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オートバイで旅して観たモノの記録

 Ôtobai de tabi site mita mono no kiroku.

八鬼山越え① 序章

2022年05月14日 | 熊野古道
【目次 : 八鬼山越え】①序章, ②七曲がり, ③桜茶屋一里塚~九木峠, ④荒神堂~八鬼山峠, ⑤さくらの森広場, ⑥江戸道,十五朗茶屋まで, ⑦終章, ⑧エンドロール



 熊野古道伊勢路において,かつての巡礼者たちに西国第一の難所と言われたのが八鬼山峠道だ.八鬼山自体の標高は,647メートルと大して高くないものの,熊野古道センターから三木里駅まで約10キロメートルで5時間ほど要するという.



 今回はオートバイには留守番してもらうことにして,尾鷲漁港前のホテルから早朝の尾鷲市街を歩き,向井バス乗り場前にある八鬼山峠道の登り口まで向かうことにした.早朝の尾鷲市街は,ひっそりと静まえり返っていたが,街の佇まいが妙に懐かしく思えた.



 ホテルから3キロメートル弱ほど歩いて,ようやく向井バス乗り場前にある八鬼山峠道の登り口までやってきた.ここまで歩いて来るだけでもやれやれである.コロナ禍2年目から筋トレを始めて一年が経過し,年齢の割に体幹は鍛えられている方だと思う.あとは,自分の体力を信じて進むだけだ.



 登り口付近は,原っぱのような恰好になっていて,いきなり山へ入るわけではない.そして,さっそく八鬼山峠道の1個目の標柱が出迎えてくれた.標柱は全部で63個だ.これを目印に,時間配分を考えてマイペースで歩いて行くことにしよう.



 原っぱのような道を迂回しながら,ようやく八鬼山へ入る.北側から登る格好になるので,まだ陽が差し込んでいなくて,辺りは薄暗い.序盤から熊野古道らしい尾鷲特有のごつごつした石畳の道が始まる.



 峠までは登り口からおよそ3キロメートルで,約2時間を要する.まだまだ先は長いが,じわりじわりと汗が滲んでくる.昔,この峠道には山賊や狼が現れたという.巡礼者たちにとって,信仰は命より大事なものだったのかもしれない.



 当時の峠越えでは,命を落とす巡礼者や旅人が絶えなかったという.それも含めて登り・下りともに険しい八鬼山峠が,西国第一の難所と言われた所以らしい.今の時代は,景観を楽しみながら山を登るだけでいいので,ずいぶん呑気なものだと思う.



 いつしか,道の傾斜がきつくなっていく.けっこう山深いところまで入って来たようで,沢から水が激しく流れる音が聞こえてくる.尾鷲は雨の多い地域なので,山は大量の水を含んでいて,海に返そうとしているのを肌で感じ取ることができる.



 まだまだ序盤だが,たしかにハードな峠道だ.石畳と言っても,湿っていて苔と落ち葉で覆われているので,すり減ったライディングシューズでは,滑って足を取られやすいので注意が必要だ.この後は,八鬼山峠道の難所,七曲がりが待っている.

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