するのである。

中でも俺が一番腹が立ったのが、「風駆」がちっとも出ないことだ。これがもしかしたら今作最大の不満点かもしれない。
風駆は要するにホーミングジャンプのことで、ジャンプ+小攻撃ボタンで発動する。シリーズ伝統の技であり、今作にも存在する。
NINJA GAIDEN3は3Dアクションであり、また多数の敵と同時に戦う場面が多い。そんな状況ではいちいちプレイヤーが攻撃対象を選ぶ余裕はない。
よって、取り敢えず最寄りの敵にかっ飛んでいく風駆は、ゲーム上非常に重要な技であった。俺もシリーズ通して多用しまくっていた。

それが今作では、風駆ではなく小攻撃ボタンが頻繁に暴発する。相当注意して入力しても、この暴発は止められなかった。
恐らく同時押しの判定が非常にシビアなのだろう。まず間違いなく多用する技にこの調整、ふざけるな早矢仕と言いたい。
今作への不満は枚挙しきれないくらいあるが、風駆が自在に出せたなら、少なくとももう少しプレーはしていたと思う。
こんなしょーもない事でプレー意欲は激減。ホンのちょっと気を配るだけで解決するのに、何でそれすら出来なかったんだ。



ンな感じ。これらブサさんの弱体化がモロにプレーの足枷となり、楽しむ事も攻略する事も難しい。
NINJA GAIDENと言えば、非常に高い難度で有名である。俺も過去、シリーズ総計で5000回はゲームオーバーになったと思う。もっと多いかも。
だがそんだけの死を乗り越え、俺はプレーした過去作の最高難度を全て突破してきた。威張るようなことではないが、俺の小さな誇りではある。
そしてそれが可能だったのは、ブサさんには「超忍」たる絶対的強みがあり、それを駆使すれば難所を突破できるという確信があったからだ。
無敵時間のある技や、敵を確実に葬れる連携……どんなに難度が上がっても、攻略の骨子となる術があったから、へこたれず挑戦を続けられた。
しかし今作の場合、それが無い。少なくとも俺には見当たらない。だからどうすればいいのか分からない。いずれやる気が失せていた。
例えば、今作に「ガードの固い雑魚敵」がいるとする。実際いっぱい出現する。じゃあコイツを、どうすればいい?
前作までなら、首切り投げでダウンさせるか、絶技を狙うという選択肢があった。しかし今作でそれはできないのである。
もちろんどうしようもないわけではなく、細かく攻撃を続ければいずれ倒せる。しかしこれは雑魚一匹の話である。労力として無理がある。
今作はNINJA GAIDENらしいと言うべきか、敵の数が多い。難度が上がれば本当にうんざりするほどの敵敵敵と延々戦わなければならない。
それなのに、「戦いの軸」が見当たらないのは非常に辛い。それでいて難しかったら、もうやってられない。
俺はゲームがやりたいのであり、決して苦行が趣味なマゾではない。ゲームで再挑戦は望む所だが、それも中身に納得できてこそだ。
今作は根本的に、納得がいかない。燃えるものがない。シリーズ中、最も面白くないと言わざるを得ない。



はぁ。
そんな今作だが、もちろん削るだけでなく新要素も投入している。中でも今作の売りとして常に語られていたのが「断骨」である。
名の通り「人間を真剣で斬った時には骨の抵抗感があるはず。スパスパ斬るだけではないその感触をゲームで表現する」というものだ。
今作では前作にあった「身体欠損・滅却」廃止されているのだが、名前からして滅却の代わりになりそう……と俺は思っていた。
そして実際、断骨は今作における滅却であった。弱った敵に発動すると、その時点で敵を瀕死に追い込める、必殺(?)の技。
本来なら、これが今作におけるブサさんの強み、戦闘の骨子として活躍するものだったはず。本来ならば。

……だが、そうはならない。この断骨、何でこうしたのかさっぱり分からんが、「発動条件が明瞭ではない」のである。
前作の滅却は、「敵が欠損している」のが発動条件だった。だから見た目ですぐ分かるし、まず欠損を狙うという戦略を立てられた。
しかし断骨は、いつ発生するのかプレーヤーには分からない。一応敵が弱った状態でないと起こらないようだが、弱っても必ず出るわけではない。
かと言って「そろそろ断骨が出そう」なんて目論見で技を振って戦えるほど、この世界は甘くない。とてもじゃないが頼りになるシステムではない。
現在では、俺など足元にも及ばないネット超忍達の手により、幾つか確実に断骨が発生する条件が明らかになっている。
だがそれもかなり限定的な話で、それを軸に攻略を組み立てるのは無理がある。ちなみに俺は「連続断骨」が出せない。連打で??

もう一つ、今作の新要素に「介錯」がある。
断骨や飯綱落とし、飛燕を雑魚敵に決めると、敵は「瀕死」状態になる。殺すことはできず、あくまで瀕死だ。
前作までは飯綱や滅却はほぼ必殺だったが、今作では違うのだ。そして瀕死の敵に止めを刺すシステムこそ、介錯なのである。
しかしこれがまた失敗してると言うか……そもそも何で入れたのかよく分からないのである。
瀕死の敵は一部例外を除いて既に戦闘能力を失っており、ブサさんに襲い掛かってくることはない。また放置していれば自然に死ぬ。
つまり戦闘の上では死んだも同然の存在であり、それ以上ボタンを押して攻撃する価値を見出せないのである。
だが介錯を狙う理由が実は存在して、ずばり忍法ゲージ。介錯をするとゲージを増やせるのだ。強敵相手だと半分くらい溜まることもある。
なのでゲーム的には介錯を積極的に行うしかない。瀕死にさせた敵を更に追い掛け回し、いちいち命を奪って回る。
前作の欠損状態の敵は、能力は落ちても攻撃はしてきたし、それどころかより危険な存在になる場合もあり、「敵」のままであった。
だが今作の瀕死状態の敵は、ブサさんが剣を振るうべき相手とは思わない。なのに忍法ゲージの為に、セコセコ止めを刺して回る。
戦闘の流れを著しく遮断されるこんなシステムを何故入れたのか全く理解できない。これが面白いと思ったのか。気持ち良いと思ったのか。
ついでに言うと介錯はモーションパターンが少ないので、見た目は派手だがすぐに飽きる。滅却は多彩で見飽きなかったなぁと懐かしむ。はぁ。

そうそう、書き忘れていたが、武器の激減も今作の大きな欠点だ。
NINJA GAIDENと言えば龍剣を軸に多彩な武器を操れるのが大きな魅力だったが、今作では何と剣一本に絞っている。
後に大鎌と爪が無料DLCとして配信されたが、それでも少ない。技は減ってるし、前述のように強化の楽しみもない。
断骨や介錯のパターンも少なく、使っていても見た目でも単調。奥深さを感じず、すぐに飽きる。
単純にボリューム不足である。前作までやれていたことが今作にない。パワーダウンであり劣化。擁護の余地がない。

メイン武器だけでなく、これまで戦闘に彩りを与えていた飛び道具の数々も、また大幅に減少・劣化した。
今作に登場するのは、ズバリ手裏剣と弓矢だけ。他はなし。またどちらも弾数無制限で、矢は撃ち放題となった。
このうち手裏剣に関しては従来通り、威力はほぼ皆無だが技のキャンセルや敵の牽制に使え、今作でも役立つ武器である。
問題は弓矢で、ハッキリ言って強化されすぎなのだ。立ちだけでなくジャンプからも放てるし、自動照準だから狙う必要もない。
ネット超忍により「スライディングキャンセル」という技が発見され、有効な敵には斬るより延々矢を放つ方が有効なほどだ。
これだけ強いと、プレーヤーとして面白みが全く無い。この上弾数制限までないんだから、最早メイン武器ですらある。
頻繁に発生する飛行兵や戦闘ヘリとの戦いは最低最悪で、間違いなく今作で最も面白くない戦闘だった。
やる事はジャンプしながら弓を射るだけ。自動照準だから勝手に敵を狙うし、補充のタイミングを考える必要もない。
あの行為のどこに面白さを見出せというのか。ヘリ戦の多いステージ2のつまらなさは筆舌に尽くし難いものだった。

弓矢にだけでなく、今作には「単調・退屈」が随所に感じられた。難度は高いのに、ゲームは退屈なのだ。
自動照準の弓に、ムービーが流れるだけの忍法……これが最新のアクションゲームだなんて。
上で廃止されたと書いた絶技も、実は存在する。断骨よろしく発動条件は不明だが、ブサさんの腕が光ると使用可能になる。
だがその内容は、「敵を自動で追い断骨→以下同じ」というもの。忍法と同様の退屈さで、すぐに飽きてしまう。
この絶技は断骨の度のボイスすら同じで、ホアーホアーと同じ台詞を繰り返すブサさんは、今までで一番カッコ悪く見えた。
俺の永遠のスーパーヒーローの必殺技を、こんなカッコ悪い仕様にするなんて。納得できないよ畜生……。



結局、今作はゲーム的に一体何がやりたかったのだろう。俺はそれが本気で分からんし、知りたいとも思うのだ。
早矢仕氏は発売前、インタビューにて前作を「古いもの」と断じた。もちろんこれは、板垣氏への挑発と3への自信と受け取られた。
そして実際に、3では前作までの要素がこれでもかと削られた。それ自体はまぁ良い。古きを捨てて新きを纏うのは基本的に正しいことだ。
……面白くなるならば。で、システムを刷新したNINJA GAIDEN3は、面白かったのか? 古きを捨てた価値はあったのか?
俺は、早矢仕氏が本気で今作を面白いと思っているのなら、それはそれでアリだと考えている。信念を持って製作し、世に問うたのなら。
だが俺がプレーした限り、今作にそんな情念は感じられなかった。作り込みは浅く、調整は甘く、もちろん面白くもない。
チーニンのゴタゴタがあったとは言え、4年ぶりの新作である。これは1→2の期間と同じだ。時間がなかった、は言い訳にならない。
製作者が心を込めず、面白いと思わずに作ったゲームが、面白いわけがなかろう。もしそんな態度で作ったなら、心底軽蔑する。
まぁ実際の内情なんて俺に分かるわけはない。唯一断言できるのは、NINJA GAIDEN大好きな俺がプレーした今作は、楽しめなかったということだ。
はぁ……。



はぁ。それ以外について語ろう。
グラフィック。実は、非常に美しかった。何気にここだけは文句なしだった、と少なくとも俺は思う。
建物も機械も砂漠もそれぞれ質感があってステージに浸れた。評判の悪い今作も、グラフィックに不満の声は聞かれない。
単調で鈍重ではあるが、ブサさんのモーションも今までと変わらずカッコ良い。この辺の仕事はキッチリしていると思う。
空中斬り技だった飛燕を「刺し技」にしたのは思い切った変更だが、爽快感が上がり、数少ない改良点だと感じた。
NINJA GAIDENの売りである残虐表現は、Z指定からD指定になったことで低下すると思っていたが、十分にエグかった。
血は出まくるし、断骨によるゴリッと斬る感覚は前作とは比較にならないほど残酷と言える。
だが欠損が廃止された事により、首どころか手足がもげることすらなくなったのは、やはり不満だった。
そもそも断骨しておきながら四肢が残っているなんて不自然極まりない。何故Z指定を下げたのか理解できない。
NINJA GAIDENは別にD指定にすれば販売本数が上がる作品とは思えないし、寧ろZ指定にすることで売れるタイプであろう。
結局の所残虐は残虐なだけに、やりたい放題やってる前作と比べて何だか非常に中途半端だった。はぁ。


音楽は……サウンドスタッフも板垣氏と共に抜けたのか、質は低下し、また雰囲気も変わったと感じた。
コレクターズパッケージにはサントラが同梱されていて、大いに期待していたのだが、残念ながら満足いく質ではなかった。
前2作の音楽は、世間的には殆ど無名だが、やりまくったこともあり、耳に残る曲が幾つもある。サントラは持ってないがお気に入りだ。
今作の曲を好きになれなかったのは、ゲームへ没入できなかったという理由が大きいのかもしれないな。
まぁでも一応、サントラは今後も機を見て聴くようにするよ。それがまた違う形で今作への思い入れを生むことを願う。

音楽と言えば、ボイスによる演出、これもなかなかに酷い出来だった。今作は、雑魚が非常に雄弁に喋るのである。
「回り込め!」「殺す事が生業でな!」といった戦闘ボイスから「血がとまらねぇよぉ……」といった瀕死ボイスまで、とにかくよく喋る。
実はこれ、俺がNINJA GAIDENに欲しいと思っていた要素でもあるのだ。
前作までの敵は掛け声以外はほぼ無言で襲ってきて、それが恐ろしくもあったのだが、少しは喋ってくれてもいいんじゃないかと思っていたのだ。
例えば地蜘蛛忍者なら、頭領を慕っているんだから、その思いやブサさんへの怒り等を口にすれば、より敵が敵として際立つんじゃないか、と。
で、今作では確かにそれを実現してくれてはいるんだが……所謂これじゃない感に半端でなく襲われた。これは酷いよ。
幾らなんでも喋りすぎな上、ボイスの重複が非常に多い。「ボイス演出するなら、素人を使ってもいいから大量に収録し、
出来る限り重複を避けて欲しい」と思っていたのだが、今作はその懸念通り、同じことを喋る敵が大量に出現していた。
こうなると、ボイスが「使い回し」であることが嫌でも突きつけられ、敵がますます作り物、魂のない存在に思えてしまう。
より人間味を持たせる為の演出のはずが、重複によって全く逆効果となってしまっているのである。
もちろん完全に重複を避けるのは不可能だろうが、今作はその辺全く考慮してないとしか思えないレベルだった。これでいいのか。わけがない。
それでいて台詞自体にもセンスがないからどうしようもない。仮も屈強なテロ犯や傭兵があんな発言するかいや、と思う。
地蜘蛛忍者のボイスも酷かったなぁ。あれなら無言の前作の方がマシだった。前作の自爆ボイスはゾッとするほど不気味だったなぁ……。


難度。今作、難度に関しては、シリーズ最高だと思う。非常に難しい。むっちゃくちゃ難しい。
と言ってもイージーに値する「ヒーロー」モードは、ピンチになると救済措置が発動する等、ほぼボタン連打でもクリア可能な難度であるらしい。
ゲームに不慣れな人への配慮もまたシリーズ最高だと思う。俺が求めるものとはかけ離れているが、これ自体は喜ばしいと思う。
で、難度ノーマルからは、十分に死ねる、死にまくれるNINJA GAIDENと化する。ノーマルですら苦戦するのは予想外だった。
まぁそれでもノーマルは雑魚敵にならボタン連打でもある程度通用し、それで断骨も頻繁に出るので、爽快感があり、楽しめる。
そう、今作は、ライトに触れるなら、実は結構面白いゲームである……かもしれない。NINJA GAIDENファンがそれを求めていなかっただけで。
はぁ。

難度ハードになると、もう前作の「悟りの道」に相当する難しさ。何より敵の攻撃力がクソ高く、あっという間に殺される。
敵のガードも固くなり、耐久力は上がり、戦闘を組み立てられないという今作の問題点がここから明確に浮かび上がってくる。
そしてハードをクリアーすると、お馴染み「マスターニンジャ」モードが登場。今作では更に「アルティメットニンジャ」もあるらしい。
俺は、ハードクリアまでで、力尽きました。せめてMNまではやっておきたかったが、今作のゲーム性でそこまで頑張る気力を保てそうにない。
どんなに死にまくりでも、理不尽さに怒っていても、何だかんだで納得していないと、難しいゲームへの再挑戦は続けられない。
それがよく分かる作品だった。まぁいつか、俺の部屋に訳あり美少女が闖入してきたら、彼女の力を借りて挑戦してみるよ。
ははっ、つまんねーな。何が? はぁ……。

難度と言えば、エッセンスとアイテムの撤廃により、マップが非常に単純な構成になったのは、功罪どちらもあると思う。
過去作では探索の楽しみもあるにはあったが、同レベルでマップの作りがややこしかったり冗長だったりで、迷いやすかった。
今作ではその欠点は完全に克服し、また右スティック押し込みにより、進むルートを示してくれるという機能も備わった。
これにより進行を気にせず戦闘に集中できるようになったのは、ファンの中には歓迎する者もいるかもしれない。
俺としては、幾らなんでも極端だと思った。寄り道脇道皆無で、殲滅戦もない。確かに快適に進めるけど……。
戦闘も適度な探索も楽しめるマップって、そんなに難しい要求かな? 今作のマップはFF13ばりに全く記憶に残らなかった。はぁ。


QTE。偉大なる「シェンムー」が生んだ(?)簡易入力・派手派手アクションシステムである。
何故か近年のアクションゲームで大人気なこの要素は今作でも取り入れられ、ステージ中、随所で発生する。
つっても似た場面・同じボタンの使用が多いので、失敗する事はまずなく、殆ど演出としてのみ存在する。
……そして他のゲームと同様、今作のQTEも全く面白くない。なんで皆こんなもん入れたがるのか本気で理解できない。
単調で退屈だし、下手に複雑だったり時間制限が厳しいと今度は理不尽だし、ゲームのスパイスにすらなっていない。
ムービーくらい落ち着いて見させろよ。それがダメだと言うならそもそもムービーなんか挿入せず、全部操作させろよ。
今作に限らず、QTEが好評だったゲームを見たことがない。結局これは、所謂初心者様への配慮の類なんだろうか。
せめてバリエーションが多彩なら救われるんだが、今作みたいにワンパが続くとなぁ……。なんでこんな新要素を……。

そういや発売前から嘲笑を浴びえた「クナイクライム」もQTEの一種になるのかな。
だがこれに関しては、単純に上るだけじゃなく、下から炎が迫ってきたり、上から敵が攻撃してきたりと、意外とメリハリがあった。
だからゲーム中、3回くらい登場するなら彩として良かったと思う。……実際は10回以上出てくるから、結局飽き飽きだったが。
何より、クナイクライムはブサさんのアクションとして「カッコ悪い」のが問題だな。操作はともかく、モーションはもうちょい考えられなかったのか。
クナイを壁に刺す時の効果音もガツガツと耳障りが悪く、爽快感が微塵もない。気配りが行き届いてないよなぁ。はぁ。



物語。今作はストーリーにも力を入れていると早矢仕氏は語っていたので、期待していた。
取り敢えず、良し悪しは置いておいて、方向性が前2作から大きく変わっていた。
NINJA GAIDENのストーリーは、「邪神」を軸にした非常に荒唐無稽なもので、ぶっちゃけ真面目に追うようなものではない。
内容としては世界の危機なのだが、殆どギャグに近い展開と描写により、本気で浸るプレーヤーは殆どいなかったと思う。
だが今作は、敵を「LOA」という巨大企業とし、ある程度現実味のある存在にした。展開も同様に、割と自然だった。
もちろん錬金術の研究が発達していたり、引き続き魔神が登場する等の荒唐無稽さはあるが、ギリギリ現代の延長で想像できた。
これは今回、ブサさんという男の存在を色濃く描くのが目的だったからだろう。クールで重い現実的な物語により、それを実現したのだ。

個人的にはこの路線変更……どうかなぁ。正直どっちも別に魅力的ではないので、何とも言えない。
ただ今作は、ボリュームに関しては前2作より格段に減っているので、その点で物足りなさは感じた。物語が短いのである。
ちなみに今作は前作までの「チャプター」ではなく、「DAY」でステージを区切っている。そしてDAY8まで、つまり八日間の物語になっている。
前作までは16チャプターとかあったから随分減ったように見えるが、その分1ステージがかなり長くなっている。総量はやっぱり減ってるが。
だがそのせいで、どうにもプレーが冗長になり、俺は1日1DAYがやっとだった。これはゲームの単調さも原因なのだが。
今作の物語構成ならDAY制が正解だとは思うが、NINJA GAIDENには合っていないと感じた。うーん。


して物語の内容は……まぁガッカリだな。期待通りではなかった。期待外れと言っちまってもいいかな。
今回は、ブサさんが「人殺しの業」に苛まれる物語だと、早矢仕氏は語っていた。
ブサさんはとにかく人を殺した。人だけでなく魔物も動物も、向かってくる奴は軒並み殺して殺して殺しまくった。
そんな彼は「人殺し」なのか? それとも「ヒーロー」なのか? それを今作で描くと言うのだ。
そのテーマには俺としても興味があるので、どうなるのか注目していた。ある意味ゲーム部分より期待していたかもしれない。
……だが結局は、何か安っぽくEDを迎え、ブサさんの殺人についても何か答えが出たわけでもなかった。
そもそも序盤から、命乞いをする敵の存在にて、「殺す事」の意義を問われるのに、
ゲーム的に何ら枷がはめられることもなく、ブサさんは最初から最後までいつも通り何も気にせず人を殺し続ける。
右腕に呪いを受けて苦しみはするが、それが無くてもブサさんは殺人に思うところがあるのか? それは結局分からなかった。
俺はてっきり、ゲーム中にブサさんが殺人行為を躊躇し、剣を振り下ろせなくなるような展開を予想していたのだが、大外れだった。
まぁ本当にそんな事をしていたら、ますますファンからボッコボコに叩かれただろうけど。
ブサさんは今作でも死体の山を高くしただけで、その山を振り返るようなことはしなかった。
一応かるーくそんなシーンもあったが、俺には何も伝わらなかった。大事な描写をユーザー判断に投げっぱすんじゃねーよ。
人殺しは、人類史上でも有数の大テーマである。それをNINJA GAIDENなりに語ってくれることを期待していたのに……はぁ。

登場キャラも、自衛隊職員等、かなり現実的な存在になっている。もちろん2次元なりに、だが。
今作のヒロイン・ミヅキはレイチェル・ソニアのように乳を強調せず、非常に質素だ。正直地味すぎて全く魅力がない。
その義理の兄・クリフは裏切り者としてそこそこキャラが立ってたが、死に際の改心が不要だった。コイツは屑のまま死んで欲しかった。
今作でブサさんのライバルとして登場する「仮面の導師」は……終盤正体が明らかになったが、例によって無茶苦茶だった。
なんで生きてるねん、と。錬金術のおかげ? ああそうですか。しかし何より、なんでお前ブサさんと互角に戦えるねん、と。
設定的にはただの研究者であり、多少剣術の心得があったとしても、邪神を倒すほどの超忍と同レベルの強者であるはずがない。
ぶっちゃけそんな奴はこの世に存在しないんだぞ。なんで一介の研究者がそこまで強いんだよ。出鱈目にも程がある。
せっかくクローズアップされた敵だったのに、設定のいい加減さで魅力半減だった。
ちなみにコレクターズエディションにはブサさんと導師が斬り合っているフィギュアが同梱されているが、正直出来は良くない。
体型は悪くないが、表情等の細部の質が低い。飾るのを楽しみにしてたので残念だった。飾ってるけどな。ブサさん大好き。

そして今回の要となる幼女キャラ・カンナ。ミズキの姉の娘で、今は養女として引き取っている。養女な幼女。きゃはっ。しのう。
今回のブサさんが一応人殺しに悩むのは、この子の存在あってこそだった。ブッさん、何故かこの子に異常に感情移入し、大切に扱うのだ。
俺はこの時点で違和感ありありだった。ブッさんは無差別殺人者じゃないが、子供に優しいというキャラでもなかろう。
たまたま出会っただけの子に、あそこまでの気持ちを持つのは不自然だと思う。少なくとも俺の思うブッさんらしくない。
仮面の導師がカンナの親父だった事で、彼を斬った(生きてたけど)ブッさんはカンナに「人殺し!」と叫ばれ、苦悩する。
あの辺の演出は、俺が最も嫌う類だった。「何の事情も知らないガキが思うままに口にした発言は正しい」って、ふざけんな。
大人の世界には色々事情があるんだよ。ブッさんが好き好んで人殺してると思ってんのか? ……そうかもしれないけど!
表面だけを見て身勝手な感想をブチマケるのはまぁ子供の特権としてもいいが、そんなのでいちいち大人が動かされてはたまらない。
マジレスするのもアレだが、そもそもお前の父親が斬りかかってきた事を分かってんのか? 殺さなきゃブッさんが殺されてたんだよ!
子供は確かに世界にとって大切な存在だが、絶対的存在にするのは嫌いだ。今作は完全にその方向性で、実に残念だった。
あ、手裏剣折り紙の演出だけは良かったよ。ラスト直前でブサさんがあれを見て回想するシーンはグッと来た。


最後に主人公リュウ・ハヤブサさん。俺にとって2次元最強の男、まさにスーパーヒーロー。
ちなみに俺はDOAは全くやらないし、あっちはパラレルらしいから、別人とする。あやねと殴り合って負けるブッさんなんて嫌過ぎる。
今作での物語方向性転換に伴い、ブサさんの性格も随分変化し、良くも悪くも「分かり易い」男になっていた。
前作までのブッさんは、見ず知らずであるソニアの救出に全力を注いだ後「CIAだとな。何か用か」と素っ気無く言い放ったり、
イケメン変態魔神(アレクセイ)に「貴様のトラウマと言うわけだ。いにしえ話の繰言か」とブツブツ呟く等、
何か熱いんだがクールなんだか無口なんだか実は多弁なんだかよう分からんけどイカスというキャラクターだった。
と言っても本質的にはやはりカッコ良くて、「悪鬼退散、誠の炎の浄化を受けよ」「貴様には死んでも分かるまい! エリザベートぉ!」
といった台詞は今も耳に残っている。荒唐無稽な物語でも、ブサさんは常に素敵な男だった。

しかし今作では随分普通の男になっている。上述の、カンナに対する強い感情移入も、今までのブサさんではあり得なかったと思う。
今作ではシリーズで初めて、平穏な状態の隼の里を歩くシーンがあるんだが、そこでのブッさんは人気若頭そのもの。本人も気さくだし。
うーん、まぁそら、日常はああなのかもしれんな。サンジとか言う糞ガキが登場してたけど、だったらさくらたんを出せよと思った。
そうだよ、子供感情移入を描きたいなら、新キャラじゃなくさくらたんを使うべきだったんだよ。そしたら不自然じゃない。
俺は「NINJA GAIDEN DS」でさくらたんが「リュウさまだいすき~」と言っていたのが忘れられないんだ。何故出さないんだ早矢仕!!

まぁそれはともかく、多弁だし、人に優しいが、一方でいつも通り殺しまくり、でも何か半端に悩んでいるという、アレなブサさんだった。
大人向けのストーリー、ジャパニーズ・ダークヒーローを描きたかったらしいが、俺には伝わりませんでした。残念。
あと「ブサさんが覆面を取る」を何か売りのように宣伝してたけど、別にゲーム中さしたる意味があるわけでもなく、拍子抜けした。
そもそも「忍ばない忍者」なんだから、覆面自体無意味なんだよな。イケメンなんだしもう普段から取っておいてもいいかも。

今回のブサさんを物理的に苦しむ右腕の赤い呪いは、東に伝わる「殺戮の凶手」と呼ばれるもので、仮面の導師に仕掛けられた。
だがこれまた信じがたいほど出鱈目で、「呪詛の言葉を龍剣が持つものと同じ固有振動数で発して共鳴させることで龍剣を分解、
リュウの右腕に怨念と共に溶け込ませた。怨念が毒となって全身に回り、やがて死に至る」との事。なんじゃそらぁ!! と。
怨念はまぁ良いとして、龍剣の分解って何だよ。物語上で無理矢理龍剣を取り上げる為の設定としか思えない。最低である。

そうそう、この理由で、今作じゃ龍剣は序盤とラスト以外では使えないんだよ。剣をテーマにした作品なのに。アホかっての。
何が悲しくて、ハヤテや幻心の剣を借りてゲームを進めなきゃならんのだ。龍剣とブッさんは一心同体だろ!? ったく……。
この呪いにより、今作のブッさんは随所で右腕を抑えて苦しみ、思うように動けなくなる。
この際はプレーヤーが操作できるものの、動きは鈍く、単純な斬撃しか出せなくなる。ただしその全てが断骨になる。
また敵の攻撃も何故かほぼなくなり、斬り放題となる。つまり演出、イベントシーンになるわけだ。
んで最初はこの演出も面白いと思ったが……困った事に、ゲーム中「何度も」このシーンが発生するんだよ。嫌ってほどに。
イベントだからさっさと済ませればいいのに、プレーヤーが操作して残る雑魚を斬らなきゃならない。チンタラ動作と悪いカメラで。
これにはホント呆れたよ。アレを何度もやって面白いと思うプレーヤーがいるのか? そんなのちょっと考えれば分かるだろう。
やはり早矢仕氏にはセンスがないんだろうか。あの右腕イベントの多用を見ると、そう考えざるを得ないものがある。はぁ……。




ンなとこか。
ちなみにオンライン対戦・協力プレーも今作の売りだが、俺は殆どやってない。あまり興味もない。
アクションゲームには一人で黙々と挑みたい。早矢仕氏はそれを否定気味だった(言い過ぎか)が、俺はそのスタイルである。
オンなんぞを充実させる余裕があるなら、本編をもっと作り込んでほしかった。そう思うのは俺だけかなぁ。うーん。
それと伝聞になるが、オンはバグが多いらしい。しかも全然サポートしてくれないらしい。やはりやらない方がいいな。
それでも金がかかるわけじゃないから、トライアル共々、今後も気が向いたらテキトーにやろう。ま、それでいいやな。

コレクターズパッケージに同梱されてたサントラとフィギュアはイマイチだったが、ブックレットはなかなか良かった。
今作のデザイナーは良い仕事してたと思うので、その人のコメントが色々読めて楽しかった。ブサさんがムキムキになったのはちょっと嫌だったが。
DOAの体験版も一応やってみた。Rボタン溜めで出せる超必殺技みたいな奴は、確かに当たれば気持ちよく、面白いと思った。
でも本編を買ってやることはまずないだろう。3D格闘は合わん。何度か挑戦したけど、どうしても分からないんだあれは。はぁ。



長々長々と書いた今作、NINJA GAIDEN3。肝心要の売り上げは、端的に言って、爆死。世界的に全く売れなかった。
元々日本では5万本も行かない程度の存在だったが、海外では100万~150万本を売る、人気シリーズだったらしい。
シリーズ作の販売には「前作の評価」が重要なので、その意味では評価の高い2の後押しを受けた今作も売れるはずだった。
それなのに、壊滅的失敗。どれだけ不評だったのか分かるというものだ。新生チームニンジャの挑戦、完敗である。擁護の余地がない。
さっきも書いたが、俺は今作が本当に「新生チーニンが全身全霊を込めて作った」のなら、爆死しても面白くなくても、アリだと思う。
クリエイターがやりたいように本気で暴れた結果、常に成功するわけじゃない。結果が芳しくなくても、それはそれで仕方ない面がある、と。
だが今作をプレーしても、そこに強い思いを感じられなかったのだ。ハッキリ言えば、本気で面白いと思って作られたと感じなかったのだ。
何かフニャフニャで、半端なゲーム。そんなのがこの厳しい業界状況で売れるわけがない。実際全然売れなかった。はやややや……。


現在、今作のWii U版が既に発表されている。当然のように様々な変更・追加が為され、今作を買ったユーザーを愚弄してくれている。
結局、今回のPS3・XBOX360版はβ版扱いってことなのだろうか。何にせよ早々のWii U版発表は気持ちの良いものではない。
こんな事をしていたら、仮にWii U版が良作になっても、ファンは買わないだろう。俺も多分買わないな。もう3はいい。
元々の出来が悪いのに完全版商法、何かホントグダグダだなぁ。早矢仕さんこれでいいんですか。DOA5よりこっちに言及して下さいよ。
俺の心のシリーズを脆くも壊してくれた早矢仕氏には、当然もう信頼感はない。期待することもない。
今後どうなるのかは知らんが、少なくとももうインタビューに答えるのは控えた方がいいと思うなぁ。はぁ……。


しかし、NINJA GAIDENシリーズがこのまま終わるのはやはり寂しいと思う。
何とかスタッフを一新し、更なる新作を作ってはもらえないだろうか。……つってもNINJA GAIDENを担える存在なんてそうそういないよな……。
ちなみに板垣氏の復帰なんて100%無理だし、俺も全く望んでいない。その意味では氏は完全に過去の人、もうNINJA GAIDENとは関係ないんだ。
3は失敗に終わったが、新しい試みを全て否定する気はない。要は面白ければいい。極めて単純な話だ。4を、頼む。
取り敢えずはWii U版3の結果次第だろうな。これの出来が良くて、そこそこ売れれば、或いは……。
可能性は低いし、Wii U版の出来が良かったらそれはそれで不愉快だが、まぁ一応そう願っておこう。
NINJA GAIDENには最高のアクションゲームとしてのブランドがある。俺もファンとしてそれを強く実感している。
実は今回、3がアレだったので「NINJA GAIDEN Σ」の再プレーをしたんだが、これがまた面白いの。サクッと1周しちまったよ。
もちろん古いゲームだから地味な面もあるが、動きの気持ち良さは未だ健在。最高の質だから、時を経ても衰えたりはしない。
この華麗にて軽快な超忍・ブッさんの舞が今作で終わってしまうのはあまりにも勿体無い。ゲーム業界の損失とさえ言える。
形に贅沢は言わない。4が難しいなら、2の発展系でもいい。何かしらの形で、俺の理想の男をこれからも活躍させてくれ。
随分小粒な要望だが、仕方ない。それだけ今作の残した傷跡は大きいのだ。はぁ……。

世の中うまくいかないもんである。こればっかりはブッさんに組織の壊滅を依頼するわけにはいかないしね。……多分。
今後はテキトーに旧作を再プレーし、途絶えてしまったシリーズを惜しむことになるかもしれない。
それはそれで、楽しかった思い出だけに生きられて幸せなのかもしれない。俺にはその辺判断できない。もうよく分からない。
一つハッキリしているのは、NINJA GAIDEN3を面白く遊べなかったということだ。これが俺の真実である。目を背けられない現実である。
男とは何か。意地とは何か。
ブツブツ呟きつつ、我が剣・ゲームコントローラーは捨てられない。やるしかない、んだよなぁ。
はぁ。













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Unknown (Unknown)
2017-11-25 18:14:22
リュウハヤブサは口数少なく、一言一言が名台詞なのだが、やはり初代ニンジャガイデンの、神聖皇帝戦(2回目)の前の

あの「雄叫び」

···あれに勝る声は無いと感じた。
返信する
Unknown (ota)
2017-11-26 01:23:35
俺も2までのブサさんの方が好きですが、もうちょっと喋ってくれとも思ってたので、3との中間くらいで作ってほしかったですね。

>やはり初代ニンジャガイデンの、神聖皇帝戦(2回目)の前のあの「雄叫び」
おお!! あれが分かるとは、通ですな!! 素晴らしい。
いや俺、実は最近XBOX One互換記念にブラックを再プレーしてましてね。今日MNまでやり遂げましたよw
あれは「あーたゃー!」に聞こえますが、恐らく「皇ー帝ー!」でしょうね。ブサさんが一番感情を露わにした場面でした。
……神聖皇帝が雑魚ボスなのでイマイチ決まってないのが残念ですが。あんだけ探し求めた黒龍丸は何だったのか……。
返信する
Unknown (Unknown)
2017-11-30 19:11:13
俺も社会人になってから、あれほどやりこんだゲームは無いし、今もってニンジャガイデンを越えるアクションには会えない。

俺ももう40才に近いが、たまにハヤブサを動かしたくなる。

今は我が息子二人(小学生高学年と低学年)が、ハードモードに挑んでいる。まだまだ飛鳥返しや飛燕、緊急回避の火炎龍に頼らざるをえないのだが、着地絶技は大分様になってきた。

世代を越えて面白いと思うものは、やはり人間の本質的な部分をきちんと捉えているのだろう。思考、音、画、感性、そしてブログ主殿が仰られた理性や戦略性。

···しかし、板垣の抜けた後のteam ninjaは酷いものだ。ニンジャガイデン3は、一周しただけでやめてしまった。確かにもっさりしていて、不自由をかなり感じ、あの「ニンジャブレイド」を混ぜた感覚もしたがが、決してゲーム性は悪くはなかった。

だが、肝心のリュウハヤブサが描けていなかった。

あれではまるで「キリスト教ニンジャ」だ。神道や仏教に裏付けされているはずの日本人的死生観がまるで無い。忍者とは、罪とか懺悔の概念を越えているもの。そこに迷いがある者に朧一文字は繰り出せない。

創り手の、海外受けさせたい気持ちが空回りしている。完全にこれは彼らの人間を洞察する力の欠如に外ならないだろう。


···今やテレビゲームは、文学や映画、あるいはそれ以上の文化的立場を構築している。今の子供達は夏目漱石も森鴎外も読まず、黒沢やコッポラの映画も見ていないだろうから、やはりゲームやアニメなどで人間性や情感を学んでいくのだと思う。

板垣は松本零士のファンらしいが、やはり所々にキャプテンハーロック的な生きざまや、星野鉄郎の純粋性をゲーム内に散りばめている。

坂口のいないファイナルファンタジー。
加賀のいないファイアーエムブレム。
板垣のいないニンジャガイデン。

名前だけ継承して、映像を美麗にし、ゲーム性を進歩させても、やはり何かが違うのは、その人間や物語の描き方だろう。
人間を描けなくなると、映像であれ活字であれ、必ずサブカルチャーは衰退する。

長々と書いたが、共にニンジャガイデンを愛する者として、少し私見を述べさせていただきました。

追伸 楽しく拝読致しております。これからも頑張って下さい。
返信する
Unknown (ota)
2017-12-01 01:08:17
>今もってニンジャガイデンを越えるアクションには会えない。
合う人間にはとことん合うゲームですなぁ。よう分かります。

>今は我が息子二人(小学生高学年と低学年)が、ハードモードに挑んでいる。
うあw 楽しんでるといいんですが。

>だが、肝心のリュウハヤブサが描けていなかった。
俺は必ずしもブサさんが寡黙であることに賛成ではないので、喋らせるのはいいと思います。けど3はどうにも軽かったですね。
「数多の命を奪ったことの呪い」て設定は悪くないと思うので、子供を絡めて安くせず、深く描いてほしかった。

>坂口のいないファイナルファンタジー。
>加賀のいないファイアーエムブレム。
>板垣のいないニンジャガイデン。
彼らが作り続けていれば名作であり続けたとも思えませんが、生みの親だったら納得は出来たかもしれませんね。
創作ならはやり切ったらそこで終えるべきで、けど商売としてはそれは許されない。商用ゲームはそこが非常に難しいところですね。

>追伸 楽しく拝読致しております。これからも頑張って下さい。
ありがとうございます。俺が言うこっちゃないですが、お子さんと共にこれからもNINJA GAIDENファンでいて下さい。
返信する

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